幼馴染とお昼ご飯
「ふふっ」
「そんなに嬉しかったのか?」
「うん! だってけいくんに選んでもらったものだし」
と言って早速付けているシュシュを触った。
「じゃあ次は俺も選んでもらおうかな」
「別に良いよー! でも何を選ぶの?」
「まだ決まってないから決まったら教えるよ」
「分かった。楽しみにしてるよ」
「おう。——で、次はどこに行くんだ」
少しの雑談が終わり、次行く場所を聞いた。
「もうすぐお昼だし、お昼ご飯かな」
「もうそんな時間か。早いな。まぁ適当に店でも探すか」
「うーん。お昼ご飯がパフェとかは?」
「それは流石にキツくないか」
「いや大丈夫だよ。期間限定のパフェがある店は喫茶店だから、他の料理もあると思うの」
「喫茶店かー。ならありだな。じゃあ行ってみるか」
「うん!」
喫茶店はそこそこ混んでいた。でも少し早めに来たため、まだマシだった。
喫茶店の席に着いて、結衣は「ふぅー」と一息ついてから俺に話しかけた。
「早くに来て良かったねー!」
「だな。もっと遅かったら並ばないけなくなってたぞ」
「そんな事になったら私ヤバいかも。今まで歩いてきたので結構しんどかったから」
「まぁ結衣って中学のマラソン大会とかドベの方だったもんなぁー」
「ど、ドベじゃないよー。毎回下から5番目には入って無かったからセーフだもん!」
「でも学年別でだろ。120人位はいたぞ」
「う……。それは言わないでー!」
そんな風に結衣をいじっていると、店員さんが料理を運んで来た。
「お待たせしましたー」
「ありがとうございます」
「ハンバーグのセットとオムライス、それに期間限定パフェです。ごゆっくりー」
そう言うと店員さんはそそくさと厨房へ戻って行った。
「じゃあ食べよ!」
「その前に、このパスタ食べて欲しいんだけど」
「あー。けいくんパスタ食べれなかったね」
「ああ。ハンバーグは好きなんだけど、それについてくるパスタのせいで困るんだよなー」
ハンバーグは好きだけどパスタは嫌いな人なら共感できるはずだ。
「いっつも私が食べてるもんね」
「本当に助かってる」
「じゃあ、あーん」
そう言って結衣は口を開けた。
「おい! ここでもやるのか?」
「そういうルールでしょ」
俺がパスタを食べてもらう時は"あーん"をするというルールが謎にできているのだ。
「でも今人多いぞ」
「実を言うと私も恥ずかしいんだよ……」
「じゃ、じゃあ!」
「でもダメ! やらないと。それとも自分で食べる?」
「うっ!」
俺は究極の選択を迫られていた。本当に嫌なパスタを食べるか、めちゃくちゃ恥ずかしい行為をするかの二択に。
でも付いている量はそこまで多くない。
「どうするの? けいくん」
結衣は俺の方を見てくる。恥ずかしそうに、かおを赤くさせ、涙目になっている。
結衣に恥をかかせるわけにはいかない。
「パク」
俺はパスタを自分の口に放り込んだ。
そして置いてあった水で流し込む。
「(うっ。まっず)」
俺はそう呟いて、白飯も口に入れる。そして飲み干し、結衣の方を見る。
「けいくん……。私の楽しみが……」
「な、何でそんなに落ち込んでるんだ! ちょ、元気出せって」
「もう良いよー。けいくんはそういう人だもんね」
「そうか……」
結衣はそう言ったが、元気はなさそうに見えた。
何でだ。……いや、何となく想像は付いている。
俺が目を逸らしているだけなんだ。でも嫌がられたら……いや大丈夫な筈だ。
俺は決心し行動を起こす事に決めた。
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