去来の魔眼
「で、逃げられたと…」
俺とココウはウリにあの男について聞かれていた。
「まさか2人がかりでもどうにもできん程だったとはな」
「すみません!確実に僕のミスです!僕が相手の強さを見誤り、スノーさんが来るまでの時間稼ぎではなく、仕留めに行ったからです…」
ココウの言っていることもあってはいる。もし、ココウと俺の2人がかりなら仕留められた可能性はある。だがそれは結果論でしかない。多分ココウの前では手加減をしていたんだ。そしてココウが攻めに来た瞬間に本気を出す。自分の力を誤認させた。全てあの男の掌の上だったということだ。
「ウリ、2人だけで話したい」
「…わかった。ココウ、今回の件はお前に罰を出すようなものではない。侵入された時点で負けだったんだ。そしてその侵入を手伝ったのはカラスだ。そしてカラスを入れたのは俺だ。罪は俺にある。お前が償うようなものではない。」
「…わかりました…それでは失礼します」
ココウはそういって部屋を出ていった。
「ふぅ…で、なんの話だ?」
「黒フードの男についてだ。あの男、両眼だけじゃない。俺と同じ…」
俺は付けていた眼帯をゆっくりと外す。そして久しぶりに右目を開くと真っ白な瞳、左目とは違う意味で光を全て吸収している。
「オッドアイだと思うんだ」
「…オッドアイか…」
この世界のオッドアイはただのオッドアイではない。能力を二つ持っているという意味だ。
「どうしてそう思った?」
「俺は最初、感知系の能力かと思った。だが結果は鎖を出す能力…2人入っているにしては他の場所でそんな報告があがらない。それにあいつの瞳、魔眼を使っていた時に2つの魔眼の使用を感じた。」
「ふむ…それなら片方は鎖生成、もう片方は感知系と考えるべきか」
「最悪の状況は考えておくべきだ。」
「そうだな…俺から一つ質問いいか?」
「なんだ?」
何を質問されるかはなんとなく予想できる。
「何故右目を使わなかったんだ?」
当然の疑問だ。
「お前の右目の能力は俺たちも知らない。だが左目は知っている。"去来を操る能力"、それだけでも強い」
「おい、人の能力を勝手に喋るな」
「…すまんな。いつもの癖で」
去来を操る能力、これが俺の左の魔眼の能力だ。過去と未来、そして現在、その全てを操ることができる。実質四次元への干渉ができるようなものだ。相手の攻撃が避けるのは、そこに誰もいなかったという状況を現在に持ってきた。あのホログラムも過去の状況を現在に持ってきた。ナイフが突然現れたのも事前に未来に向けて投げたに過ぎない。俺が去来の魔眼使いと呼ばれる所以でもある。
「…で、なんで使わなかった?」
「…こっちの目はあんまり使いたくないんだよ」
俺は再び眼帯で右目を隠す。人に見せるようなものでもないし、俺も見られたくはない。
「左目はまだ相手を生け取りにできるが、右目はそれができない。ほとんどの確率で殺してしまう。だから右目は使えなかった。そして俺自身が右目を使いたくない」
こんな言い訳で、許してもらえるかはわからないが事実だ。それを聞いたウリの答えは…
「わかった…お前とは長い仲だ。信じよう。それに死人も裏切り者だけだからな」
「あぁ、本当にすまないな」
「それ程度で頭を下げるなよ」




