幼馴染と出かける約束
「やっと終わったな。明日からゴールデンウィークだぜ」
「ああ、そうだな」
有紗さんが俺たちの家に遊びにきてから数日が経ち、ゴールデンウィーク前最後の授業が終わった。
「じゃあ帰るか」
「だな。行くぞー結衣」
俺は後ろにいる結衣に声をかけた。
すると結衣から
「あ! ごめん。先に帰ってて」
と返事が返ってきた。
「あ、うん。分かった。——じゃあ行こうか聡太」
「ああそうだな」
結局二人で帰ることになってしまった。あの日以来なんだか結衣は付き合いが悪くなっている気がする。
その事を聡太に話してみた。
「あー。そういえば有紗も最近付き合い悪いし、一緒に遊んでるんじゃね」
「心配じゃないのか?」
「何が?」
「その……浮気とか?」
俺が例えを上げると聡太は笑い出した。
「それはねえよ。しかも俺そんな束縛男になりたくねえし」
「よく言い切れるな」
「まぁ、自分で言うのもなんだけど、有紗って俺にベタ惚れだから」
聡太は何食わぬ顔でそんな事を口にした。
「そんな自信がどこから出てくるんだ?」
「だってあいつ俺の弁当毎日作ってくるんだぜ。それだけでわかるだろ」
「そういうものか……」
弁当なら俺たちも作りあってるけど、やっぱり同居してるのとしてないのでは違うんだろうな。
そんな事を思っていると聡太が一つ提案してきた。
「そんな気になるならデートにでも誘えよ」
「はあ! なんで唐突にそんな事を」
「それだったら二人きりにもなれるし、何か聞けるかもよ」
「うーん……。確かに一理あるかもしれない」
聡太の提案を渋々呑んで結衣をデートに誘うことにした。
「な、なあ結衣」
「うん? どうかした?」
二人でテレビを見ている時に俺は話を切り出した。
「ゴールデンウィークのいつでもいいからさ、二人で出かけないか?」
「え! いいけど。どうしたのいきなり? けいくんから誘ってくる時なんてほとんどなかったのに」
「い、いやー気まぐれだよ。そろそろ一ヶ月で生活も慣れてきただろうし」
誤魔化し方が下手な気がするけど、多分大丈夫なはずだ。
「うん分かった。行こー。そういえば私、まだけいくんに何か選んであげるっていうの、やってないしね」
「ああ、そうだな。じゃあいつ行く?」
「うーん……。明日でいいんじゃないかな? 何か予定ある?」
「いや、大丈夫だ」じゃあ明日に行こうか」
「はーい」
結構簡単に出かける予定が決まった。
そういえば俺は何を心配していたのだろうか。別に結衣がどこで何をしててもそこまで関係ないはずなのに……。
pvが1万を超えました!
読んでくださっている皆様ありがとうございます!
ブックマーク評価感想をしてくれると嬉しいです!