質疑応答
私は聞いた。
「明日は笑えますか?」
あなたは答えた。
「口の両端にフックをひっかけて引っ張れば笑えるんじゃないでしょうか」
私は聞いた。
「私は何で生きているのですか?」
あなたは答えた。
「心臓が動いているからじゃないですか?」
私は聞いた。
「いつになったら自分らしくなれますか?」
あなたは答えた。
「自分らしくってなんなんですかね」
私は聞いた。
「苦しいとき、どうすればいいですか?」
あなたは答えた。
「お風呂にでも入って、シャワーをマイク代わりにでもして歌ってみたらどうでしょう」
私は聞いた。
「なぜ私以外の人は、楽しそうなのですか?」
あなたは答えた。
「眼科をお勧めしておきます」
私は聞いた。
「なぜあなたは、そんなにもあなたなのですか?」
自分でも意味は分からなかった。
それでも、あなたは答えたの。
「あなたが言う私は、私じゃないかもしれませんね」
私には意味は分からなかった。
だけれど、あなたは笑った。
だから、私も笑った。
…あなたが言った。
「それでも私は私なの」
でも、目は合わなかった。まるで私が透けているように、
あなたは、私ではない何かに笑いかけていたような気がするの。