第4話 魔人顕現
久々の更新です。
イーグル・ポイントでは激しい戦いが繰り広げられていた。
グレイブナイトを斬り捨てたリリティアは炎属性の斧を構える若き指揮官、ジェリへと向かっていく。
「王国の騎士か!お前をやれば俺の名も上がるってものだ!!」
振り下ろされた斧はリリティアを捕らえることなく空振り。
カウンターで叩き込まれた剣をジェリが盾で受け止める。
「お前のような小物にかけている時間はない」
「小物だって!?この俺を、随分と甘く見てくれたものだぜ!!」
吼えるジェリの懐に一瞬で飛び込んだリリティアは告げる。
「オーラ……」
「!?」
「スラッシュ!!!」
聖属性の魔力を帯びた衝撃波がジェリに直撃し爆発した。
「言っただろ?小物かけている時間はないって」
仰向けに横たわるジェリに吐き捨てるとリリティアはヴァルトロメオを探す。
そして視線の先、敵の女性指揮官であるラミラの持つ武器を破壊し喉元に刀を突きつける彼を発見した。
ラミラは歯噛みしながらも両手を挙げて降参の意を示す。
指揮官が陥落したことを知った兵達は抵抗を止めると逃亡を図ったり降伏を始めた。
「あっさりとしたものだな。もう少し抵抗があるものと思ったが……」
「もう少し早く落とされると思っていたけれどね」
「!?」
それはあり得ない光景であった。
リリティアの視線の先に立つのは本来ならこんな場所に居るはずのない人物。
「アーデルハイト!」
「ごきげんよう。我が姉」
戦争を引き起こした張本人である皇帝がそこに立っていた。
「ほんまもんの皇帝か!?ならここで」
ラミラを部下に拘束させたヴァルトロメオが駆け寄ってくる。
アーデルハイトはそれを一瞥しため息。
「悪いけど、邪魔をされたくない。だから……」
アーデルハイトが何やら印を結ぶと拘束されていたラミラがもがき苦しみ始める。
「が……くぁぁっ!!?」
ラミラの身体が膨張し破裂。
中から首周りに巨大な数珠の様な装飾品をつけたドクロの魔人が姿を見せた。
「何やと!?」
ドクロの魔人は装飾品から放つ魔法で周囲の兵士たちを撃ち抜くと宙に浮かぶ。
「我は古の時代に封印されし『星天の魔人』。今、ここに生贄の肉体を喰らい復活を果たした!!」
「魔人よ。新たな肉体を得て復活したあなたに新しい名を与えよう。その名は……」
アーデルハイトは魔人を指さし叫んだ。
「アン・ターレス!!!」
「ガキガキ、気に入ったぞ。よかろう。今から我はアン・ターレスだ。」
「アン・ターレスよ。その力を示し、我が敵を討つがいい!!」
「よかろう、強き者よ。我の封印を解いた汝の命を実行しようぞ!!」
宣言と共にアン・ターレスは装飾品より雨の様に魔法の矢を降らせ始めた。
王国兵、帝国兵、街の住民など無差別に攻撃していく。
「くそっ!無差別かいこのタコが!!」
矢を避けながらヴァルトロメオが屋根へと上がっていきアン・ターレスに飛びかかる。
攻撃は腕に発生させた円形の円形の障壁に弾かれた。
「ほう、かかって来るか弱き者よ」
「俺が弱いかどうか、しっかりその身で感じてもらうで!!」
一方、皇帝は涼しい顔で2人が交戦状態には行った事を見届けるとリリティアに提案する。
「本当はもうひとりの指揮官にも魔人復活の術式を埋め込んでいたのだけれど絶命してしまったから仕方ない。さて、場所を変えようか。二人きりで話がしたい」
「ああ、その様だな……」
リリティアは申し出を受けるとアーデルハイトに先導され街の奥へと進んでいった。