俺の妻はお前ではない、旦那様が当然私に言いました。
ユルナンベル公爵家は王族との血縁関係もあり三大公爵の中でも権力に財力もあったがそれは昔の話で今では使用人に給料を払うお金も無く火の車であった。
息子が2人居るので出来れば富豪との婚姻関係を結んで財政難のユルナンベル公爵家を助けてくれたら嬉しいと考えていた。
屋敷の玄関ホール螺旋階段2階で男女2人が言い争い男が螺旋階段から落ちていた。
騒ぎを聞き付け執事セバスチャンが指示を出しアーサーを自室のベッドに寝かせ医者が着くまでレイチェル・ウインナイト公爵令嬢から話しを訊いていた。
「私はアーサー様と話しをしていて気が付いたら落ちていたのです、ショックで何故、彼が螺旋階段から落ちたかは覚えていません」
レイチェル公爵令嬢は泣きながらアーサーの心配をしている。ショックで記憶が一部、無くなったようだが頭を打ったわけでも無いのだ記憶を失なうだろうか?
「アーサー様が目覚めたら話しを訊けます、それまでレイチェルお嬢様はお休みください」
「いいえ、アーサー様が目覚めるまで側にいます側に居させてください」
ハンカチーフで涙を拭いて意気消沈していた。
次の日から私はアーサー様を看病して彼が目覚めたら、あの日何があったか本当の事を知りたいと思っていましたが残念です、アーサー様は記憶をなくしていました。
その後、私とアーサー様は愛しあうようになり婚約者となり結婚をしました。
愛する人と結婚できて幸せですが最近悪夢を見るようになり元気が無い私を彼は気遣ってくれます。
*
ある日の午後公爵家、屋敷の玄関ホールでウインナイト公爵は事故の後遺症で記憶喪失になっていたが奥様である、レイチェル公爵夫人と侍女3人を前に突然記憶が戻ったようで、今ショックを受ける言葉でレイチエルの心を傷付けていました。
「お前は何故この屋敷に居るのだ」
と言い放ち。
「俺の妻は君では無い」
宣言され戸惑う私と使用人達。
私は旦那様に訊きました。
「では貴方は誰で奥様は何方ですか?」
旦那様が突然記憶がもどったと言いだして私は彼に本当のことを伝えなければならないと決心しました。
愛する妻は彼女1人だ。
「俺の妻は君では無い、お前が妻のはずがない結婚は間違いだ俺には婚約者がいるんだ名前はオフィーリアだレイチェルお前は何故ここに居るんだ」
旦那様の発言に私は心がズキズキ痛みだしましたが名前と私の顔は覚えてくれてる、その事は嬉しかったが食事をする気がせず旦那様も同じように夕食を残されていました。
本当に私のことを忘れたのでしょうか?
*
執事エドウィンにユアース義兄様に書状を届けさせたら奥様と一緒に来てくださり旦那様は冷静で落ち着いておられます。
ユアース義兄様は記憶が戻った弟を久し振りに見て嬉しそうに話しています。
「記憶が戻って良かったな大事ないか?」
アーサーは久し振りに見る兄と兄嫁に合えて嬉しそうです。
「全部思い出し僕を階段から突き落とした犯人を明日あぶり出します」
可笑しいです自分の妻はオフィーリアだと宣言していたはずなのに今は落ち着いて話せるのですか?
それにこの屋敷はアーサー様が私の家の婿養子になったから住んでいるのに、『何故お前が居るんだ』と言われても彼はどうしたのでしょうか?
オフィーリアは久し振りに見る義弟が少し怖かった。
「良かった記憶も戻り元気になられて安心しました」
アーサーは彼女に何も言わず、冷たい微笑みでオフィーリアを眺めていた。
〖旦那様を突き落とし利益を得る者は誰か?〗
ユアース義兄様は旦那様が記憶を失くしてユルナンベル公爵の家督とアーサー様の婚約者だったオフィーリア様と結婚して幸せになっているわ。
本来ユルナンベル公爵家を継ぐのは弟アーサーでした。
兄であるユアースの母親メイは平民で父親フラルスの御両親は結婚を赦さず暫く実家を離れて暮らしていました。
ユアースを産んで直ぐメイは亡くなったので、フラルスを公爵家に連れ戻しエレノア侯爵令嬢と結婚させて産まれたのがアーサーでした。
血筋を一番に考えるユルナンベル公爵家はアーサーを跡取りと宣言したのです。
オフィーリア義姉様、旦那様と婚約されてたけど案外ユアース義兄様を愛していて、アーサーがいなくなれば家督も義兄様もオフィーリア義姉様の物になるわ。
私は段々恐ろしい想像をしだして自分が嫌になっていました。
愛する旦那様も疑い家族を疑うなんて酷い仕打ちをしています。
結婚してから皆から親切にされてるのに私は皆を疑ってる。
だけど今は真相を解明しなくては、安心して生活ができないわ、後は私とアーサー様だけど、旦那様のことを愛していて、あの頃の貴方は私には見向きもしないで辛い毎日を送っていました。アーサーに告白したけど返事は思った通りで悲しかったわ。
『俺の恋人はオフィーリアだ君は友達だろ今までどうり仲良くやっていこう』
螺旋階段から落ちて記憶を1部失くし私のことを愛してくれるようになり結婚してウインナイト公爵の婿養子になって筆頭公爵のお父様の代わりで領主代行、領地運営をまかされている。
考えてみたら旦那様にも利益はあった婚約者オフィーリア様と結婚するより私と結婚する方が、爵位は公爵で同じだけど財産は家の方が良いは今までその可能性は考えもしなかった。
私を誘導して技と階段から落ちる?それも有りかもしれないと推測していた。
*
私達、夫婦は王都から離れた領地であるウイザードに住んでいます、田舎ですが住みやすく領民は穏やかで働き者が多く仲良く暮らしています。
これからアーサー様の実家に向かっています、馬車で10時間程で着くから案外近いです、私達は旦那様が記憶を失くした屋敷に、あの螺旋階段は今もあると義兄様が話してたから犯人が誰かきっと解ります。
お昼休憩で食事のできるお店に入ることにしました。従者はレオ侍女はマリと旦那様と私4人でテーブルに座ると女将が挨拶にきた。
私達夫婦は商人で従者と侍女だと女将には話した。公爵だと名乗ると色々面倒な事になる場合があるから身分を隠して平民風を装うっています。
後で女将は私達を伯爵以上の貴族だと気付いてたと従者レオが話していました。
今日のオススメは若鶏の香草焼きにコーンスープとツナサラダコーヒー付き美味しそうなのでオススメにしました。
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ここから少しアーサー・ウインナイト公爵代行の話になります。
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アーサーは銀髪エメラルドの瞳、高身長、色白の美丈夫で結婚する前は兎に角モテて屋敷門を令嬢の執事達が書状を渡しに列をなしていました。
レイチェル公爵令嬢は、そんなアーサーを好きだった知り合ったのは同じ公爵で母親同士が親友で小さい頃から一緒に遊んでいたからだ。
アーサーは学院に入学し3年生になった頃1学年下にオフィーリアが入学してきてオフィーリアを見て恋をした。
アーサーは卒業式の後オフィーリアに求婚して婚約者になる。
レイチェルはまだ13歳で妹で幼馴染み位にしか見ていなかった。
久し振りに見たレイチェルが美しくなって俺の目の前に現れた頃からレイチェルを何時も見ていて婚約者がいるのに俺は何を考えているんだと色々考えてると心臓が痛い。
金髪碧眼ビーナスのような微笑、しまった体つきで俺は見惚れて動けなかった。
それからはオフィーリアと合う日が減って彼女は兄に相談しているようだった。
最近レイチェル公爵令嬢は昔のように遊びに来たりしている、そんなある日、螺旋階段の上でレイチェルに呼び止められ。
『私ねアーサー様が好きなの、だけど貴方にはオフィーリア様がいらっしゃって・・・・・・婚約してるから諦めます』
俺が好きなのに婚約者がいるから諦めるだって、そんなの駄目だ。
だが俺の口から出た言葉は愛してるではない。
『俺の事が好きだって普通なら告白せず諦めるだろう?お前は俺から愛してると言われるかもと期待して告白したんだ』
俺は、なんて酷い言葉を彼女に告げてしまったんだろう。
彼女はガタガタ震えながら。
『私はそんなこと思っていません』
俺は、泣きそうな彼女に追い打ちを掛けていた。
『はん、浅ましい女だ』
螺旋階段を下りようと右足を上げた瞬間ドンと音がして階段から転がり落ちていた。
受け身を取りながら転がっていたが少し頭を打ち気を失っていた。
*
気がついた俺を看病していた母とレイチェルは泣きながら喜んでいた。俺は記憶のないフリをしていて、あの時俺は誰に押されたか解らない見ていなかった。そう答えていた。
家族のことやレイチェルのこと婚約者のことは覚えていない、そう話したら医者が記憶喪失です頭の打ち所が悪かったようです、と診断されて、もしかしたらチャンスかもしれない『レイチェルと結婚できるかも』そう考えていた。
浅ましい考えを持ったのは俺の方だ!
彼女の事を忘れているので婚約を解消して欲しいとオフィーリアの両親に話すと割りと簡単に承諾してくれて安心した。
誰が俺を押したかは覚えていない他は覚えているのに、レイチェルに婚約を申し込んで婿養子に入った。
後で、ユルナンベル公爵は兄に家督は継いでもらうと父親から訊いた。
婚約して半年、幸せに過ごし結婚式を行う事になり兄達とも一緒にすることになり兄の相手はオフィーリアで安心した。
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ここからまたレイチェルの話です。
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食事して馬車に乗り込み、夕暮れで私は旦那様の肩に寄り掛かりウトウトして、ぐっすり寝てしまいました。
馬車が止まり旦那様の実家に到着して、久し振りのユリナンベル邸です。
義父様、義母様がいらして。
「ご無沙汰しております」と挨拶していると。
義兄様、義姉様もいらして旦那様はご両親と話ていました。
「今日は、お集まり下さり、ありがとうございます」
「そんなこと当たり前だ元気そうで良かった」
挨拶したので螺旋階段に行き旦那様が落ちた日の話を始めました。
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俺は結婚したあと幸せで、レイチェルの寝顔を見るのが楽しみで隣で寝てる彼女の艶やかな髪を撫でていると。
彼女が苦しそうに呟き。
『ごめんなさい、押すつもり無かったのよ』
泣きながら寝言を言っていた。
俺が螺旋階段から落ちた時の事か?彼女なのか?だが、あの時ドアが開く音が聞こえて違う誰かが居たはずなんだ。
そうだレイチェルではない俺が嫌いな香水の香りだ誰がつけていた?レイチェルは勘違いしてる。
俺はハッキリしたくて義姉の名を呼んでいた。
「オフィーリア君だよね?」
アーサーは今まで1番怖い顔をしています、魔王、般若のような顔になっています。
「オフィーリア君が俺を押したのか?」
皆がオフィーリアを見ています。
***
螺旋階段の右側に応接セットがあるので、そのソファーに座り侍女オードリーがお茶の用意をした。オフィーリアは悲しげにあの頃の自分の思いを語り始めた。
「学園に入学して直ぐアーサー様と出逢い恋をして幸せだったわ・・・・・・暫くわね」
だけど婚約者になったのに、アーサーは私を見なくなった貴方は何時もその瞳で見つめていたのはレイチェル様よ、私との約束は破ってばかり何かと言い訳をして彼女の屋敷に向かっていた。
オフィーリアはドレスを両手で掴んで震えていた。
「私は悪く無いアーサーが裏切ったからよ、レイチェルのこと好きになったよね解るのよ、私といても上の空で貴方は私を遠ざけようとしていたわ」
両手で顔を覆い低い声で話した。
「何ヵ月もデートしてないし、あの日、貴方はレイチェルと言い争いしていて私は部屋から出てレイチェルを押したのよ、それで彼女はアーサーを押したと勘違いしたのよ!」
私は黙っていると、レイチェルが話し始めた。
「もしかしてアーサーが話してたのは香水のことかしら?花の香りだけど噎せるのよね」
アーサーが目を見開きあの香水は薔薇だ。
「薔薇の花の香りの香水だ。そうか、オフィーリアが何時もつけていた」
私は、アーサーを愛してただけ、なのに今は彼の兄を愛してる、ユアースが慰めてくれて、やっと立ち直ったのに、忘れようとしてた事を思い出してしまった。
何故、貴方達は昔の事を暴こうとするの?
「レイチェルを押したのは私よ、その勢いでアーサーが落ちたのよ」
泣きながら謝って、ユアースにすがり付き泣いていた。
ユアースはレイチェルから、あの頃アーサーの心が離れレイチェルを愛してる、と相談されていた。
初めは、弟の恋人が悩んで苦しんでる姿が気の毒で色々相談にのっていた。
それだけだったが何度も会ってるうちに、レイチェルを1人の女性として愛するようになっていた。
「オフィーリア、君を警察に報告するつもりは無いよレイチェルが毎日寝言で泣いて謝るのを見たくないんだ。これで彼女は悪夢を見ないですむよ」
「ごめんなさい私が事実を話していたらレイチェルが悩んだりしなかったのに、あの頃はまだアーサーを愛していたのよ」
泣きながら悔やんでいたが、全て話してスッキリしたようだ。
私だって苦しんでいたは、まさかレイチェルを押したらアーサーが階段から落ちるなんて思いもしなかった。
*
あれからオフィーリアとレイチェルは妊娠が分かり皆が喜んで、色々あったが今では良い思い出になるかもと思っている。
7ヶ月後レイチェルが女の子を産んで、その後
オフィーリアが男の子を産みました。
旦那様が朝起きると俺の妻は君では無いと言うのです、戸惑う私と使用人達私は訊ねました、では貴方は誰で奥様はどんな方ですか?
俺は螺旋階段から背中を押され受け身をしながら落ちて少し頭を打つ位ですんだが一部記憶が消えて婚約していた女性とは解消して違う女性と結婚したようだ。