桃源郷
ついつい助けてしまったが、どうしたものか…戦闘を見るのは好きだが、こういうことに巻き込まれるのは嫌なんだが…
「…これから私をどうするつもりですか?」
「は?」
「襲うつもりですか?」
「なぜそうなる…」
「知らない女性を助ける理由なんてそれしかないと思うのですが…」
「普通に面白そうだったからだ。それ以上の理由はねぇ。わかったらさっさとどっか行け」
「待ってください!貴方の魔眼…なんなんですか?とてつもなく色が濃い。色が座れるような…それにその眼帯…もしかして両眼なんですか?」
両眼、その名の通り魔眼が両眼に発言した者のことで、ほとんどの魔眼使いは片目だが両眼は片目とは比べ物にならないほどの威力を出すことができる。その代わり反動やデメリット、発動条件など、難しいことが多い。
「まあ、そんな感じだ。色が濃いのは死ぬ気で生きてるからな。努力すれば誰だってこれぐらいはいく」
「…私だって努力はしてます!」
急にキレて胸ぐらを掴んでくる。助けてもらった恩をもう忘れているのだろうか…それともバカなのだろうか…
「私だって、妹を守るために死ぬ気で頑張っているんです」
「妹ねぇ…」
「あ、妹はあげませんよ」
「いらねぇし、興味ねぇよ」
「私の妹に魅力がないって言いましたか?」
「言ってねぇよ。めんどくせぇ…さっさとどっか行けよ。疲れる」
「あの…ここら辺で安全なところってありますか?」
「安全?何言ってんだ。安全な場所なんて存在するわけねぇだろ」
「でも一年前までは桃源郷が存在していたじゃないですか!」
「あれは奇跡が重なり合った結果だろ。それにあそこを統括していたゼロとかいうやつの魔眼が凄かっただけだろ」
桃源郷、一年前に大人数の魔眼使いの侵略によって崩壊した都市。名の通り戦争も起きず巻き込まれず、魔眼使いじゃない人間や戦いたくない者たちにとっては最高の場所だっただろう。そしてそこを運営兼守り続けていたのがゼロと呼ばれている魔眼使いだ。魔眼の能力は誰も知らないが、最強の魔眼使いと称されている。現在もどこかで生きているらしい。
「…そうですか…そうですよね…私は妹が待っているので…それでは…」
「はぁ…わかったよ。一つだけ教えてやる。」
俺は一枚の紙をそいつに渡す。
「これは?」
「チケットみたいなやつだよ。そこに書かれている場所に行けば俺の知り合いがリーダーをしている魔眼使いの組織があるはずだ。行ってみるといい」
「いいんですか?こんなことしても…もし私がその人を殺したら…」
「あいつがそんな簡単に殺されるわけねぇだろ。最低でもさっきの男の5倍は強くないと倒せねぇよ。プラスでその組織の奴らも強いしな。あの程度に負けているようじゃ不可能だ。だから安心してその紙を渡せるわけなんだがな」
「そうですか…ちなみになんでこんな紙を?」
「最後にあった時に誘われたんだよ。入るつもりになったらいつでも来いってな。来るたび来るたび渡されるから、相当溜まってるんだ。捨てるのも面倒だし、いいやつを見つけたら紹介をしている。」
「そうですか」
「それにあいつは情に弱い。妹と一緒に行けば確実に入れるだろうな。」
「…ありがとうございます!」
「まあ気をつけろよ。このご時世だ。その組織もいつ消滅するかわかったもんじゃない。死が常にそばにいると思えよ」
「はい!肝に銘じます!」
そう言ってその女は立ち去っていった。
「あ、名前ぐらい聞いとけばよかったか?」




