英雄の記憶と契約する
目を覚ました瞬間、俺は自分が“死んだ”ことを思い出した。
……あぁ、そうだ。ブラック企業の研修で3日寝かせてもらえず、駅のホームで倒れ、電車に轢かれたんだったな。
それが――転生フラグだったとは知らなかったが。
「スキル確認──記憶継承スキル、起動確認。
適合体:ユーグ=アマルガム。覚醒率:12%」
唐突に頭の中に流れ込んできた声。それと同時に、目の前に現れたのは、透明なステータスウィンドウ。
【ステータス】
名前:ユーグ=アマルガム
種族:人間(転生者)
レベル:1
職業:記憶継承者
固有スキル:
・《記憶継承》:かつての英雄の戦闘経験・スキルを継承する
・《無限進化》:継承したスキルは戦闘に応じて進化する
・《融合契約》:継承体と精神融合し、戦闘能力を一時的に倍増
「……チートじゃねえか、これ」
しかも、俺のスキルが反応したのか、空間が裂けて何かが現れた。
否、それは――誰かだった。
「問う。我が名を呼んだのは貴様か」
銀髪の少女。年齢は十代半ば、だがその瞳は数百年を生きた老将のごとき威圧感を放っている。
「私は“セリシア=ゼロ”。神を殺した者の記憶。その魂を継ぐ者よ。
お前のスキルに導かれ、この世界に顕現した」
──そう、これが俺のチートの正体。
“神殺し”の英雄の記憶と、スキル融合できるチート。
俺の冒険は、ここから始まる。
そして、いずれ訪れるだろう。
俺がこの世界の神をぶっ殺す日が。