15 通い合う心
夢のような一夜が明け、翌日いつものように目が覚めた。
…だが、同じ夜明けでも、昨日までとは違う。そう…ついに、心を一つに重ねることが出来たのだ…架奈美と。
ベッドから起き、着替えを済ませ…俺は、最愛の彼女が待つリビングへと向かう。
「おはよっ!架奈美」
俺が、挨拶をすると…
「おはようっ!俊弥義兄さん」
と、いつにも増して明るく…そして、最高の笑顔で俺を出迎えてくれた。
俺達は椅子に腰掛け、朝食を取りはじめた。
「なぁ…架奈美、今度2人で何処か旅行に行かないか?」
いきなりの俺の提案に、さすがの架奈美も驚きの表情を隠せないようだった。
「旅行?…どうしたの?急に」
「いや、昨日の夜から、ずっと考えていてさ…そ、その…お前と、もっと思い出を作っていきたいなって…さ」
それを聞いた架奈美は、頬を真っ赤に染めながら…「ありがとう」と優しく囁いてくれた。
朝食も食べ終わり、2人揃って、いつものように家を後にする。…一緒に並んで歩いていると、不意に架奈美が俺の手に触れようとしてきた。
一瞬、【ドキっ!】としたが、俺も架奈美の手を、そっと握りしめた。
…嬉しかった、架奈美の方から求めてきてくれたことが。
(できれば、このまま離したくないなぁ…)
そんな事を思いながら、俺は職場へと向かった。