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ウサギ地獄?

酒盛りの翌日のこと、さくらは『朔以外の雄の匂いがする』と弖阿に問いつめられて焦る。朔はむくれるし、弖阿には遊ばれ…さくらはてんやわんや。

奈与に会ったことがバレて、そこからまた話が動きだす。弖阿が語る、『千年前の悲劇』とは!?

「きゃ‐‐―――っ!?」

早朝のしじまを破って、弖阿の城館中に布を裂くようなさくらの悲鳴が響き渡った。

宴会場である座敷には、一面に色様々な毛玉が転がっていたのだ。

一見には『不気味』である。

ウサギ、ウサギ……どこを見ても、ごっちゃりとウサギだらけ。

「ちょっと! 朔、朔ってばっ、おーきーてーっ」

周りの中で唯一人型をしている朔を抱き起こすと、さくらは残酷にも、前後に激しく揺すった。

その口からは、半分魂が出かけている。

「っ、う……さくら? 昨夜、どこ行ってたんだよぉ」

朔は額を押さえながら起き上がり、キョロキョロと周りに広がる惨状を見回した。

「どこって、どこにも行ってないわよ。アンタが酔いつぶれたから…つまんなくて。それにしても、みんな大丈夫かな……ヒドイぞぅ二日酔い」

「ふあー……よく寝たわい。こう見えてもな、我が一族は酒豪揃いなんじゃ。大事ない、すぐ元に戻ろう」

「あ、弖阿さん! おはようございます、ほら朔ちゃんも」

さくらが城館の主である弖阿に会釈するのに合わせて、朔も慌てて小さく会釈する。

「早うさん。んー? さくら、おぬし…気のせいかや? おぬしからおとこの匂いがするぞ。朔ではないようだが」

「あっ、昨夜の酒盛りの時に付いたとか……たくさんいましたもん」

ふんふん、と匂いを嗅ぐ弖阿に、さくらは焦る。いきなり冷や水を浴びせられた気分だ。

「ああ!?」

瞬間、うとうとしていた朔の眠気は思い切り弾け飛び、慌ててさくらににじり寄って抱きつく。

「さくら、まさかだよな?」

「若いな、それに……この匂い、覚えがある」

(う、浮気だって!? そんなっ、そんなぁ‐‐―――っ)

朔は弖阿のだめ押しに一瞬潰れつつも、涙目でキッと紫生の方を睨む。

しかし紫生は『鬼ババがぁ〜』などと眉間に皺を寄せて、うなされているようだ。

よって、犯行は無理。

「誰が鬼ババじゃ、くぬっ!」

弖阿が紫生にリンチをしている脇で、朔はさくらにかぶりつく。

「嘘だ、ぜぇったいに嘘だ‐‐――‐‐!」

「やだ、朔ちゃんっ」

すりすりと匂いつけに忙しい朔の脇で、弖阿が突然に柏手を打った。

「奈与じゃ、間違いない。さくら……彼奴と会ったんだな?」

「ええ。昨夜、浜辺で彼に会ったんですよ」

「なっ」

ショック再び。むくれる朔を、弖阿が小突い(殴った)た。

「お前は少し黙っとれ」

さくらは、その先を言わなかった。なにもなかったかのように平静を装う。

……が、しかしそれも、隠し事が苦手なさくらにとっては逆効果になってしまうのだ。

朔の一言で脆くも崩れ去ってしまう。

(キスされた挙げ句、告白されたなんて言えないわよ。思い出すだけでも、あの時はどうにかなってたんだわ!)

「まーさか、アイツとキスしたとか……ないよな?」

「したんじゃない! されたのよっ! それも無理やりねっ」

(ダメじゃん……これじゃ、全然いい訳にしか聞こえないしっ…)

チラと伺い見てみるが、朔は依然むくれたまま。

延長戦突入かと思われたその時。

ジト目の朔は大仰に溜息すると、きつくさくらを抱き締めた。

「とにかく、どこも無事なんだな? あんなクソガキに誰がやるかよ。さくらは俺だけのだ」

「朔……」

人目もはばからず濃厚なキスをしてから、朔はさくらの耳元に、小声で囁いた。すると、ぽんっ、とさくらの顔が赤くなり、朦々と湯気が上がる。(なにを言ったのかは、ご想像にお任せします)

「さ、さくら……大事ないか?」

夫婦喧嘩が終了したのを見計らって、弖阿が恐々と声をかけた。

「は、い…」

「これを話さねばならん日が来るとはな。聞いておくれ、兎族と…今となっては、亡んだ人族の話……千年前の悲劇を」悲しげに弖阿の表情が翳ったのをみて、さくらは小さく問いかける。

「千年前……? なにがあったの?」

こくり、とさくらの喉が上下した。

「あれは……」

ゆっくりと一つずつ噛みしめるように、弖阿は語り始めた。

―――千年前の、悲劇の全貌を。

どうも、こんばんわ。維月十夜です。

この寒波の中、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

この寒波の中、自宅が水害に遭ってしまい引っ越しに追われる毎日。『ああ、無情』とはこの事ですよね。

さて、本題。なんだか今回の話はあっけなかったですよ。

導入部なので、仕方ないかな…とほ。

次回は奈与の出生の謎に迫ります!乞うご期待。(って、どこの番組ですか!? 笑)


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