3 家へ
…しばらく走ること数十分、家へと到着した俺達は、架奈美の荷物を持ち運び、玄関へと向かった。
昔は、架奈美と父と母と俺の4人で暮らしていたが今は、わけあって俺が1人で住んでいた。
「…変わってないわね、この家は」
懐かしそうに、玄関前に立ち尽くす架奈美の肩に俺は手を置いた。
「今日から、よろしくな架奈美」
「うん、こちらこそ」
架奈美を部屋へと案内し、一通りの荷物を、そこへと運んだ。軽く荷物の整理を済ませた架奈美は、夕食の準備をするために台所へと足を運ばせようとする。
「今、夕飯の支度をするから俊弥義兄さんは少し休んでいても大丈夫よ」
帰ってきたばかりで疲れているだろうに架奈美は、直ぐに台所に立った。
「夕飯なら、俺が作るから、お前の方こそ休んでいていいぞ…長旅で疲れているだろ?」
「私なら大丈夫よ!」
元気な声で返事を返してきてくれた。
(そこまで言うなら、ご好意に甘えるとするか)
「…じゃあ、頼もうかな、簡単なモノでいいからな」
架奈美は うん と返事をした後に、調理に取り掛かった。
…出来上がった夕飯を食べて、俺は架奈美と軽く先程の続きの談笑をしていた。
ふと、視界に時計が入ってきて時間を見ると9時を回っていた。
「…そろそろ風呂に入った方がいいかもな、架奈美、先に入ってもいいぞ」
疲れているであろう架奈美が先に入っている間、俺はリビングで一人くつろいでいた。
(ホントに、久しぶりだな…6年だもんな、話していてもそうだったけど、それだけの期間があれば変わるよなぁ…)
…
…しかし、変わったといえば、性格もそうだが…あの容姿。
見れば見るほどに実感してしまう。
架奈美は、心身共に女性として出来上がっていたということを。
「お風呂空いたわよ」
そんなことを考えていた時に後ろから声が聞こえてきたので【びくっ】とする。
俺は、真っ赤になっている顔を見られないようにするため、下を向きながら早々に風呂場へと向かった。