幼馴染と遊びに行こう
「じゃあまずはここ!」
「えーっと……アクセサリー屋?」
「そう! 来てみたかったんだよねー。ここらを色々調べてたから」
「へー。俺は何にも調べてないや」
「けいくんはそういうところめんどくさがるからね。新しい所での生活楽しみにしてた?」
「もちろん楽しみにしてたぞ。でも俺は、歩いて穴場を探す方が好きだからなー」
「それも分かるよ。見つけたときの嬉しさがヤバいよね」
「だよなー。まぁ中に入るか」
「うん。こんな所で話してたら邪魔になるだろうしね」
俺たちはアクセサリー屋の中に入った。
「うわー色々あるよ!」
「ああ、そうだな……」
「ん? どうかした?」
「いやー場違い感が凄くて……」
中は男子を寄せ付けないような空間が広がっていた。結衣と一緒じゃなかったら、即退室レベルだ。
「大丈夫! 私がいるから」
「ああ。何だか結衣が頼もしく見える」
「でしょ!」
俺が褒めると、結衣は腰に手を当てて、自慢げな顔をした。
「じゃあ早速選んで行こー」
「お、おー……」
そうして結衣に似合うアクセサリー探しが始まった。俺は全然自信が無かった。
「これなんてどうかな?」
早速一つ目を持ってきた。真ん中にハートマークがあるだけの簡単な柄のネックレスだった。
「良いと思うぞ」
「ほんと! じゃあこっちは」
次は花柄のシュシュを持ってきた。
「良いんじゃないか」
「もう。真面目に言ってる?」
「ああもちろん真面目……だぞ」
「じゃあこれとこれどっちが良い?」
そう言ってさっき良いと言った、ネックレスとシュシュを持ってきた。
「えっと……」
「さあさあ」
「じゃあ……」
「うん」
ファッションなんてよく分からないけど、この期待するような目で見られたら、答えるしか選択肢が無いじゃないか。
「こっち」
俺はシュシュの方を指差した。
「へー。こっちが好みなんだ……」
「まぁでもどっちも本当に似合ってたからな」
「ほんとかなー?」
「本当だって。結衣は元が良いんだから、似合わないものなんてそうそう無いって」
家からアクセサリー屋に行くまでも、結衣が通ると結構の人が二度見してたからな。
「……なんかけいくん。最近そういうところが多いよ!」
「そういうところ?」
「もー! 私を大袈裟に褒める事だよ!」
「褒める時は事実しか言ってないけど。それにそんなに最近褒めてたか?」
「褒めてたよー! それに事実って……」
そう言って、恥ずかしそうに体をもじもじさせた。
少し振り返ってみる。……確かに同居になってから多少は増えた……かな。
「まぁ中学の間は一緒に居れない時もあったからなー。その反動かも」
「じゃあ次から気をつけてよ。じゃないと私、死んじゃう」
「うん? 何でだ?」
「もう、察してよ」
そう言って俺のことをポカポカと殴ってきた。でも力は入っていなかったから、痛くなかった。
「ごめんごめん。分かったから殴らないで」
「もう。分かったなら良いけど」
そうして結衣は会計に向かった。俺が出すと言ったけど「大丈夫」と言ってすぐに行ってしまった。
それにしても何で「死んじゃう」なんて言ったんだろう。
は! まさか俺のことを…………なんてな。
結衣が戻ってきたので、アクセサリー屋を後にした。