友人との話し合い
「一回外出ようか」
突然聡太がそう言い出した。
「なんでだ?」
「ちょっとここじゃあ迷惑になるだろうし」
「まぁ、確かにずっと居たら迷惑になるな」
そして俺たちはカフェを出て、公園のベンチに座った。
その日は珍しくその公園には人一人居なかった。
「じゃあ話戻すけど、それで自信が持てないと」
「ああ。結衣もあの出来事で負い目を感じて、俺と一緒に居るだけなんだ」
俺がそう言うと聡太は大きなため息を一つついて、俺を真剣な顔で見てきた。
「そんなこと言えるのどこ探してもお前だけだよ。いじめてた奴が悪い。それは変わらない。そいつらが目の前にいたら俺がぶっ殺したいくらいだ」
「それは……」
「でもな。その騒動がもう終わったんだろ。もう自由だろ。ならなんでもっと自分を信じない。結衣さんを信じないんだ」
「信じてる! 自分自身のことはわからないけど結衣の事だけは信じてる」
俺は聡太に言われたことに、少しムカついて言い返した。
「いいや、信じてない。さっきの言葉を聞くと、もしその騒動が無かったら、結衣さんがお前についてこない、と言っているようなもんじゃないか」
「結衣の夢だってあるんだ。もしあの時の出来事で結衣が負い目を感じなかったら、自分の夢を追えたんだ!」
もしあのイジメがバレなかったら俺についてこず自分の夢を追っていただろう。
「何言ってるんだ? 結衣さんの夢は、今望んでることはお前と、佐々木圭人と一緒に居るって事じゃないのか!」
「そんなわけ……」
聡太は少し怒ったような口調でそれを言い終わったあと、俺を殴ってきた。
いつもは冷たい感じがするのが暴力だった。でも今回のは違うかった。なんだか暖かいような。
「何すんだよ!」
俺はふと正気に戻り、聡太に言った。
「知らねえ。今のお前にはこれくらいが丁度いい。何も分かってないお前には!」
「なんだと……お前に何がわかるんだよ!」
何にも分かってないのにそんな事を言って殴ってくるのは理不尽だ。とても腹立たしかった。
俺も何か言い返してやろうと思い聡太を見てみると、とても悔しそうに泣いていた。
「俺はお前が羨ましいよ。親に二人の仲を、認めてもらっているお前が」
「どういう……」
「俺の家ではまだ有紗と付き合ってる事を認めてもらってないんだよ。俺たちはまだ解決していない。それに対してお前はどうだ。全て解決してるんだよな。もう誰もいじめてくるような奴はいないんだろ」
「ああ」
「ならどんどんアプローチをしていけばいいじゃないか」
「いや駄目だ。言っただろう。結衣は負い目を感じてる。俺が告白したら絶対に、承諾する」
結衣は優しい子だから。
「もうはっきり言うぞ! 結衣さんはお前の事が好きに決まってんだろ!」
「そんなわけ」
「証拠に、中学の時お前に無視されてから、悲しそうな顔をずっとしてたんだろ! それにお前が倒れてからも、ずっと面倒診てくれてたんだろ」
「ああ」
「そんなこと好きでもねえ奴に、そんな風にはならねえよ」
「それは……」
聡太の言っている事が正しいのかもしれない。
「それに遠いところまでついてきて、同居になるって状態でも、嫌がらないなんてあり得るわけねえだろ!」
「…………」
そこまで言い切った聡太は、一呼吸して落ち着いた状態で口を開いた。
「お前も薄々気づいてるんだろ。結衣さんがお前のことを好きだって。自分が結衣さんを好きだって。でも気づかないようにしている」
「それは……」
確かにそうかもしれない。俺が告ったら卑怯だと、そう感じて気づかないフリをしていた。
「最後にもう一回だけ言うぞ」
「ああ」
「お前は、佐々木圭人は笹原結衣に告らないのか?」
もう何度も言われた言葉だった。その言葉にうんざりしていた時もあった。でも今では本当にありがたいと思ってる。
「今から告ってくる」
「その言葉を待ってた」
聡太がそう言ったのを聞いて、俺が結衣のところへ向かおうとすると引き留められた。
「一個だけいいか」
「なんだ?」
「一発俺を殴れ。殴っただけ終わりなんてなんかむず痒いし」
そう言って頭をかいた聡太を見て一つ思った。
「お前を殴るのはお前を説得する時に残しておくよ」
「お前に説教される日が来るかな」
「当たり前だ。来るに決まってる」
本当に良い親友を持ったと
俺は聡太と別れて結衣のいる、俺たちの家へと向かった。




