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42話 やっぱデケェGじゃねぇかよ!

でかーい!

 ビレシワの使者は微動だにしない、しかしいつ動き出すかわからない。

 王国の騎士団が到着し、戦闘準備をしていた。

 ……のんびりしてんな王国騎士団も使者も。


「あ……あぁ、まだ猶予がある、使者は産まれたばかりで、力が出ないはず」


 ヴィヴィアンが孵化したビレシワの使者を見ながらそう言った、そんな都合の良い設定でビレシワの使者は動けないようであった。

 ヴィヴィアンの一族は、代々ビレシワの封印を護ってきた一族だと言うのだった。ここに来てそれっぽい設定が登場しているが気にしないように。


「産まれたてであの大きさですか……見た目がまんまあの虫ですから背筋が寒くなりますね」


 ルーシアはしかめ面でビレシワの使者を見ていた。

 教師陣に指示していたメルリカ婆さんがルーシアとヴィヴィアンの元に来る。


「よし、二人とも街に行くよ。冒険者やアジャルタ達にアレをどうにかするための協力を取り付けに行くよ」

「ここまでの事態ですから国も動くと思いますよ」

「動くだろうね、これで動かない王がいたら逆におどろきだからねぇ。よしさっそく向かうよ!」


 三人は箒(一名卒塔婆)を取り出し街へと向かい空へと舞った。


 ――

 ――――


 アンジェリカもリヴァイアサンも全員で腕を組んで唸っていた。


「チェイニーちゃん、タイミング最悪ねぇ。あんなデカイ油黒虫が出てきた時に助産院ですもの」

「主よどうするつもりだ? アレは間違いなく神の使いだぞ。騎士団ごときに倒せるとは思えん、しかしアレをどうにかせねば何が起こるか分からんぞ、あんなものが街に来たらひとたまりもないだろうな」


 リヴァイアサンほどの悪魔が言うのだからヤバイのだろう。

 あの油黒虫どうしよう会議のようではあるが、アンジェリカだけは少し違うようだった。


「リヴァイアさん、オバさんはね油黒虫のお化けをどうするつもりなんて考えてないのよ」

「ん? では何を考えているのだ?」

「どうやって退治しようかって考えてるのよ。当然じゃないの孫が産まれようとしてるのよ、オバさんには力があるのだから、命を懸けてでも守るわよ」


 アンジェリカの腹は最初から決まっていたようであった。

 リヴァイアサンは表情の分からない顔で、顔? まあ顔のありそうな当たりでアンジェリカを見た、そしてマーシャ達も皆がアンジェリカの顔を見ていた。


「以前騎士団があの卵に攻撃してましたが、ビクともしてませんでしたよね。でもアジャルタさんの魔法なら通用しないですかね? 一度様子を見る感じで仕掛けてみたらどうです?」


 ゼノが提案をする、しかしリノが返した。


「兄さん危険じゃないかな? 下手に刺激して暴れだしたらどうするの?」

「その危険性はあるが、相手の事が分からないんじゃ手の打ちようもないだろ?」


 と、そんな話をしてる時に来客が来たのだった。アンジェリカが扉を開けると、ルーシア達が立っていた。


「あら? ルーシアちゃんにヴィヴィアンちゃんとメルリカさんじゃないの?」

「アジャルタさんご無沙汰です」


 メルリカ婆さんの姿があると言う事で、アンジェリカですらどんな用事で来たのかに気付いた。


「ひょっとして、あの虫の件かしら?」

「おや、アジャルタにしては鋭いね。ご名答さ、アンタたちに協力してほしくてね」


 メルリカ婆さんの提案はアンジェリカとしても有難い申し出だった。

 アンジェリカは考えるまでもなく即決で承諾した。


「いいわよー、オバさんもアレをどうにかしたい所だったのよ」

「即決とはこちらとしても有難いね、学園総出で協力するつもりだよ」


 学園総出という言葉でアンジェリカが何か思いついたようだった、きっとロクでもない事だと思う。


「オバさん凄い作戦考えちゃったわ!」

「作戦?」


 アンジェリカは全員を呼び、作戦の説明をはじめるのであった。



絶対ロクな作戦じゃないから

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