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抵抗人話  作者: バツノジ
序章
1/2

第0話:終わりと選択

 進路、決めないとなあ。薄暗い学校からの帰り道、僕はそんなことを考えていた。

 僕...根白勇木(ねじろゆうき)は、どこにでもいるような高校生である。平日は適当に勉学に励み、休日は自宅でアニメ鑑賞、友人は多くないという典型的で普通の人間。いや、普通というにはいわゆる『意欲』というモノが足りていないかもしれない。今年で歳が18になるが、卒業後の進路については何一つ決まっていないのだ。確固として行きたい進路が無いのならば、とりあえず大学に入って、そこからまた何か考えればいいのではないかとも思うが、高校受験のときにもそんな感じで決めて今に至るので、大学での生活もきっと無気力に時間を浪費して終わるのだろう。果たして僕はこの先どう生きていけば良いのだろうか。


 後々思えば、そんな煮えないことに思考を割くべきではなかったのかもしれない。帰り道に見通しの悪い交差点を選んだせいか、トラックが自分のすぐ近くまで迫っていることに気がつかなかった。ブレーキも間に合いそうな距離ではないし、避けられるような身体能力はないことは知っている。僕は諦めて撥ねられるしかなかった。

 人の死というのは突然で、あっけないものらしい。こんなことならば、もっと現世を謳歌しておけば良かったかもしれない。両親にも、迷惑かけっぱなしだったな。その上で先に死ぬなんて、とんだ親不孝者だな、僕は。そんな後悔の念にさらされながら、僕は案の定ブレーキが間に合わなかったトラックに撥ねられた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 目が覚めると、そこは『光の中』とでも表現すれば良いのだろうか、周囲の景色には果てが無く、それでいて何もない、ただ暖かな光だけが満ちている場所だった。そう、まるで『天国』のような。

 そこまで思考して、僕はようやく自分がトラックに撥ねられたことを思い出した。その記憶に間違いがなければ、僕は死んだ…ということになる。しかし、今の僕の身体は生きているときとなんら変わらない状態であるように思える。地面があるように思えないこんな場所でも、僕はしっかりと『立っている』という感覚がある。ここに来る前の状況的には死んでいてもおかしくないが、今の僕は一体どういう状況なのだろうか。

「気がついたようですね。」

 誰かの声がして驚いてしまった。いや、別にここがどこだったとしても、人がいること自体には何もおかしなことはない。しかし、人に話しかけられることに慣れてなかった僕は、背後から掛けられた声に対し少し声を漏らしてしまった。

 いったい誰が…と思いつつ声が聴こえた方へ振り向いてみると、そこには一人の女性がいた。美女、なんて一言では片付けられない、若々しい中でも厳格さを感じられる、凛々しく美しい顔立ちに影の濃い白髪を揺らした女性が。着ている服も夜空のような紺色を基調とし、カッチリとしつつも硬さは感じない、深みのある造形で相当に上等な物のように見受けられた。こんな方が、僕にいったい何の用なのだろうか?

「えっと…どちら様、ですか?」

 当然であるが僕の知り合いにこんな人はいない。というか、この人からは今まで会ってきた誰からも感じなかった、威厳とでも表せる異様な雰囲気を感じられる。住んでいる世界が違うのではないか、とさえ思えるのだ。

「私は貴方方が言うところの…神。名を、アルタミカと言います。」

 その女性は自身を神、アルタミカと名乗った。女神という言葉で連想できるような慈愛に満ちたような雰囲気は感じないが、その言葉使いの気品、身体から放たれるオーラは、僕の目の前にいる方が本物の神様の類であることを証明するには十分だった。

「ここは人間が亡くなった後に魂が訪れる場所。分かりやすいように言えば、『あの世』。つまり、今ここにいる貴方は亡くなられた、ということです。」

 そして、この場所に来てからずっと思っていた疑問が、たった今解消された。そうか、ここは死後の世界…って、

「えええええええええ!?」

 思わず叫び声が出てしまった。だが、口からこぼれる言葉は止まることを知らないようだ。

「え、いや、確かに僕撥ねられたし、死んだみたいだったけど、ええ!?」

 状況から考えれば、今説明されたことも理解はできる。しかし、自分が本当に死んでいるという衝撃の事実は、僕には到底簡単に受け入れらるものではなかった。

「…受け入れるには時間が必要なようですね。いいです。好きなだけ時間を掛けて事実を呑み込みなさい。」

 女神様からそんなことを言われたが、それを意に介する余裕はこの時の僕にはなかった。


 僕は自身に起きた事実を、時間を掛けて呑み込んだ。

「落ち着きましたか?」

「はい…僕、本当に死んでしまったんですね。」

 そう…僕は死んだのだ。もう疑い様もない。しかし、女神様は何故わざわざ僕の元へ来たというのだろう。僕は前世でも大したことをしていないただの一個人だというのに。

「では、私が貴方に会いに来た用件について。貴方には、異界へ転生する権利が与えられました。もちろん、拒否することも可能です。その諾否を問いに来ました。」

 異世界への転生…?なんでそんな都合の良い事が…?

「異界はいわゆるファンタジー…魔族や魔法が存在する、貴方方の世界とは理の異なる世界です。」

 魔法が存在する、という言葉に僕の興味はそそられた。アニメでしか見れなかったような、カッコイイ戦闘ができる…というのか?しかし、当然ながら興味を満たすためだけに命を懸けて意味なく魔法をバカスカ使う気にはならない。

「拒否した場合はそのまま死んでいただきます。承諾した場合でも、異界では人類に牙を剥かんとしている魔王がいます。討伐しなければ、世界が滅ぶ危険性すらあります。どちらを選んだとしても、それなりの危険は伴いますが。」

 なるほど、単なる優遇ではないのか…。転生するならば魔王を倒して世界を平和にしなければ意味はないということか。当然、生きれるならば生きたい。しかし、僕に魔王が倒せるのか…?

「もちろん、異界へ赴くならば、あなたの言語を向こう側に合わせる等、最低限の援助はします。肉体も、前世の貴方の肉体をそのまま再現しましょう。」

 ここまでの援助が得られるならば、異世界に転生するのも悪くはないかもしれない。よしんば魔王を倒せず僕が死んでしまったとしても、それは今ここで拒否した場合の結末と何も変わらないだろう。ならば、ダメ元で転生してみても良いかもしれない。

「選びなさい。異界で生きるか、今ここで絶えるか。」

 女神様からの選択に、僕は少しの迷いを持ちながらも、答えを出すことにした。

初めて小説を書かせていただきました。上手く書けていない部分も多々あるでしょうが、これからも生温かい目で見守っていただけると嬉しいです。

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