体育祭
倉田と不思議な縁結ばれた日々もなんとなく慣れてきた頃、体育祭の準備が始まった。舞は、別に運動神経が良くも悪くもないため、体育祭自体になにも思い入れはない。今、ホームルームを使い種目決めが行われているが、きつそうなのでさえなければなんでも良いや、とぼーっとしていた。
「クラス対抗障害物レースの二人三脚は、倉田と広瀬で決定だな!」
急に自分の名前が呼ばれて驚いた。
クラス対抗障害物レースとは、1組目が二人三脚、2組目が2人で1人を運ぶ、3組目が4人で竹跳びをしながら進む、といった具合に、1人ずつ人数が増えていく障害物レースである。また、絶対にどの組みでも男女混合でなくてはいけないのもルールになっている。
そのため、必然的に二人三脚は、男女のペアがやることになる。そのため、だいたいどのクラスもカップルが二人三脚に選ばれる。
「俺は二人三脚なんか出ないぞ!」
「そうよ!なんで私達がでなきゃいけないわけ!?」
「だって、他にクラス内カップルいないしさー。」
「「カップルじゃない!!」」
「ほら、息ぴったりだし、お前たちなら大丈夫だよ。」
この後も、何度も抗議したが全く聞き入れてもらうことはなかった。もう、完全にクラス公認のカップルになってしまった。今回体育祭で二人三脚したら、学校公認のカップルになってしまうだろう。
当分部活は休みで、放課後は体育祭の練習をするらしい。種目決めが終わると、さー行くぞ!!とみんな校庭に向かった。肩を落としている私に倉田が近寄ってきた。
「決まったからには練習するぞ!!どうせ他のチームの二人三脚はいちゃついてて遅いから、差をつける大チャンスだ!」
グッと拳を握りしめ、子供みたいに燃える姿になんだか笑みがこぼれた。