過去そして今
去来の魔眼使い…片目に眼帯、開いた左目は黒く染まり反射すらも起きない。まるで穴が空いているかのようだ。容姿は少年と思えるほど幼い、だがそれに反し強さは強大だった。
去来の魔眼使いが有名になったのは今から数年前の出来事が原因だった。ある地域で暴れまくっているフィルトンという組織があった。人数は3桁にまで上り、魔眼使いを含むほとんどの人間がフィルトンを恐れていた。だが、それを一夜にして壊滅させたのが5人の魔眼使いだった。その中でも目立っていたのが、眼帯の男…去来の魔眼使いだったのだ。去来の魔眼使いに殺されたフィルトンの組員は40以上、なのにも関わらず重傷どころかかすり傷すらついていなかったのだ。それから1年間はその5人がその地域のトップとなっていた。暴れる魔眼使いがいれば捕まるか殺された。魔眼使いではない人間がいれば、積極的に保護していた。第二の桃源郷とも呼ばれていた時期があるほど平和だった。だが、その平和も長くは続かなかった。トップの5人が一夜にしていなくなったのだ。その後、その地域は荒れ狂い崩壊した。
・・・
俺がサラを倒した頃にはもう他の奴らも決着がついていた。ルーラーの圧勝とも言えるだろう。
「師匠!ご無事ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。そっちは?」
「こちらは怪我人はいるものの死者は誰もいません!今、回復系の魔眼使いのヒルさんに治してもらってます。師匠は怪我とかは負ってないですか?相手はあの青眼のサラだったと思うのですが」
「いや、無傷だ。何もなかったよ」
服にすら切り傷もない姿をカイに見せると多少は驚きつつも理解したようで、他の奴らの元に帰っていった。
「ふぅ…どうしたものか…」
俺はこの戦闘、罠にしか思えなかった。まず、やけに人数が少ない。戦争が始まったんだ。相手の戦力を見るためなのかもしれないが、あの人数じゃ少なすぎる。次にサラの扱いだ。サラはノランの幹部だ。そんな奴をあんな感じで使ってくるか?まるで捨て駒だ。
「これは早めに帰るべきだな…」
その考えに至ったのは俺だけではないらしく、俺たちは即座に拠点に帰ってきた。拠点に帰るとそこは阿鼻叫喚の地獄絵図…
ではなかった。
「よお、遅かったな」
「こちらは片付けておきましたよ」
そこに立っていたのはウリとナハトだった。まあ、この2人がいる時点でなんとかなるとは思っていたのだが…
「で、どうするつもりなんだ?」
「簡単だ。俺の魔眼で誰が中心にいるのかを喋らせる。」
ウリの魔眼は催眠、目があった生物を操ることができる。操れるのは24時間、その間なら如何なる命令も実行する。ウリはそこら辺に転がっているノランの組員を拾い上げて魔眼を使用する。
「お前らは誰の命令で来た?」
「…ヴァル様の…命令です」
「ヴァル…ノランのリーダーだな…ノランの上層部、知っている奴の名前と魔眼の能力を言え」
「…わかりません」
「は?」
「…情報管理はちゃんとできているということですね」
「めんどせぇなぁ」
「まあ、そんなもんだろうとは思っていたがな…で、どうする?」
「…幹部陣を集めて決めるしかないだろう。もちろんお前らにも出てもらうぞ?」
「はいはい…」




