幼馴染と部活動紹介
「じゃ俺たちも行くぞ。圭人、結衣さん」
「急がないと遅れちゃうわよー」
「今行くよ。行くか」
「うん」
俺たちは体育館に移動していた。部活動紹介を見るためだ。
皆んな部活に入るのかな。気になった俺はふと聞いてみた。
「皆んな何か部活に入るのか?」
「私は入らないよ」
「俺もー」
「私もね」
「皆んな入らないのか! 意外だな」
何かしらの部活には入ると思ってた。
「私はまだ生活に慣れてないからね」
「まぁ俺もそんな感じだな。めんどくさいし」
「私も勉強に力を入れたいかなって」
「へー。皆んな色々考えてるんだな」
「そう言う圭人はどうなんだよ」
「俺?」
うーん部活か……。
「俺も入らないよ」
「そうか」
「じゃあ休みの日とか4人で遊べるわね」
「そうだねー」
「まぁそれも青春だよな」
「だな」
そんな会話をしながら体育館へと向かった。
「書道部のパフォーマンス凄かったね!」
部活動紹介が終わると結衣が話しかけてきた。
「だな。あと吹奏楽部も凄かった」
「だねー。でもああいうのは見るのが楽しいからね」
「分かる。自分で出来る気しないし」
「いや、けいく——圭人くんはスポーツ万能だから、結局何でもこなしそうだけどな」
「そんな事ないって」
そんな風に結衣と部活動紹介の感想を言い合っていると、聡太に話しかけられた。
「なぁ圭人。今週末お前の家で行っても良いか?」
「俺の家? 何で急に」
いきなり何を企んでいるんだろう。何にせよ家に入られるのだけは、阻止しないといけない。
「色々二人で話したいことがあるんだよ。お前って一人暮らしだろ?」
「まぁ……そうだけど。でもまだ片付いてないぞ」
「良いって。逆に手伝ってやるよ」
うーん。流石に同居のことがバレるのはヤバいよな。そう思ってチラッと結衣の方を見てみると、結衣は有紗さんに話しかけられていた。
「うーん……」
「どうしてもダメなら諦めるけど」
「ああまぁ呼べるようになったら呼ぶよ」
「その時は楽しみにしてるよ」
そこで一つの山場を越えたと思ったのに。
帰ってからこんなことを言われた。
「どうしよう。今週末有紗ちゃんがこの家に来ちゃうよ」
「へ?」
「ごめんね」
結衣は可愛く謝ったが
「可愛く言ってもダメだー」
「ごめんなさーい」
また山場がやってきたようだった。
「それで、どうするんだ?」
「うーん……」
「先に二人で遊んでたようにするとか。俺が結衣の家に遊びにきたって感じで」
それなら同居の事はバレないと思う。
「うーん。でも有紗ちゃん二人で話したいって言ってたからな。けいくんがいたら不自然になるかも」
「なるほどなー……。じゃあ有紗さんがいる間は俺がどこかに行っておくか?」
「それしかないよね。それでけいくんの荷物は、全部けいくんの部屋に入れておいたら、なんとかなるかな」
「まぁそれでなんとかならなかったらその時次第だな」
「うん。でもあの二人なら最悪バレても良い気がするけど」
「俺は、一応隠しておいたほうがいいと思うけど」
バレたら色々聞かれてめんどくさそうだし。
「じゃあその時になったら教えてくれ。俺は外で適当にぶらぶらしてくから」
「本当にごめんね」
「良いよ別に。失敗なんて誰でもある事だし」
「ありがと。やっぱり優しい」
そう言って俺の肩に寄り添ってきた。俺はそれを抵抗せず、少しの間その状態で過ごした。
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