狂愛
俺は自室に戻り、渡された手紙を開く。誰からのものなのかはわかっているし、内容もなんとなく察している…見るのが嫌になる。手紙を持った手が重い。
「…ッ」
そこには大量の愛を伝えた文が書かれまくっていた。細か過ぎて目を挟まないと読めないほどぎっしりと。そして手紙の差出人…
「…はぁ…やっぱりあいつか…」
ウェン…昔、俺とウリ、ナハト、アル、ウェンの5人で暴れまくったものだ。ウェンは俺と同じオッドアイの魔眼使いで、魔眼の能力は知らないが、戦闘系の魔眼ではないらしい。
「マジで、これだけはどうにかならないものか…」
俺が1人で暮らしていた頃にもどうやってか手紙を届けてきていた。内容は今回とほとんど変わらない。だが、何か大切なことが書かれていると困るので結局全部読むのだが…何故俺のことが好きなのかはよく知らない。いつからか好き好き言うようになっていた。俺が人生の中で一番恐れている魔眼使いと言えなくもない。
「寝る前に見たのはミスだったな…」
時計はもう23時になろうとしている。明日はアルがここに来るらしい。ウェンは…知らないが多分すぐ来るだろう…
「はぁ…寝るか…」
手紙のせいで頭がモヤモヤしながらも眠りについた。
・・・
朝、目を覚ますと身体が重いことに気づいた。
「朝からなんだぁ?」
目を擦りながら重くなっている腹部を見る…そこにはピンク髪の小柄な少女が寝ていた。
「は?」
急なことに呆けていると、少女が目を覚ます。
「うぅん…おはよー…愛しのダーリン」
「誰がダーリンだ!さっさと出ていけ!」
そこにいたのはウェンだった。何故ここにいるのか。どうやって俺にバレずに布団の中に入ったのか。何もわからないが故に謎の恐怖を感じる。
「師匠?どうしたの?」
俺の声に気付きヒジリが部屋の扉を開ける。
「え?」
「おい、これは…」
「師匠…そんな幼い子に手を出したらダメっすよ…」
「だからこれは!」
「カリンたちには秘密にしとくっすね…その…気をつけてくださいっす…」
「おい!待て!」
ヒジリはすぐに扉を閉めて出ていった。追いかけようとしたが、上に乗ったウェンが邪魔なのと、乗られていたせいで身体が痺れてまともに動けない。
「クソがぁ!」
その後、ヒジリに説明をしてなんとか納得してもらった。
「で、なんでお前がここにいるんだ」
「えぇ?だってダーリンが困ってそうだったからぁ」
「今、お前のせいで一番困ったんだがな」
「もう!ダーリンは恥ずかしがり屋さんなんだからぁ♡」
「やめろ!」
はたから見ればウェンは美少女だ。だが、こいつ…
「お前、男だろ」
そう、こいつは男なのだ。ちゃんとついてる。見た目だけ美少女、いわゆる男の娘ってやつなんだろう。それ故にさらにタチが悪い。
「性別なんて関係ないよ!私はダーリンが好き!ダーリンも私のことが好き!でしょ?」
「好きじゃねぇよ!俺にそんな性癖はない!」
本当にこいつと話していると疲れる…戦闘なんかより断然…




