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縁結びの神様  作者: こん
1/8

神社



「今日も話聞いてくれてありがとう舞ちゃん!本当に舞ちゃんは、恋愛マスターだね!!」

 舞は、そういってくれた友人を笑顔で見送りつつ、またやってしまったと後悔していた。


 恋愛マスターと呼ばれているが私だが、実は一回も付き合ったことがない。なぜだか恋愛の相談を持ちかけられることが多くて、話を聞いていただけのつもりだったのだが、気づくと恋愛マスターという称号を得ていたのである。

 恋愛経験の少ない私の意見なんて参考にならないはずなのになぜだか、私に相談した子は上手くいくことが多いらしい。今さら、私なんかの意見じゃ参考にならないよ、とも言えずに毎回相談を受けてしまっている。


 あーあー今日も切り出せなかったなーと机に突っ伏して落ち込んでいた。すると、席の近くの女の子たちの会話が聞こえてきた。

「学校の近くに神社あるでしょ。」

「あーあのちょっと不気味な雰囲気のとこでしょ。」

「あそこでお願いをするとかなうと噂になってるのよ。」

「えー本当に!?じゃあ私、恋愛祈願でもしにいこうかな…」


 舞はその話を聞きガバッと起き上がった。

いやいや、神頼みなんて効果あるわけないじゃんーいくら、縁がないからってそんなのに食いつくほどじゃないですよー!なんて思いつつ、放課後人がいなそうな時間を見計らって神社に行ってみた。


 人のいない時間を狙ったので少し薄暗いし、やはり、少し不気味である。ちょっとビビりつつお賽銭箱の前まで行った。すると、後ろからガサッと音が聞こえた。私、幽霊とかは苦手なのよ!っと耳をふさぎその場にうずくまってしまった。

「なにしてるんですか?」

 その声に、幽霊じゃなかったと安心し振り返ると、クラスメート今まで付き合った女の数は知れず、百戦錬磨と呼ばれる男、倉田に出会う。

「「なんで!?」」

 二人の声がはもってしまった。


 なんでここに、倉田君がーと焦るが、適当な理由を考えなきゃ!

「わっ私は、中間テストの祈願に来たのよ。」

「俺も。」

 へー倉田君って意外と勉強熱心だったりするのかな?もしくは、信仰深いとか?まあ、いいや、と舞はお賽銭箱に向き直りお賽銭を入れた。隣に倉田君がいることが気にはなったが、当初の目的を果たすために、手を合わせた。

(恋人が出来ますように)


 その瞬間、ぱーっと辺りが光に包まれた。その光の中心に一人の男性が立っていた。


「俺、ここの神社の神様ね。よろしく。あのさ、この神社で祈った1000000人目のお願いは叶えなきゃいけないんだよ。」

 男は、私達の方にゆっくりと歩きながら話し始めた。

「二人同時だから困ったなと思ったけど、二人とも'恋人が出来ますよう'にだから、二人を縁結びすれば良いな。」

「「は?」」

 二人の周りがピンク色に輝いた。じゃあねーという声が聞こえたと思ったら、ピンク色の輝きもさきほどの男もいなくなっていた。


「消えた…でも、神様なんて冗談よね…」

「誰かにからかわれたんだろう。」

 人工的な光には見えなかった…とは思ったが、冷静な倉田の言葉で悪質ないたずらだろうと思い直すことが出来た。


「じゃあ、俺帰るわ。」

 倉田はそう言って、方向転換をしていた。よく知らないクラスメートだし、一緒に帰るのもあれだしな…

「私、境内を少しみてから帰るわ。」

 すると、神主さんがどこからともなく現れ、

「二人とも早く帰りなさい。」

と言われた。


 神社の前の階段を下っていく。高校が同じだから、最寄駅は同じはず。このまま同じ道で帰るのもなんか気まずいし、寄り道して帰ろう。

「俺、こっちから帰るから。」

「じゃあ、私はこっちから。」

 倉田も同じ気持ちだったようで、二人は別れ別の道を進んで行った。舞が道を進んでいくと、水道工事で回り道することに、そうして周っていった先に、倉田が立っていた。

 がっちり目が合ってしまいまた気まずい雰囲気になる。倉田は少し屈んだと思ったら、

「俺、靴ひも結ぶから。先いけよ。」

と言ってきた。靴ひもはほどけていない。しかし、ありがたい配慮だと思い、少し早歩きで進んでいった。


 少し、歩いたところで、後ろから犬の鳴き声がしてきた。振り返ると、倉田が犬に追いかけられている。倉田が私のところまで来ると、犬は、飼い主にリードを掴まれ止まった。飼い主は、リードを離してしまったことをわびたが、倉田は気にしないで下さいと返していた。


 駅まではもう一本道。離れて歩こうと思ったら、ここも水道工事で細い道に。速く進むよう工事の人に言われ、しかたないから、二人並んで駅まで向かう。駅で、じゃあ、と短くあいさつをして、倉田と別れた。

 いったいどんだけ倉田君と縁がある日なんだよーと思うと、縁結びしたと言われたことが頭をよぎった。いやいや、まさか!と頭を振って考えを振り払った。




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