戯れ
ルーラーに仮入隊した俺は、ウリに連れられてルーラーのアジトに来ていた。
「これはなかなか…いやかなり改造したらしいな」
そこは元々駅として使われていた地下街だった。もちろん今はもう電車は通っていない。
「俺たちが来るまでいた奴らがいてな、そいつらがやったところもあるが、ほとんどは俺たちだな」
「ふーん」
辺りを見渡すとほとんどが魔眼使い…というか魔眼使いじゃない奴が見当たらない。
「てか、そいつの魔眼、便利だな。転移系だろ?」
俺のところに来た5人のうち、唯一戦闘中魔眼を使っていなかった女、この女の魔眼で俺たちは一瞬でここに来た。転移系は条件がついてたり、大人数転移できなかったりが多いが、7人一気にここにピンポイントで転移できるとは…
「凄いだろ?俺の秘書兼転移役なんだ。リコって名前でな」
「それ以上は私が…先程の無礼をお許しください。スノー様、私はリコ、転移系の魔眼を持っているウリ様の秘書です」
「ふむ、転移系はここには何人ぐらいいるんだ?」
「転移系は10人程度だな」
パッと見ただけでも60人以上はいる。てことは1/6とかそこらか…
「なるほどな…で、これは今どこに向かってるんだ?」
「お前を配属するグループだよ。ルーラーも人数が多いから流石に全員同じグループってわけには行かないんだわ。でも安心しな。お前のグループはあの3人入れてるからな。」
「は?あいつら幹部になったって言ってなかったか?」
「それが、お前を勧誘するって話をしたら同じグループじゃないと嫌だって言ってきてな。本当は嫌だったんだが…それのせいでやる気がなくなられてもな」
「はぁ…そうかよ。」
俺が唯一ルーラーで鍛えた3人、元から魔眼の能力は凄かったし、才能もあったが、それによってわがままになっているらしい。
「お、ここだ」
「あぁ…はぁ…」
扉に手をかけた瞬間にわかった…あいつら、かなり生意気になっているらしい。ここは一回解らせる必要があるらしい。
俺が扉を開けた瞬間、無数の針が飛んでくる。それと同時に奥にある女と目が合う。そして女の魔眼によって体が硬直する。針が目の前までくる。が、その針は俺の目の前で消え去った。
「は?」
目の前の女は何が起こったのかわからない顔をしている。瞬間、さっき消えた針が現れ、女めがけて飛んでいく。女はギリギリで躱しきるが、目線は俺から外れ、魔眼の能力は途切れた。それを見逃すほど優しくはない。一瞬で距離を潰し、女の足を踏む。
「ぐっ…」
人はどうしても痛みの方に意識がいってしまいがちだ。足を踏まれれば、そっちに意識がいく。そうなると上半身が無防備になってしまう。右手の裏拳で頭を叩き、跳ぶようにして左で回し蹴り。女はそのまま倒れ込んだ。
「十分な挨拶じゃないか。ヒジリ」
「あは…は…強さは健在っすね…スノー師匠」
こいつはヒジリ、魔眼の能力は見た人物を見ている間だけ停止させる。俺が鍛えた3人のうちの1人だ。
「あの程度で俺に勝てると思っていたのか?」
「違うっすよ…師匠に勝てると思うほど私も愚かじゃないっす。ただ、少し戯れたいなぁっと思って…」
「はぁ…そうかよ」




