魔眼解放
なんとかギルドの模擬戦場を貸してもらえたらしく、俺たちはそこに立っていた。
「本当に5人でかかってもいいのか?」
「…こっちも言おうか。本当に5人で勝てると思ってるのか?」
5人ともそれなりに瞳の色が濃い。助けた女も前会った時より濃くなっている。それなりの実力者だろう。だが、その程度じゃまだ足りない。
「本当にごめんなさい。うちのこの木偶の坊が」
「おい!」
「本当のことだからいいじゃないですかー」
「うぅ…あ、あの、私には手加減でお願いしますぅ…」
「なんか個性が強いな…」
「恩を仇で返すような感じになるけど、ごめんなさいね」
「…それに関してはもういい。そもそもそんなに見返りとかには興味がない」
こいつを助けたのもただ気分が乗っていたからだ。こいつらと戦うのも気分だ。
「3人は手出しするなよ」
「わかってるっす!」
「師匠さんが負けるはずがないので」
「あ、師匠!このあと僕ともお手合わせお願いします!」
そんな感じで3人には離れてもらったが…
「なんか観戦多くないか?」
模擬戦場は円形の闘技場に近い形なのだが、そこを囲む観戦席が半分近く埋まっていた。
「頑張れよースノー」
「…」
左後ろからウリの声が聞こえた気がするが、無視しておこう…てか、お前、別の仕事行ったんじゃねぇのかよ!
「それじゃあ、やろうか!」
「はぁ…さっさと来い」
相手は5人、しかもチームだ。ある程度の連携は取ってくることは想定しておくべきだな。
「ふぅ…っ!」
一気にリーダー的な奴が詰めてくる。それなりに速い。しかも魔眼を使った痕跡がない。自力でこの速さか…
「だが、まだ届かんよ」
「だろうな」
俺が右に避けた瞬間、そいつが魔眼を発動。地面が自我を持ったかのように動き出し、触手のような形を模った。触手たちは俺目掛けて攻撃をしてくる。しかも時間が経つごとに増えていっている。
「こりゃ止まらないな。」
俺がそいつを中心に回ると触手が解除される。やはり目線に入っている時しか動かせないらしい。
「カナ!」
「わかってますよ」
今度はカナが俺目掛けてナイフを投げてくる。掴むこともできるが、既にカナも魔眼を発動させている。何も考えずに触るのはやめといた方が良さそうだ。
「っ…なるほどな」
ナイフを避けた…が、そのナイフは俺を追跡するように曲がって俺を追ってくる。
「操縦か…なかなか技術のいる魔眼だな!」
この2人、両方とも操作系の魔眼っぽいな…ならどうするか。操作系は遠距離になるとこっちが不利になる。なら距離を詰めて潰すのがベター。だが男の方は自力もある。なら狙うはカナの方。
「まずは1人目から落とさせてもらおうか」
俺は男を無視して全速力でカナの方向に走っていく。触手やナイフが飛んでくるが、その動き自体は単純だ。操作系は三次元を正確に認識する力が問われる。だが、全てを把握するのはかなり難しい。そのため操作系は超上澄以外は単縦な操作になりがちだ。
「ここまで来ればもう対処は無理だろ」
俺は既にカナを射程圏内に入れていた。蹴りで吹き飛ばそうとした瞬間、透明な壁によって阻まれる。
「だ、ダメです…カナさんは狙わせません」
「今度は防御系か?多種多様だな」
防御系は透明な壁を作り出すものが多く、単純だが、その分応用も効く。意外と使い勝手がいい能力だ。ただ問題なのは、それが使い手の才能が必須のため、なかなか人によっては全然使えない奴も多い。
「どうしたもんかね」
「僕も忘れないでくださいね」
「私もね」
「また2人一気か」
男の方が砂を上に投げる。それは徐々に数を増やしていき、俺の場所は完璧に影で覆われた。
「チェックメイトです」
その砂は女の方の魔眼により砂とは思えない速度で落下していく…
「ふぅ…やったか?」
「それフラグっすよ」
「危ないなぁ…俺じゃなきゃ死ぬところだったぞ」
「マジかよ」
「あれで無傷って…どういうこと?」
流石に危なかったな…少しでも判断が遅れていたらやられていただろう。
「さて、次は俺のターンだな」
俺は左眼の魔眼を発動させる。
「まずは邪魔な防御系からだ」
「リサ!」
急な接近だったはずなのに壁はちゃんと張っている。常に行っているっぽいな。だが、関係はない。おれはその壁をすり抜けて拳でそいつを吹き飛ばした。手加減はしたため、気絶程度で済んでいるはずだ。
「さて次は…お前だな」
次に狙ったのは俺が助けた女だ。多分質量を操る感じの能力だろう…流石に厄介すぎるから最初のうちに落としておきたい。
「させるかよ!」
間に入ってきたのはチームのリーダー。だが、俺の蹴りはそいつを貫通して女にぶち当たる。女はそのまま吹き飛び壁に衝突、同じく気絶した。
「さて、どうする?」
「…クソが…お前らは、棄権しろ。ここからはタイマンだ」
「え、でも」
「いいから!想像より強いっぽいからな」
「…はい」
そして他2人は棄権して気絶した2人を連れていった。
「喧嘩を売ったのは悪かった。強いやつとは戦いたい主義でな」
「そうかい。で、ここから勝てる手はあるのか?」
「…さぁな。勝てる確率は1割程度だろう。だが、やらない手はない!」
「そうか…そういえば、名前も聞いてなかったな。名前も知らずに模擬戦…違和感がある」
「はは、そうか?戦場じゃそんなもんだろ!まあ、名乗ろうか。俺はルフ」
「そうか。もう知ってるだろうが俺はスノー。さて、名乗ったし、どうする?」
「…ここまで来たらやる手は一つだろ…魔眼解放」




