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未来少年2nd  作者: 織間リオ
最終章【森羅万象の超能力者】
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48、終わりと破壊

 東暦二〇一一年、五月。各地で勃発していた、「サイコスト狩り」は、さらにその規模を広げていき、エスパーにも、刃を向けていた。カスタムサイコストで構成された、独立軍隊組織「カスタマー」。最高司令官、黒田闇亜をトップとし、活動を開始した彼らは、ピュアサイコストに対し、「第二次超能力戦争」を開戦させた。

 この、「第二次超能力戦争」は、後に、「カスタム紛争」とも呼ばれ、カスタムサイコストの影響は、世界に響き渡っていた。

 同じ年の七月の初め。カスタマー最高司令官、黒田闇亜は没し、二ヶ月にもなる、「第二次超能力戦争」は、ようやくその戦端を閉じた。

 この戦争に対して、民衆からは、戦争にしては、早期解決となり、良い結果であったという者が多かった。確かに、あれだけの大規模な兵力を持ちながらも、たった二ヶ月での終結。むろん、この早期終戦には、彼らの姿もあった。

 かつて、エスパーによって始まった「第一次超能力戦争」を終結させた、五人の少年達。彼らの活躍により、戦争が終わったのは言うまでもない。

 彼らがいなければ、あるいは長期化し、泥沼の戦いになっていたのかもしれない。彼らの居場所は、何も戦場だけではない。それを知っているからこそ、民衆は、歓喜に満ち溢れ、英雄を称える。

 そして、もう一人、この戦争を終結させるために尽力した少年がいた。

 赤火紅蓮である。

 公には、あまりその名を聞かぬ紅蓮ではあるが、それでも、彼が実力者であり、英雄達と同等の力を持つことは、多くの人たちに伝えられていた。だが、彼が求め続けていた力に「飲まれかけた」ことは、誰も知らなかった。


 紅蓮は、家族のいた場所に一人、たたずんでいた。開け放した窓からは、夏の湿っぽさを吹き飛ばす、乾いた風が通り抜け、部屋の中の物をたなびかせている。

 ふと、紅蓮はテーブルの上においてあった、一枚の写真に目が留まる。笑っている両親の間で、無表情で映っている自分。紅蓮は改めて、自分がこの笑顔を二度と見られないのだと悟った。失ったものは、二度と戻らない。自分が殺してきた者の中にも、家族がいるし、愛している者もいる。それを、自分は断ち切ったのである。罪の重さは、十分に分かっていた。だからあの時、闘也達にやられてよかったと思っていた。

 自分はまた、大切なものを失うところだったのだ。

 左耳に装着している無線機から、通信が入る。

『こちら、サイコスト協会、炎天支部。炎天中央広場にて、反乱兵が出現。撃退にかかれ』

「了解」

紅蓮は、家を飛び出し、炎天中央広場へとたどり着く。すでに、木々は倒れ、子供が遊ぶ遊具も無残にも破壊されている。反乱兵がこちらに気づいたのか、(かなり遠くからではあったが)突撃してきた。紅蓮は、無線機に向かって、そして、目の前の反乱兵に向けて、そして、自分自身に向けて、言い放った。

「赤火紅蓮、戦闘を開始する」


 しかし、紅蓮や、闘也達は分からなかった。

 たった二ヶ月で終結したとは言え、この戦争は、新たなる戦いへの布石であることを。

 闇亜が行おうと画策した世界破壊が、すぐ近くにまで迫っていることを。

 別の世界でまた、世界破壊が行われようとしていたことを。

 世界が本当に、破壊されるということを。


未来少年2nd、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

一応続編を掲載予定ですので、お心準備のほど、よろしくお願いします。

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