14 告白
胸の中で、身を委ねている架奈美に、俺は囁いた。
…溢れんばかりの、俺の胸の内を。
「…好きだ…架奈美、愛してる」
その言葉を聞くなり架奈美は、俺の胸に、その顔を埋めてくる。
…まるで、この想いを自らの体に注ぎ込み…俺を、受け入れてくれるかのように。
「…前に、好きな人がいるって話したの覚えている?」
「あぁ…覚えているよ、ごめんな…お前の気持ちを無視して、こんなことを…」
「俊弥義兄さん…その人は誰だと思う?」
「さぁ?…今日、お前に告白してきたって奴か?」
「…」
しばらくの間、無言の時が流れた。
「その人は、昔から私の事を良く知っていてくれて…ずっと、心は一緒にいてくれた」
(…?)
「ずっと…今も、私の目の前で…こうやって私を支えてくれている」
俺は、自分の耳を疑った。
自分にとって、都合のいい幻聴が聞こえてきている…そう、これは 夢 なのだと…
「…好き…俊弥義兄さん…」
人は…誰かを守る時や共に生きる時、新たな幸せを掴み取る事が出来る…俺は、確信した…この時、架奈美と共に歩んで行ける幸せに巡り会えた事を…
こうして、同時に、俺は自分の人生を変えた夜も掴み取る事が出来た…