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幼馴染との同居生活  作者: 鳴子
付き合ってからのお話と、聡太と有紗

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52/83

決着

「まだ何かあるのか」


 有紗のお父さんは、貫禄のある声でそう訊いてきた。


「有紗さんとの交際を認めてください!」


 やっと出てきた言葉。時間にしてはたったの一、二分の出来事だったかもしれない。でも、俺にとっては何時間もかかって出てきたような、とても大切な言葉だった。

 しかし、


「駄目だ。お前と有紗は不似合いだ」


 返ってきたのは淡々と俺の言葉を反対する言葉だった。

 でも俺は諦める気はさらさら無かった。有紗のお父さんの言葉を認めるつもりはなかった。だから徹底的に抗うつもりで口を開くと、


「どうしてそんなこと言うの!」


 横からそんな声が聞こえてきた。

 声が聞こえてきた方を見てみると、ボロボロと涙を流している有紗がいた。


「そんなこと言わないでよお父さん! 私が初めてこの人が良いって決めた人なの。だから……お願いだから認めて、お父さん……」


 最初は強かった言葉も、紡いでいくうちにだんだん弱くなっていった。

 そして最後の一言を言い終わると、有紗はその場で泣き崩れた。


「……それでも駄目だ」


 しかし、有紗の必死の訴えを前にしても認めようとはしなかった。

 だけど、有紗のこの訴えでまた勇気をもらえた。

 有紗に——好きな女にここまで想われていて、ここまで言ってもらって、男として引き下がるわけにはいかない。


「有紗さんは僕のことを好きだと言ってくれました。僕も有紗さんのことが好きです。それだけでは駄目ですか」


 俺はそう、丁寧に問いかけた。


「駄目だ。お前と付き合って、結婚までいったら有紗は後悔する」

「絶対に後悔なんてさせません!」

「何故そんなことが言えるんだ」

「僕——俺が一人の男として上原有紗のことを愛しているからです。その愛している人を、後悔させることだけは絶対にさせません!」


 有紗のお父さんの問いに対して、俺は思っていることをそのままぶつけた。


「だから、認めてください! お願いします!」


 俺は改めて頭を下げてそうお願いをした。


「もう良いんじゃない。お父さん。そんな意地を張らなくても」


 俺のお願いした後最初に声を発したのは、有紗のお母さんだった。


「何となく気がついてるんでしょ。聡太くんがとっても良い人だって」

「…………」


 有紗のお母さんの言葉に対して、有紗のお父さんは少しの間沈黙していた。

 しかし少しすると


「分かった……。交際を認める」


 と、少ない言葉だったけど、ちゃんと許しをもらえた。

 その言葉を聞いた途端、急に目頭が熱くなった。

 

「やったわね。聡太」


 さっきまで泣いていたせいか、目の周りが真っ赤になっている有紗に話しかけられた。


「おう」


 俺はそう答えた後、有紗のお父さんの方を向いた。


「ありがとうございます! そして、これからお願いします。お父さん」


 前に有紗のお父さんに、怒られた呼び方で呼んだ。今なら大丈夫だと思ったからだ。


「だから、お前にお父さん呼びされる筋合いはないって言っただろ」


 返答は前と同じだった。しかし、口調は幾分も柔らかくて、満更でもなさそうな顔をしていた。


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