1 再会
あれから、もう何年になるのだろう?
…架奈美と別れてから。
…架奈美が中学卒業して以来だから、かれこれ6年くらいはたっているはずだ。
「久しぶりだな…架奈美と会うのも」
俺の名前は【葛原 俊弥】…社会人になり、早2年目を迎える、ごく普通の会社員である。
「帰ってくるのは、今日の6時過ぎ…夕方以降になるって言っていたな」
俺には妹がいる。
【葛原 架奈美】…とはいっても、親の再婚相手の妹なので、実際に血縁関係があるわけではないのだが。
…俺達が出会ったのは、まだ10歳(小学4年生)くらいの時だった。
今でも、ハッキリと覚えている。当時、初めて架奈美を見た俺は、その可愛さに言葉を失っていた。
(こんなに可愛い子が俺の妹に…)
何て思っていたこともあったくらいだ。
(…っふ、懐かしいな)
小学を卒業し、中学に上がり架奈美は、更に勉学に磨きをかけ、あの名門校であるN高に推薦で通った程である。
…ただ、そのN高は県外だったため地元を離れ、一人暮らしをするに至っていた。
その後、3年の時が流れ、高校を卒業した架奈美は、色々と進路を考えた末、専門的な仕事につくため、更なる知識の向上に努めようと専門学校へ入学し、今まで勉学に励んできていた。
…
「…よし、帰るか」
俺は、架奈美を駅まで迎えに行くため、残業を断り定時で仕事を上がり、颯爽と車に乗り込んだ。
普段は徒歩での通勤をしている俺だったが、この日ばかりは駅へと向かうため車での出社となっていた。
車で走ること、15分弱、目的の駅へと辿り着いた俺は、車を降り駅のホームへと向かう。
駅の時刻表で時間を確認し、次の電車を待つこと10分…ようやく、電車が駅へと入ってきた。
電車の扉が開き、乗客達が降りてくる中、ホームで佇んでいると…
「…あの、俊弥さんですか?」
と俺は、横から声をかけられた。