一夜で一変で大変。
サブタイトル、ふざけてはないですよ('∇')
「ニーナ様、ニーナ様。起きてくださいませ。」
「なに?まだ5時じゃない。早すぎにも程があるわ。、、、って何事!?」
部屋の、家具やら壁の柄やらが変わっている。何かの冗談!?いや、待てよ。ここは誰か別の人の部屋なのかも。昨日は疲れてたし、間違って誰か別の人の部屋に入って寝ちゃったのかも。
「クリス、ここは誰の部屋?あなたたちの部屋にしては豪華すぎない?お母様の部屋なわけはないし。」
「いえ。ニーナ様のお部屋でございますよ。一夜で完成させました。」
「一夜で完成って、、、。私が寝ているのに?不謹慎じゃない。誰の指示よ。」
「王妃様です。」
「お、お母様が!?なんで?意味がわからない!!」
「そして王妃様がお呼びですよ。」
「今から?ううん、今からじゃなくても今行くわ!!」
「あっ、ニーナ様!、、、行ってしまわれたわ。お着替えもしないで。ウフフ。」
お母様が?なんのご冗談かしら。お母様がご冗談を言うわけはないとは思うけど。お母様は生まれつき病弱で私を産んでからはほとんどベッドから起き上がれない。対して私は生まれてこのかた病気1つしていない。幼い時からお母様と代わってさしあげたいと、何度思ったことか。
お母様はとっても優しくて心が広い方なんだ。つくづく私とは大違いだな。
、、、ここがお母様のお部屋だ。
コンコン――
「お母様、ニーナでございます。」
「あら、ニーナ。早かったわね。お入りなさい。」
「はい。失礼いたします。」
「まあ、その姿で来たの?でもちょうど良いわ。、、、ユーリア。」
「はい。こちらで宜しいでしょうか、王妃様。」
「ええ。ありがとう。私は大丈夫だから休んで良いわよ。」
「ありがとうございます。失礼いたします。」
相変わらず、ユーリアは良くできた人ね。お母様の手となり足となりって感じだわ。それもそうね。お母様が嫁ぎに来た時にただ1人一緒についてきた使用人なんだもの。幼い時から一緒なんだって。私とクリスもこんな風になれるかしら。
、、、っていうかそれ。ものすごい輝いてるんだけど。
私がユーリアから渡されたのは銀色のドレス。すごい大人っぽいよ。これをどうしろと?
「私が昔着ていたドレスよ。あなたももう立派なレディなんだからきっと似合うと思うの。」
「似合いませんわ、こんなキラッキラッしてるドレス。それに私なんてまだまだ子供ですわ。」
「あら、私が嫁いだのは今のあなたの歳よ。それに、あなただってもう婚約したではないの。子供では困るわ。」
「はい!?私が婚約!?」
「昨日聞いたでしょ。」
「聞いてないわよ!!」
「あら?シルバ様が――」
「お父様ねっ!!」
「あっ!!待ちなさい、ニーナ!!」
「は、はいっ!!」
「これに着替えてからいきなさい。」
「は、はい。」
――――――10分後
「どうですか、お母様。でもお化粧までしなくても、、、。」
「あら、やっぱりよく似合うわ。私と同じ栗色の髪だものね。綺麗よ、ニーナ。」
「あ、ありがとうございます、お母様。」
「さあ、シルバ様にも見せてさしあげなさい。」
「はい。失礼いたします。」
あー。怖かった。お母様、普段はとても穏やかだけど私がいけないことをしたときは大きな声を出して怒るから怖いっていうか、びっくりするんだ。ま、それよりも怖いのは静かに諭すようにお説教する時だけど。
、、、ってそんな場合じゃないな。婚約って何!?私、聞いてないよ!!
――バタンっ
「なんだ、ニーナ。ノックもしないで。」
「それどころじゃないよ!!婚約ってどうゆうこと!?あと、部屋の家具とか!、、、って、しまった。これはお母様に聞こうとしてたんだ。聞くどころじゃなかった。、、、ああ、で、だから婚約ってなに!?」
「忙しいなあ。」
「茶化さないでください。」
「婚約は婚約だ。喜ぶべきことではないか。婿に来てもらう、この国の次期王としてな。」
「そんな大事なこと、勝手に決めないでください。」
「そう言われても、もう昨日パーティーで発表してしまったしな。」
「な!?私は聞いていませんよ。」
「ああ、お前の姿が見当たらなかったから言うだけ言っておいたぞ。だが、本来はお前もいなくてはいけなかったんだぞ。まったく。先に帰りおって。しかもお相手の王子も一緒に帰ってしまうから全然締まらなかったではないか。」
「え?一緒に帰ったって私と?ってことはお相手ってのはもしかして、、、。」
「リューク王国のクラーク王子だ。」
「え、えー!!」
「そこまで驚くことはなかろう。仲が良いではないか。」
「そ、それは友達として、です!!」
「この話はもう何年も前から双方で考えていたことだ。クラーク王子は若いのに人脈があり、行動力もある。この国を任せるのにふさわしい力量がある。こんなに良い話はないだろう。クラーク王子は来週、国王と共にネビール王国にやってくる。はしたないマネはするなよ。」
「、、、。」
「さ、わかったら部屋に戻れ。勉強もあるだろう。これからは今までの何倍も努力してくれ。王子が有能なのに王女が無能じゃあんまりだろう。」
「、、、失礼いたします。」
なんてこった。クラークと婚約なんて。結婚なんて。あり得なさすぎる。
「あ、王女様。ご婚約おめでとうございます。」
「王女様。ご婚約おめでとうございます。」
自分の部屋に戻るまでに何人の人に同じ事を言われたか。
「お疲れ様でございました、ニーナ様。」
「クリス。あなた知っていたわね。」
「なにをです?」
「なにをって、婚約よ!!他に何があるのよ。」
「ああ、ウフフ。ええ。」
「何で黙ってたのよ。」
「昨日のパーティーまでは黙っていろとの事でしたので。」
「むー!!」
「それにしても、そのドレスよくお似合いです。お化粧も。いつもはパーティーのときしかしていませんでしたがこれからは毎日ですね。」
「あ、ああ。このドレスはお母様のなの。」
「そうなんですか。ええ。本当によくお似合いです。これからはそういった大人なドレスが良いのでしょうね。私、頑張ってニーナ様に似合いそうなドレスを探しておきますわね。お化粧も、私がしてさしあげられるように特訓してみます。ああ、忙しくなりそうですわ。」
「、、、。それで、この部屋についてはどうしろって言うの?」
「はい。王妃様からお手紙があります。ニーナ様、わざわざ王妃様の所へ行ったのに聞いてこなかったなんて、私、驚いてしまいました。」
「悪かったわね。それでお母様はなんて?」
「えっとですね。『これからは身の回りからレディになりなさい。そうすれば自然と心も立派なレディになれるわ。』ですって。王妃様も形からなんですね。」
「まあ親子だものね。でもあの落ち着きは私には真似できないわ。」
「いえ。きっと大丈夫です。一緒に頑張りましょう。」
「え?」
「私はこれからドレスを選びにお店に行ってきます。ですからニーナ様も勉強頑張ってください。では。」
「あっ、もう。クリスだってさっさと行動しちゃうじゃない。」
とりあえず今は勉強して、婚約のことはその後考えよう。