第3話 イーグル・ポイントの戦い
ナダ共和国はクーデターにより政権を奪われ「神聖ナダ王国」として生まれ変わった。
ただし、混乱に乗じての帝国による侵略を許し国土の一部を取られてしまっている。
更にはエルピス王国という神聖ナダ王国に隣接する国家が親帝国の立場を表明した為、緊張が高まった。
戦争勃発前にアカデミーから逃げ出したリリティアはクーデターに参加しその後、神聖ナダ王国の遊撃部隊を率い各地を転戦していた。
今回、彼女が訪れたのは国土の北方、イーグル・ポイントと呼ばれる街であった。
かつて巨大な鷲を使役する部族が統治していたというこの地域は3国家の中間に位置するアリアンロッドアカデミー地帯から神聖ナダ王国に侵入するポイントのひとつであった。
街から少し離れた所に建てられた神聖王国の野営地でリリティアは帝国に占拠された街の方向を見る。
「やれやれ、まさかこないな前線にお前が立っとるとはなぁ」
振り向くとそこに立っていたのはアカデミーで共に学んだヴァルトロメオだ。
「お前、名家の出なんやし新政権を奪取した中枢にいる人間やろ。それが何で……」
「ミアガラッハは一度没落した貴族さ。神聖王国になってから再興はしたものの領地は与えられていない」
彼女はその本名をミアガラッハ・リリティアという。
かつてミアガラッハ辺境伯領を治めていたミアガラッハ家は共和国に変わった時に時代の流れに乗ることが出来ずそのまま没落へと突き進んでいった。
「なぁ、聞いてもええか?学生時代から噂になってたことやけど……その、お前と帝国の皇帝って」
「ああ。そうだな。アーデルハイトは私の異母妹だ」
「やっぱり、噂はほんまやったんか」
リリティアは小さくうなずく。
「私とアーデルハイトは幼い頃は一緒に暮らしていたが、色々あって離れ離れになった。親たちは険悪だったが私達自体は仲が良かったよ。まあ、それも昔の話だ。今のあいつは世界を壊そうとする悪逆皇帝だ」
「世界を壊すってどういう事なんや?俺はてっきり各地で虐殺や略奪を仕掛けてくるかと思ったけどそんな事は無い様や。あのイーグル・ポイントも1点を覗けば街として機能はしている」
ヴァルトロメオはその『1点』に目をやる。
占領された土地には帝国領であることを象徴する為か巨大な尖塔型モニュメントが建てられていた。
戦死者というのも戦闘に参加した兵士達だけであり非戦闘員である市民に被害は無い。
だが、リリティアは胸騒ぎを感じていた。
世界を憎んだあの皇帝がそんな人道的な戦争で『終わらせるはずがない』。
何か企みがあるはずだ。
だからこそ、目の前のイーグルポイントは奪還しなければならないのだ。
「それじゃあ、行こうか……」
遊撃隊の指揮官は2名
リリティア
クラス シルバーナイト(上級職)
武器: 剣「オプシドソード+」
スキル 白魔法、見切り+ 障壁 剣の達人
ヴァルトロメオ
クラス ソードマスター(上級職)
武器 刀「銀旋風」
スキル 見切り+ 刀の達人、騎馬殺し
対する帝国軍占領部隊は
ジェリ
クラス フラッドウッズ(中級職)
武器 斧「ソルアクス」炎属性
スキル 炎属性強化 斧術Lv2
ラミラ
クラス フラッドウッズ
武器 槍「トルペードランス」水属性
スキル 水属性強化 槍術Lv2
この2名が
グレイブナイト※帝国初級職 武器 剣
アーチャー 武器 弓
の兵士たちを従えていた。
そして、戦いが始まった。