パーティー
17時、いよいよパーティーが始まる。今私は会場の裏にいる。そしてこれから主役のお父様と一緒に中に入るところだ。沢山のご馳走もあるだろうけど、各国の貴族が沢山来てるんだよね。はあ、本当こうゆうの苦手。
「では国王、お願いします。」
「ああ。」
わー。ほら、やっぱり多すぎだよ。クリス、たすけてー!!あがるあがる。え、何を隠そう、私は極度のあがり症なんだ。こんなに大勢が見てる前に出ていくなんて無理。いくら今日の主役がお父様だって言っても無理だよー。
う、クラークはもう周り気にしないで爆笑してる。いや、声出してないから気にしてはいるか。クリスはクチパクで頑張って、、、か。頑張ってって言われても。ん?なんかざわざわしてる?え、なに?
「王女様お綺麗です」
「すっかり大人の女性ですね」
「お美しい」
「、、、ニーナ、お辞儀を。」
「あ、は、はい。」
ワーワー
なんか、私のこと?綺麗とか、私のこと?
「本日は皆様ご多忙の中、私の誕生日パーティーにおいでくださってありがとうございます。是非ともゆっくりしていってください。さて、乾杯をする前に我が娘、ニーナより、皆様にご挨拶をさせて頂きたいと思います。」
そう、こうゆう時は私の挨拶もセットなんだ。どうにでもなれ!!
「皆様、本日は私の父、シルバの誕生日パーティーにご出席いただきありがとうございます。娘のニーナです。」
あれ?なんだっけっ!! な、なんでもいっか!!
「えー、父は本日38になりました。まだ若いのにそのお振る舞によって、そんなには見えませんよね。おほほほほ。」
シーン、、、
で、ですよね。どうしよう、、、。そ、そうだ!!
「先代の国王が早くにお亡くなりになり、皆様には大変なご迷惑をおかけしたこと改めて心よりお詫び申し上げます。それから11年の時が流れました。皆様のご協力のおかげで我がネビール王国はこのように発展することができました。誠にありがとうございました。今後とも、シルバ王、そして我がネビール王国をよろしくお願いいたします。」
な、なんとか言い切ったぞ。変なところがあった気もするけど、、、。まあ、済んだことだし、気にしない気にしない。
―――パチパチパチ
あ、なんとか終わらせられた。良かった。ん?何、お父さま。そんなニコニコして。
「ニーナ、よく言ったぞ。感心感心。」
「へ?今ので良かったの!?」
「上出来だ。今までは、何も喋れなかったではないか。」
「基準が低かったってことね。なんだ。でも良かったー。」
「さあそれでは皆様、お待たせいたしました。乾杯といきましょう。、、、乾杯!!」
一同「乾杯!!」
「ニーナ、まだ気を抜くな。挨拶に廻ってこい。」
「は、はい。」
これがあったか。やるのか。去年のお父さまの国王就任10周年の記念パーティーではお腹壊したことにして免れたけど、今回はそうはいかない。それに私は成長したのよ、形だけじゃなく中身も。頑張れ私。
「――オイ、チョット!!」
「ん?あ、クラーク!!じゃなかった、クラーク王子。ごきげんよう。」
「先ほどのご挨拶、大変素晴らしかったです。」
「あ、ありがとうございます。」
「皆様へのご挨拶、お供してもよろしいでしょうか。」
「よろしいのですか?」
「はい。」
「では、お願いいたします。」
さすが、クラーク。なんだかんだいってやっぱり私のこと好きだな。クラークだって親しい友達は私くらいだものね。
まずはマルク国のシユウ王子ね。
「シユウ王子。調子はいかがかしら?」
「これは、ニーナ王女。そうですね。最近は植物に凝ってこりましてね。」
「まあ、どんな植物を育てておりますの?」
「特にバラですね。一口にバラと言っても実に様々な色、形があります。とても興味深いですよ。」
「私もバラは好きですわ。今度シユウ王子のバラも見てみたいですわ。」
「それは良かった。是非どうぞ。」
「ええ。ではゆっくり楽しんでいってくださいね。」
「バラって、あの王子にぴったりね。あ、あの方はゼノ王国のキース王女と、、、。」
「スナイク王子です。」
「?」
「ごきげんよう、ニーナ王女。すっかりレディーね。それにクラーク王子。お久しぶりです。」
「キース王女、ごきげんよう。私なんてまだまだです。キース王女にはかないませんわ。」
「キース王女、お変わりないようでなによりです。」
「そうだ、紹介するわ。大事なことだったのに、うっかりしてたわ。私結婚することになったの。お相手がこの方、スナイク王子。ナルム王国の長男なの。」
「まあ、それはおめでとうございます。」
「おめでとうございます。」
「来月に式を開きたいと思っているの。お二人にも来て頂きたいわ。」
「はい、是非。」
「伺わせていただきますわ。」
「ふふ。良かった。」
「ではごゆっくり。失礼いたします。」
「ちょっとクラーク王子。どこの国の王子かくらい言ってくださならいと聞いた意味がないじゃない。」
「招待した方の名前くらい覚えていてください。」
「むっ。そうねっ。」
この後他に何人か挨拶してようやく自由になった。
「クラーク王子、少し外の空気が吸いたいわ。」
「はい。」
んー!!解放だー!!
「王女、羽目を外し過ぎではありませんか?」
「大丈夫よ。それよりあなた、いつまでそんな堅苦しい言葉使いしてるつもり?」
「外と言ってもここにも何人か王子や王女が休んでおられるからでございます。」
「あ、本当だ。じゃあもう帰りましょ。役目は終わったもの。」
「え、それはどうでしょうか、、、。」
「良いのよ、さ、行くわよ!!」
「あっ!ちょっと!引っ張らないでくださいよ!!」
ふふんっ!!逃げちゃえばこっちのものよ。もうやることもないんだし、誰も文句は言わないわ。
、、、ここで良いわね。
「まったく、そんなに嫌だったのかよ。」
「当然っ。嫌に決まってるじゃない。、、、なに?」
「そのドレス、よく似合ってるよな。」
「ん!?なによ、いきなり!!」
「なんだよ。お前のイメージに合ってるって、その黄色、元気な感じがさ。」
「あ、でしょ。明るい感じで自分でも合ってると思う。」
「ピンクとか着てきたら爆笑ものだったよ。ガラじゃないし。」
「失礼ね!ピンクも似合ってたわよ。ていうか、ピンクじゃなくても爆笑してたじゃない、見てたのよ。」
「だって手と足、同時に出てたぜ。18にもなってどんだけだよ。」
「え、うそっ!?そうだった?」
「それがなかったら見とれてたよ。」
「冗ー談。今もじっと見てくるから何事かと思ったじゃない。」
「バレた?まあ、それが王女様に対する礼儀なんだよ。レディーになったんだろ。」
「え、あー!クリスね。ま、まあね。」
「ま、全然見えないけどな。」
「はあ?」
「あ、じゃあそろそろ行くな。またな。」
「う、うん。また来月ね。」
「ああ。」
こうしてクラークと別れ、私は王宮に戻った。
本当、今日は疲れた。ゆっくり休もっと。