テスト
舞は、昨日の朝は倉田と出会ったことを思い出し、いつもより早い時間に家を出た。それにも関わらず、駅で倉田に出会った。もう面倒なので、2人で学校に向かう。会話はしない。
「今日も二人で登校かー見せつけるなー」
そう話しかけられても、そんなんじゃないとだけ返した。
お昼も、また友達は二人で食べて☆と消えていってしまい、一人で食べようと自分の机にお弁当を広げていたら、倉田も同じ理由で友達に去られてしまったようで、机で食べ始めた。結局二人で隣並んで食べることになった。
放課後ぐらいは、別々になってやる!とテスト前期間であることを利用して、私は図書館で勉強してから帰ることにした。
「私、図書室で勉強してから帰る。」
倉田に宣言した。倉田は意味を理解してくれたようで、
「俺は、速攻で帰る。」
と返してくれた。しかし、その瞬間突然の雷雨が襲ってきた。
こんななか帰れるはずもなく、倉田も、図書室に行くことになった。しかし、みんな雷雨の影響もあり、席がみっちり埋まっていて、調度隣どうしの席しかあいていなかった。
もう諦め、隣どうしの席に座ることにした。座ったとたん、倉田はうつぶせになって寝だした。
「勉強しなくて大丈夫なの?」
「諦めてる。全くわからんし。現文はノートもない。」
「ノートないって!これみて良いよ。」
現文でノートがなくてテスト出来るはずがない。舞は、ノートをはい、倉田に渡した。
「お前どうすんの?」
「先に他の教科勉強するから大丈夫。」
舞はそう言い勉強を始めた。倉田は、ノートを見て、綺麗にまとまっているのと、ここが重要!なども書きこんであることに驚いた。じゃあ、重要なところだけでも、うつしておくかと勉強を始めた。
次の日も同じように倉田と縁のある日であった。終礼が終わり、倉田が、
「俺は、帰…」
と言っている途中で雷雨が始まった。また、図書室に行くと隣どうしの席しか空いていなかった。
倉田が全く問題集を解けないで唸っているので、広瀬が教えようかと申し出た。簡単に説明してみたら、すぐに問題を解くことが出来た。
「お前の説明、わかりやすいな!」
いつもぶっちょうずらなのに、急に無邪気な顔を見せられ、舞はドキッとした。
「悪かったな、テスト前なのに時間取らして。」
「別にこれくらいなら全然良いよ。」
その後もなんとなく、倉田のテスト勉強の手伝いをしていた。
次の日の終礼後は、
「また、勉強教えてくれ!」
と倉田が舞に頼んだ。そして、二人で図書館に向かった。
今回は中間テストであったため、返却は授業毎である。現文の時間になり、テストが返却されてきた。まあまあな点を取ることが出来て満足である。
隣の席の倉田も返却されたようで、点数のところを見て驚いてこっちに駆けてきた。
「広瀬!お前のおかげで、良い点とれた!!ありがとう。」
初めて笑顔を向けられた。舞は胸がドキドキいうのが止まらなかった。
すると近くの男子がからかってきた。
「頭、良い彼女持ってお前は本当に幸せ者だな!」
「だから!彼女じゃないって言ってるだろう!!」
倉田がいつものように言い返した。いつもの事なのに、なぜだかさきほどまでドキドキいっていた胸は急にしぼんでしまった。




