タイトル未定2024/09/22 00:31
Take on meのオフィシャルビデオが好きすぎるhttps://www.youtube.com/watch?v=djV11Xbc914
youtubeのやつ見てみてくれよ- あんな発想は出来んわー 素敵という言葉はあれの為にある。
よく人は、自己犠牲というものを美談とする。だがそれはあくまで第三者視点であるという前提がなければ成り立たないものだ。当人からすれば自己犠牲は到底、美談として済ませられるようなことではないのである。尚、第三者からよく思われぬ自己犠牲とはいよいよ地獄である。
.........いや....それはあくまで俺が選択したことだ。
薄暗い部屋の中で、男が一人缶ビールを飲んでいた。カーテンから差し込む薄光りが、現在時刻を昼だと認識させる唯一のすべである。壊れたpcの上に置かれたウーバーの食べ残しがタワーのように積み重なっている。まさにゴミ駄目屋敷、男はそこの住人だった。
気付けば...なんで俺はこんなことになってしまったんだろうな.....
男は今日もとっくのとうに切れた電球の方を眺めながら考える。分水嶺に思考を巡らし、必死にIFストーリーを妄想する日々。
あの時、俺が十五歳の冬。あの時、動かなかったら俺の人生はうなぎのぼりだったのだろうか.....少なくとも、こんなへやで無性ひげを生やしてはいなかっただろう.........
男の頬に涙がつたう。
もう....これだけの時間がたった。今頃君は幸せのまっただ中だろう。だが俺はこんなになっちまった...。あの時の写真なんてとうに破り捨ててしまったよ.....。
30年前.....神無月の日のこと
俺は今日も教室の隅で寝たふりをしていたな。クラスの一軍が紙ヒコーキを飛ばす音を聞きながら、鼻音さえも覆い隠そうとしていた若き日々。......そのみじめな日常を支えたのは、隣のクラスの花、美穂ちゃんだった。美穂ちゃんは誰にでも優しかった。当然クラスの最底辺である俺にも.......もっとも、今となって思いをはせるのは無駄なことなのかもしれないが......
俺は、俺の存在は...なんだったんだろうか
日が沈もうとしている。
ああ、今日も朝がやってきた。朝がやってきてしまった。未来ある少年らの騒音を聞いての起床はつらい。
男は毛布を頭にくるむ。
......この声は...野球だろうか.......ボールだの...ストライクだの...声が聞こえてくる.......ああ懐かしい、俺にもああしていた時期があったのだ。
男はそう思っていた刹那、『ガシャン』と音を立て野球ボールが男の部屋に転がり込んできた。地味にカーテンも、なん十年前の安物だという事も相まってちぎれてしまった。当然差し込んでくる強烈な光に男は悶絶した。
「ぐああああああっっ」思わず声が漏れる。
しまいには、あまりの衝撃に男は気を失ってしまった。彼がこの時最後に見たのは一日中残り続けるのではないかというほどの影ぼうしである。
男が目覚めたときには既に日は沈んでいた。夜特有の風が窓ガラスの割れた男の部屋に吹き込んでゆく。変な高揚感に包まれながら男はとりあえずボールの行方を捜す。.....五分あまりして、ボールはあっけなく見つかった。
月が見える。
嗚呼、月なんて何年ぶりだろう......男はそう感じながら、出所の分からぬ高揚を感じる。ボールを片手に男は呟く。
「もう....ここでいい。いや、この夜のことがいい.....ありがとう、見捨てられたボール.....俺はもう行くよ.....」
これは一時の感情の興奮であり、男は自覚していた。しかし、今この時だけ男は心の翼を得たのだ。付け焼刃の翼だったとしても、あの月に向かって羽ばたきたかった。
来世というものはあるのかな....
まあ、なかったらなかったで、いいや。
ただ、唯一の心残りと言えば、あの日のことかなあ......
美穂ちゃん、俺はここで死ぬよ。どこにいるかは知れないけど、幸せでいて.....
男は窓に足をかけ、月に向かって跳んだ。
僕が前に書いてた異世界のやつ再開する(いまさらみるやつはいないやろうけども、、)