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第1話宣言

ついに連載開始!よろしくお願いします!

「父さんの会社、倒産したから」

「……えっ?」



いつもの家族団欒の夕食時間

唐突に放たれる衝撃の一言。

一瞬、俺、志木悠馬しきゆうまはなんのベタなギャグ?なんて思ったが、倒産の真剣な顔を見せられて

俺はこと重大さを嫌々ながらも理解する。



「父さん……次の就職先は?」

「いや……まだ決まっていない」



目の前が真っ暗になってくる。

周りを眺めてみると、母さんも妹も真っ青な顔をしている。

それもそうだろう。俺の家は父さん一人しか働いていないので

この家には今、働き手が一人もいないことになる……

正直な話……ピンチだ。

この家族始まって以来の最大の危機である。



「どうしましょう……預金もそんなに余裕は……」

「たしかに、そうだな……どうにかしないと」



いつも冷静な母さんもこの状態には戸惑いを隠せないらしい。

父さんは必死になって、この状態を打開しようと考えている。

いくら父さんが頑張って職を探したとしても、すぐに見つかるとは思えない。

俺は、自分なりにできることを考えてみる。

まず真っ先に思いついたのはバイト

俺の学校はバイト禁止だが、この緊急事態なら先生達も多少許してくれるであろう。

しかし……数時間のバイトで大丈夫なのか?

今度はそんな疑問が沸いてくる。

父さんは職探しでバイトなどはできない。母さんは長年の専業主婦と持ち前の天然さを考えて

働くなんてことなんて出来はしないだろう。

妹はまだ中学生だし……

とは言え、まだ俺は高校2年……学校を辞めるなんてことはためらいがあった。

いくら家族のためとは言え、今の状態を全て捨てるなんて―――

正面を見回すと、父さんと母さんが深刻な顔をして悩んでいる。

俺の横ですがりつくようにくっついている妹は



「兄さん……これから私達、どうなっちゃうのかな」



といつもの強気な態度である妹が信じられないくらい弱気な言葉を俺に向けて言う。

そのとき俺は思った。この状況を打破できるのは俺だけなんだと……

そう思った瞬間、俺はすぐに行動に移ることにした。



「みんな、話があるんだ。聞いてくれ」



次の日、俺は学校に退学届けを提出していた。



「……っはぁ、はぁ、はぁ」



地面に体を倒しながら、息を整える俺。

学校を辞めてから、俺はたくさんのバイトを掛け持ちながら

毎日汗水たらして働く日々が続いていた。

今は、工事現場のバイトの最中で慣れてきたとは言え、肉体労働などしたこともない人間には

かなりこたえるもので、疲れがかなり溜まっている。

休みたい。そんな衝動が沸いてくるが、その度に家族の顔が出てきて

俺の体に動けともう一度命令する。

なんとかその仕事を終わらせるも、休む暇もなく次はファミレスのバイトへ直行する。

俺はバイト先までの道を少し小走り気味に進んでいると



「待ちなさい!悠馬!」



大声で俺の名を呼ぶ声が聞こえてくる。

それは、少し前まで毎日のように聞いていた人物の声であり

俺はそいつの方向に体を向ける。



「久しぶりだな、時雨。元気してたか?」

「元気してたか?じゃないでしょ!まったく悠馬は!」



両手を胸の前で組みながら、怒ったような顔をしている女性。

こいつの名前は雨宮時雨あまみやしぐれ

関係で言えば、幼馴染と言うのが好ましい。いや、幼稚園から高校まで同じ学校

同じクラスになっており、どちらかと言うと腐れ縁という方がいいかもしれない。

しかし、時雨はそんじゃそこらの幼馴染とは違う。

何が違うかと言うと、彼女は世間で「天才」と言われるほどの

実力を持った天才女優なのである。

テレビや雑誌などでは「日本が誇る女優」と言う肩書きで呼ばれるほど

すごい人間である。

まあ、そんな人物がなんで俺みたいな一般人が仲良く話をしてるのか

疑問に思うがそこはスルー。

俺自身もどうしてこんな関係になったのかなんて、とうの昔に忘れてしまった。

そんなことを考えていると、時雨が俺に向かって近づいてくる。



「悠馬!どうしていきなり学校辞めちゃったの!私に分かるように説明しなさい!」



顔をこれでもかぁ!ってくらいまで俺に近づけて言ってくる時雨。



「なんでそのこと知ってるんだ?」

「当たり前でしょ!悠馬のことだし、学校内ではそこそこ噂になってるわよ」

「そうだったのか……」



たしかにそうだ。いきなり一人の生徒が何も言わずに

学校を辞めれば、噂にもなるだろう。



「だからっ!早く私に話しなさい!!悠馬!」



時雨はその大きな瞳で俺を睨むように見る。

蛇に睨まれたカエルのようだ。

正直な話、家庭事情を他の人に話すのはどうかと思ったが

幼馴染で親の顔見知りでもある時雨なら大丈夫かと思い

退学まで至った経緯を話すことにした。



「そっ、そうだったの……いろいろと大変なのね」

「ああ……まあそんなことだ。それより、俺、次のバイト行かなくちゃ行けないから」

「えっ!悠馬!ちょ、ちょっと……」



俺はあらかたの説明を時雨にして、時雨と別れる。

後ろで何か時雨が言ってたようだが時間もないので、俺はバイト先へ向かった。



悠馬は私に今の家庭事情を簡単に説明し、私に背中を向けて歩いていく。

引きとめようと呼びかけるも、聞こえていないのかそのまま歩を進めていく。

私はどうしようもない思いに捕らわれていた。

幼稚園から一緒に時間を過ごしてきた悠馬と私。

そして幼き日から思い続けてきた悠馬への思い。

なぜかは知らないけれど、今の悠馬の背中はとても、とても遠くに感じてしまった。

少しでも見失ったら、もう一生会えないようなそんな気持ちが私の中から芽生えてくる。


悠馬……離れたくないよ……


いつまでも、一緒にいたいよ……


失いたく……ないよ……


いろいろな想いが私の中に交錯していく。

そして私は無意識のうちに一歩、前に乗り出しこう叫んでいた



「悠馬、私のマネージャーになりなさい!!」

「……………はぁ?」



私の目の前に見えるのは、驚きを隠せない悠馬の表情

これが始まりだったのだろう……

この一言から、私の人生……いや、悠馬の人生が

運命が、変わり始めていた





いや〜久しぶりです。takutoです。まだ連載一個書いているのに、無謀なことをしました。とは言え、短編の時にたくさんの連載希望の言葉に後押しされて連載開始しました!多分更新は遅いです。どうしても先生の方がメインなので……更新はまったり待ってください!頑張って書くので、これからよろしくお願いします!

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