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10 頭の中

…【はっ!】と俺は、ベッドの上で目が覚めた。

辺りを見渡すと、いつの間にか暗かった夜は明け、うっすらとした朝の光がカーテンの外側から部屋の中を照らしている。

…どうやら、あの後、そのまま倒れ込むように寝てしまったらしい。


(…架奈美…)


昨夜、爆発した頭の中が整理できてないらしく、俺は、今だに夢の中を漂っている感覚に襲われている。

無理矢理に体を叩き起こし、俺は、リビングへと下りていった。


「おはよう、俊弥義兄さん」

次の瞬間、一瞬にして目が覚めた。

架奈美の声が、俺の耳から脳を刺激し、働かない頭を一気に目覚めさせた。

「あ…あぁ、おはよう…架奈美」

いつものように、朝食を用意し、俺の起床を待っていた架奈美は、テーブルの椅子に腰掛け…ニッコリと俺に微笑みかけてくれた。


…当たり前の日常、当たり前の時間、当たり前の朝を迎えた…架奈美にとってみれば、そんな感じに思えているのだろう。

そんな 当たり前 を…愛しい人と…そう、架奈美とかけがえのない一時を刻み込んでいきたい…

…それが、今の俺の本心だった。

「あっ!…そうだ、明日の夜なんだけど少し帰りが遅くなるかも…」

「何かあるのか?」

俺は、架奈美に聞き返していた。

ホントは、架奈美とは片時も離れたくないのだが無理を言うわけにはいかない。

「うん…学校行っていた時の友達から久しぶりに遊ばないかって連絡があって…明日の昼からなら美容院も休みだし」

「そうか…分かった、楽しんでこいよ!」

…朝食を済ませた俺達は、途中まで一緒に通勤した後、各々の会社へと向かった。

会社へ到着し、いつものように支度を整え、賢治と時間まで雑談をしていた。

「…い」

「…おい!」

「俊弥…どうしたんだ?」


「…え?」

賢治に、何度か呼ばれて、ようやく気が付いた。

「わ…悪い、何の話しだっけ?」

「ホントに、どうしたんだよ…さっきから【ボー】っとして…どこか具合でも悪いのか?」

「い、いや…大丈夫だ」

正直、賢治の話しは、まったく頭に入ってきていなかった。

…いや、架奈美のこと以外と言った方が正しいかもしれない。

そんな状態での一日だったが、無事、仕事も終了し、俺は家へと帰宅した。


玄関を開けると中から、架奈美の作る料理の匂いがしてきたが、テーブルには、まだ、盛り付けられてはいなかった。

リビングを後にし台所へ行ってみると、そこには、まだ料理をしている最中の架奈美が立っていた。



…その、架奈美の後ろ姿に、俺は妙な感覚を覚えた。

架奈美に気付かれないように、そっと後ろから手を回し…


(…架奈美)


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