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お金儲けで調子乗る。2


 「ひまー。メッチャひま……あとお腹空いた」


 俺は今現在王座の間でゴロゴロとしている。それはもうゴロゴロとしている。カーペットがすごいフカフカなので寝転がっても大丈夫なのだよ!


 「爺やぁー」


 とりあえず呼んでみる。あれは出来る奴だ。王座の間にいなくとも呼んだだけで来てくれるはず。スーパー執事に違いない。


 「……」


 まぁ、普通に聞こえないから来ないよな。あー。暇だ。爺やに拳骨食らってから既に1日以上たっている。食料もお金もないのに何をのんびりしているかって? 答えは簡単。街に行く為にはまずワイバーンが必要。でもこれ、配下を保管状態にした時、一緒に保管してしまったらしい。再配置までのクールタイムが48時間。まだしばらくある。

 ならばせっかくの異世界だ。周りを生い茂る森さんの元にでも行ってモンスターでも倒そうじゃないか。

 爺やは危ないって言って止めたけど「食料とって来るから!」って言って、無理やり出てみたんだ。爺やの調査でモンスターみたいなのは生息している様で、しかも弱いって分かってたからね。


 「森はないわー。マジ服敗れそうになった。あれはない。あと狩とか無理、ゲームと違いすぎグロ無理」


 服が汚れるし、イノシシみたいの剣で切り付けてみたら血が出て逃げ帰ってきた。森はもう行かん。超絶美少女な俺が汚れる。


 「お嬢様。ごはんですよ」

 「おぉ!」


 爺やがやって来た。見た目ダンディだなやっぱ。老紳士がギリギリ傍における許容範囲だな……早く配下の女の子にちやほやされたい!


 「どうぞ」


 こつんと寝そべる俺の目前に缶が置かれた。ん? ごはんだよ、ね? ん?


 「爺や……これ乾パン」

 「食料です」

 「もうちょいマシなのないん?」

 「余裕で獣を倒せる誰かさんが、狩りに成功していたらステーキでしたね」

 「爺やの言った通り危ないから帰って来ただけだし! 私、か弱い乙女なのに!」

 「なーにが私ですか。また可愛い子ぶってギルドでも潰しますか? 潰したギルドのお金持ち逃げして服でも買いますか?」


 え? それ俺が欲望に負けて姫プレイしてたギルド潰して限定品買った黒歴史じゃん!! なんで知ってんの? 超恥ずかしいんだけど


 「爺やが狩ればいいじゃん」

 「LV1の爺やに狩れるとでも?」

 「……男のLV上げとか時間の無駄じゃん?」

 「御飯が冷めてしまいますよ」

 「……いただきます」


 まぁ意外とおいしかったよ。






 さてお待ちかねの48時間が経ちましたよっと。やってきたのは城中央の訓練場だ。吹き抜けになってるのでここからワイバーン飛ばして街まで行くんだ! あ、でも待てよ


 「思ったんだけど俺ユニコーンしか乗れないんだけど……」


 美少女はワイバーンなんて野蛮な生き物には乗らない。ユニーコーンに決まってる。


 「ではお嬢様、ユニコーンに乗って街まで行ってきてくれますか? 飛行能力のないユニコーンで。きっと町に着くころにはご自慢の服はボロボロですな」

 「え? そんなの無理に決まってんじゃん! どうするの!?」

 「ですからもう一人再配置するんですよ。ワイバーンに乗れる者を」

 「再配置に掛かる食料ある?」

 「なんとか……」


 再配置には食料を消費する。町に行くって分かってたんならワイバーンと、乗れる奴は保管すんなよ! この爺やマジ使えないじゃないかな?


 「はぁ……爺やが慌てて全員保管なんてするから……」

 「寝ていたお嬢様に言われたくありませんなー!!」

 「ほぉー。やるかぁ? ん?」

 「やりますかなぁ? 私も晴れて保管されてお嬢様は一人ですなぁ! 頑張って異世界生活楽しんでくださいねー!」

 「「あ゛ぁ??」」


 金も食料もないと、こうも人間は争うというのか――


 「喧嘩してても仕方ない……」

 「そうですなー……」

 「ワイバーンに俺と爺やの食料。残りで再配置できるLVは?」

 「……1ですな」

 「LV1か…大量に作った女の子兵士の中に、一人くらいいるだろ」


 俺はコンソールで配下の一覧を呼び出す。低いレベル順に並べ替え、ズラリと表示されるLV1の中からワイバーンに乗れる奴を探す。お、あぶねぇ! 1人いた! えっと、おぉ! 巨乳美少女騎士って外見だな。名前は……ケビンって……テキトウにつけすぎだろ! 過去の俺!


 「ケビンとワイバーン。配置っと」


 目の前が光って翼の生えた恐竜、ワイバーンと鎧を纏った巨乳美少女が現れる。美少女の年齢設定は18ってところかな? うん。見た目は悪くない少なくとも爺やよりは100倍いい!! 俺のはその100倍可愛いがな!


 「お嬢様!! 配置ありがとうであります! ケビンです! 精一杯頑張ります! 大好きであります!」

 「元気が良い! 100点! ではケビンには俺と一緒にベッドに行く任務を与える!」

 「ありがたき幸せ!!」


 ふふ、女性キャラは全て女好きに加え、俺大好き設定にしてある! 俺に抜かりはない! よし、肉欲に溺れよう!


 「アホですかい!!!」

 「「ぎゃ!?」」


 俺とケビンは2人して爺やに拳骨をもらう。ごめんちょい調子乗った。いやでも、俺のこと好きな美少女目の前にいるんだからねぇ? 

 


 とりあえずケビンに状況を説明した後は、町で何を売るかって話になる。俺は爺やに「冒険者になって1日で大金稼ぐから大丈夫」って言ったのに「お嬢様の言う冒険者なる職業があるかも分からないのに?」と言われて仕方なく話し合いをしている。はぁ……


 「とは言っても売る物などお嬢様のアイテムボックスの中くらいです。何がありますか?」


 あー最近新しいエンドコンテンツも出てなかったし、狩とか行ってないんだよね……あるのは俺の装備品……これは売れない。俺の安全に関わってくるし、これないと俺強い! 出来ないし。あとは服が大量にあるが……これだけは1つたりとも売れない! となると後は


 「石ころ」

 「「え??」」


 爺やとケビンが何言ってんだこいつみたいな顔してやがる。


 「仕方ないだろ! 一昨日くらいかな? 急に採掘士のLV上げようと思い立ったんだよ! でも1時間くらいで飽きたんだよ! LV1-5で採れるのは石ころだけなんだから!」

 「それでそのままだったと?」

 「おう」

 「「……」」


 そこで俺は名誉回復の奇策を思い付く。


 「錬金術師! 5まで上げてるから! アクセ作れるから!」

 「「石ころで?」」

 「ちょ! 待ってろ!」


 俺はこぶし大の石ころを取り出して「アクセ、錬金」と呟く。するとどうだ! 手元には指輪があるじゃあないですか! 指輪なら売れるよね。


 「どうだ!」

 「この何の装飾もない輪っかはなんですか? ケビン君は分かるかな?」

 「えっと石の指輪であります! 何の能力補正もないゴミであります!」


 ……ゴミか……いいだろう。本気を出してやる!


 「アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 アクセ、錬金 来た!」


 俺の手の中で指輪が一瞬輝く。


 「どうだ!」

 「ケビン君。これはなんだね?」


 俺がドヤ顔すると、爺やがケビンに芝居がかった口調で問う。


 「錬金大成功で補正が付いた石の指輪であります! 補正は攻撃力+2 のゴミになりかけであります!」

 「……もうこれを売ってみるしかなさげですな。補正付きなら値段くらいはつくでしょう。ほらお嬢様、あるだけの石で出来る限りゴミの一歩手前を作ってください」

 「……」


 俺はその後MPがなくなるまで錬金した……なかなか大成功せず結局10個だけ補正付きが出来た。


 「ではケビン」


 爺やが10個の成功作をケビンに渡す。


 「それを持って町まで行ってください。周辺マップは呼び出せば出てきます。それを売って可能なら食料を買ってくること。無理ならお金を少しでも稼いで食料を買って来てください。売る前に軽く市場調査くらいはすること。いいですね」

 「了解しました!」


 え? ちょっと待って!


 「俺も街行きたい!」

 「ダメです!」

 「なんで!?」

 「お嬢様にお金の管理は出来ないからです。それに、もし売れなかったら仕事するんですよ? 出来ますか?」

 「できないね!」

 「でしょ?」

 「……」


 俺こと超絶美少女は儚げにケビンを小さな手を振って見送ったのだった。

 



次か次の次くらいには調子乗りまくります。

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