13/20
13 暴走
俺は、架奈美の元へと歩み寄っていた。
「…架奈美?こんなとこで、どうしたんだ?」
俺の声に気付き、架奈美はこちらへと振り向いた。
「…あ、ごめんなさい…起こしてしまった?」
…透き通るような綺麗な髪に、うつろな眼差しの瞳、月の光を浴びている架奈美は、一層に、その美しさを増していた。
(…か、架奈美…)
その全てを、溶け込ませてしまうかのような表情に…俺は、完全に堕ちていた。
「俊弥義兄さん…私…私、今日…学校の友達に…」
瞳の奥に不安を抱えているような…どこか儚げな雰囲気も同時にかもしだしている。
「…告白…されてしまったの」
…止まらなくなっていた。
完全に抑え切れなくなっていた。
…高ぶる感情を、自分自身を。
俺は、架奈美の腕を掴み、自分の胸の中へと閉じ込めた。
…無我夢中で架奈美を抱きしめていた。
…その、華奢な体が壊れるんじゃないかと思うほどの力を込めて。
(欲しい…架奈美が欲しい…架奈美の全てが…)
最初は驚いた表情を見せていた架奈美だったが…俺の胸の中で【すっ】と瞳を閉じた。