幼馴染とデート2
「じゃあ行こー」
「おう」
次の日になり、俺たちは遊びに出かけた。
「って言っても、どこに行くの?」
「うーん……。映画とか?」
「あ! それなら私気になってる映画あるからそれを観ない?」
「いいぞー。何の映画なんだ?」
「うーん……。それは行ってからのお楽しみで」
「はーい」
俺たちは映画館へと向かった。結衣はどんな映画が気になっているんだろう、そんな事を思いながら映画館へと向かった。
「着いたよー」
「で、何を観るんだ?」
「まぁまぁ、落ち着いて」
そう言って結衣は映画の券を買いに行った。
「買ってきたよー」
「ああ、ありがとう。——ホラー映画か?」
「そうだよ……」
「結衣ってホラー映画苦手じゃなかったっけ?」
「い、いやー……。そんな事ないよ……」
結衣はそう言ったが足が震えていた。何を考えているのかは分からなかった。
「と、とりあえず行こー」
「無理しなくてもいいんだぞ」
「無理じゃないよー」
どこから見ても無理をしているようにしか見えないけど……。そんな事を思いながらスクリーンへと向かった。
「きゃー!」
映画館の色んなところでそんな声が聞こえてくる。俺はこういうのは好きだから、そこまで驚くことはなかった。でも
「なあ、ちょっと痛いんだが」
結衣に片腕をガッチリ掴まれていた。胸が当たっているのにも、お構いなしに。こういうところは気にして欲しいんだけど。
しかも俺がそう言うと、とても目をうるうるさせながらこっちを見てくる。「離したくない!」みたいな願望の顔で。
その状態が軽く一時間くらい続いた。もうとっくに腕が痺れて感覚がなくなっていたけれど、どんな場面でも頼られるのは、嬉しいもんだよな。
「やっと、終わったー」
映画館から出た結衣は疲れ切った顔でそう言った。
「そんなしんどいなら、ホラー映画見なかったらよかったんじゃ……」
「し、しんどくないよ!」
「それなら俺の腕をずっと掴んでたのは何故かな?」
「つ、掴んでないよー。き、気のせいだって。……多分」
そう誤魔化す結衣は、とても焦っていた。それに誤魔化す必要なんてないのに。
「俺の腕にびっしり跡がついてるんだよなー」
誤魔化したところで一時間くらいも掴まれていたら、跡もつくからバレバレなんだよな。
「うう……。ごめんねけいくん。嫌だった?」
「嫌、じゃないけど」
そんな結衣の顔を見ているとなんだか、許してしまう。やっぱり結衣には甘いのかな。
俺たちは映画館を出て少し歩いていた。どこに行くか迷いながら。
「じゃあ次はどこに行く?」
「うーん。あ! あそこにクレープがあるじゃん。食べようよー」
そう言って結衣が指差した方向を見てみると、クレープ屋の屋台があった。
「良いぞ。近くにベンチもあるみたいだし、そこで食べるか」
「うん!」
そして俺たちはそれぞれ、結衣がイチゴ、俺がバナナのクレープを頼みベンチへと座った。
「うーん、美味しー」
「だな」
「けいくんのも一口頂戴」
「ああ、いいぞ」
結衣に俺が持っているクレープを近づけ、それを結衣が食べた。
「うん。美味しいね。私のもいる?」
そう言って結衣は首を傾げながら、クレープを俺の目の前に持ってきた。
「い、いや大丈夫だ」
「そう? 美味しいのに」
結衣にクレープをあげてから気づいたけど、これって間接キスになるんじゃないか、と思ってしまった。
だから俺は結衣のクレープは食べなかった。
そんな風に楽しくしていると後ろの茂みから「ガサッ」と少し音がした。気になり見てみると、何もなかったから、気のせいかなと思ってそのままスルーした。
「ふぅ。疲れたよー」
クレープを食べた後からずっと歩きっぱなしだったからな。
「じゃあそろそろ帰るか」
「だね」
俺たちはゴールデンウィーク一日目を楽しく遊び、家に帰ることにした。
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