王女、ニーナ
私はネビール王国の王女。今日はお父様の誕生日で開くパーティーがある。
今は朝の9時だからパーティーまではまだ8時間あるんだ。それまでいつも通り語学の勉強があるんだけどサボるつもり。だって今日は月に1度しか会えない大事な人に会える日だもの。
さて、代役代役っと。あっ。ナイスタイミングだわ。
「クリス。今日もよろしくね。」
「っ!!ニーナ様!!またですか?どうせバレるんですから代役なんて必要ないと思うのですが。」
「普通にサボっても芸がないでしょう。じゃあ頼んだわよ。」
今の彼女は使用人のクリス。同い年の18歳。小さい時から一緒で何でも話せる親友だ。クリスがここに来たのは5歳の時。親が貿易をやっていたんだけど外国で事故に遭って両親とも亡くなってしまったんだ。そこで昔から親しくしていたお父様が使用人として置くことにした。養女とかにしちゃえば良いのにとか思ってたんだけど周りの人がなんか、ダメだって言ったらしい。
他の国の王族はどんなのかはわからないけど私たちは比較的民衆との交流が多い。月に1度、まちの大きな広場でパーティーを開いたりもしているし。民が野菜や掘り出し物を王宮に届けてくれることもある。
ここはそんな平和な国。
そういう民衆とのパーティーならいくらでも喜んで参加するんだけど、今日のパーティーは近隣の国の王族や貴族が参加するものだから凄く嫌。よくわかんないたくさんの人に挨拶しなきゃいけないしずっと笑顔でいなきゃいけないし。んー。今から気が重いよ。でも、、、。
やっと着いた。馬でだいたい15分のところで大事な友達のクラーク王子との待ち合わせの場所に着く。
クラーク王子は隣の国、リューク王国の王子。国王様の次男で私と同い年。まあクリスとクラーク王子くらいしか同い年で気の置ける友達はいないんだ。2人とも大事大事。で、そのクラーク王子は月に1度この国に来てお父様とお互いの国の状況を話すんだ。まだ幼い時は王宮内で話をしていたんだけどいつしか2人で外で話すようになっていた。慌ただしくてゆっくり話ができないんだもん。昔はリューク王国の国王様と家来の人と来ていたんだ。けどクラーク王子が大きくなって外交はほとんど彼に任せることにしたから。その分私と話す時間がなくなっちゃって私には迷惑な話だ。でも彼が立派に家来たちを引き連れてお父様に会いにくる姿を見ると凄く誇らしく思っちゃう。
でもその前に私の話相手になってもらわなくちゃ。王宮に行く前に一旦家来と分かれてもらってこの場所、と言っても木造の物置しかない場所だけど、ここで少し話すことにしているんだ。、、、来たっ!!
「クラーク王子!!」
「よっ、相変わらず平凡な面してんな。王女さま。」
「なに、そのけなしてるのか敬ってるのかわかんない挨拶は。」
「ははは。良いじゃんどっちでも。とりあえず、久しぶりだな。」
「久しぶり。今日はどんな話を聞かせてくれるの?私はね――。」
「おいおい、なんだよその俺の話を聞きたいのか自分の話をしたいのかわかんねえ口振りは。」
「あ、ごめん、つい。じゃあ私からね。」
「結局自分からかよ。まあ良いけど。」
それから私たちは1時間ほどずっと話し込んだ。
「さてと。それじゃあ行くかな。気をつけて帰れよ。」
「うん、また後でね。」
クラーク王子は家来たちと合流しないといけないし、なによりも彼が家来たちを引き連れて訪れる姿を見たいわけだからどっちにしろ私は王宮に戻ってなくちゃいけないんだ。だからここからは別。さ、早く戻ろっと。