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工藤桜子 旧雨今雨

作者: 灰猫
掲載日:2015/07/02

「ひゃ~蒸してきたよう~。エアコン入れないの?」

ガラガラと桜子が保健室へ入ってくる。


「工藤さん、ここはね・・・」

たしなめるように北斗が言っているのを桜子は全く聞いていない。


ガチャリと相談室のドアが開き1人の生徒と誠史郎が出てくる。


「あ、先客かあ?」


思い切り不機嫌な顔で桜子と視線が合う誠史郎。

「あ!誠ちゃ~ん」

桜子の問いかけを遮るようにコーヒーを口にする誠史郎。


「あのさぁ、竜ちゃんのお姉さんがさぁ~」

「時間外」

ぴしゃりと誠史郎が言い切る。

ぷう。と頬を膨らませて桜子がイスに腰かける。


「いーもーん。大声で独り言言うも~ん」

くるくると椅子を回しながら桜子が言い出す。

「あのね~竜ちゃんのお姉さんがね~、トモダチとの間で孤立しちゃって

友情って何~って悩んじゃってるみたい~」


保健室中に聞こえる声でガアガアとしゃべる。

「うるさい。小ガモ」

誠史郎が突き放す。

「あのね工藤さん。友情って言うのは作られていくもので、

作っていくのとは少し違うのよ?」

なだめるように北斗が言う。


「コミュ障?」


「それは自分勝手に振舞っているキミそのものだよ」

「だいたい友情と言うのは情けを友に向けるものであって、

友達同士の善意の精神で成り立つものだ。

1人でがんばるものではない」


「でもさぁ、友達って大事だよ~」

「あたしは友達と遊びとカレシで成り立ってるも~ん」

桜子がしたり顔で言う。

「なぜ勉学で成り立たない」

誠史郎が呆れる。


「てゆーかさぁ、ぶっちゃけどーなの?誠ちゃん?」

桜子が眼鏡の奥の誠史郎の瞳に問いかける。

ふー。と誠史郎が眼鏡に手をあてる。


「『ぶっちゃけ』をそのまま返すよ。孤立したならそれはそこまでの友人だよ。

人は交際する相手によって左右される。お姉さんは人生の機微に立っているだけだ。

ふるいにかければ残るものがある」

「え~残らなかったら?」

「それはそこまでの人間関係。友人関係も人生を生きるための社交。

無理して100人友達作らなくてもいい。量より質だろう」


「何か、今日ちよっと厳しくない?」

「だから時間外と言っているだろう?対人関係は一生の問題なのだから、

所々でそういう場面に出くわすのだから仕方ない。

それより第2ボタンまで外すのはやめなさい」


「え?何、気になる誠ちゃん?」

にかっと桜子が問いかける。


誠史郎がびしっと一言。


「不潔」


「なんだよー!こういうのはセクシーって言うのー!」


「じゃあちゃこちゃん、ちょっと職員室へ行ってきます」


わめいてる桜子を見ようともせず。ぺったらぺったらと

誠史郎は保健室を後にした。




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