青眼のサラ
俺はすぐにカリンたちと合流し、バスで戦場に向かっていた。
「まさかここまで早く始まるとはな」
「そうですね。あと数ヶ月はかかると思っていたのですが…」
「師匠はこれが終わったらどうするんすか?辞めるんすか?」
「どうするかな。気分次第だ」
辞める気ではいるが、いざ辞めるとなるとどうなるかはわからない。
「そろそろ着きます!」
バスの運転手が報告をした瞬間、乗客全員が窓を開き外に出る。もちろん俺たちもだ。
「制圧するぞ」
「「「了解」」」
戦争が始まった初日なのに既に相手はかなりの軍勢で攻めてきている。30人はいるだろうか。全員がまあまあの実力持ちだろう。それに魔眼使いがあの量だと流石にめんどくさい。
「ま、頑張るか」
俺が一気に軍勢に突っ込もうとした時だった。急に現れた女によって俺は吹き飛ばされた…
「クソが…誰だ?」
「まさか去来の魔眼使いがこの程度なんてね…」
「あ?…その瞳の色は…青眼のサラか?」
「あら、あの去来の魔眼使いから認知されているなんて…嬉しいわ」
「そうかよ」
俺は懐に隠していたナイフを予備動作なしで投げつける。だが、それをサラは余裕の表情でキャッチする。
「…魔眼を使ってるな?」
「あら、酷い。これが素の実力ですよ」
「騙せると思ってんのか?」
魔眼使いが魔眼を使うと言葉にはできない違和感が現れる。サラからはそれを感じる。発動が本当に一瞬のため普通の魔眼使いでは気づかないだろう。どんな能力なのかまでは俺もわからない。だが確実に使用している。
「あんまり頭は使いたくないんだがな」
「じゃあ一瞬で殺してあげる」
一瞬で距離を詰めてくる。だが、違和感を感じる。まさか…
「ある程度予想がついた」
バックステップで距離を離す。サラのナイフは空を切っていた。
「あら、本当かしらね」
「一瞬で距離を詰めたり、予備動作なしの攻撃に対応できたり…何も共通点はないように思える。だが一つ、見落としていた。それは…転移系だ」
サラはここらへんの魔眼使いの中では上位に入るほどの強者だ。故に勝手に戦闘系だと思い込んでいた。転移系…この可能性もあるじゃないか。
「さぁ、どうかしらね?身体強化もあり得るんじゃないかしら?」
「そうだな。"今"の情報だけならそこらが限界だ。だがお前は俺の魔眼を知っているだろう?」
「…わかってはいたけど、本当に戦いたくない相手ね…去来の魔眼使い…」
「どこでそれを知ったのかは知らないが、覚えられてると色々めんどくさいんでな。ここで死んでくれ」
「そう簡単に死ぬとでも?」
「…死ぬさ…だって…」
グサッとサラの背中にナイフが刺さる。そのナイフはさっきまで存在しなかったナイフだ。転移系でも身体強化系でも関係ない。これなら避ける間も無く殺せる。
「この程度で勝てるとでも!?魔眼展開」
「…チッ…めんどくさいな」
転移系の魔眼展開はかなりめんどくさい。俺の魔眼を使っても捉えることができないため、俺へのメタとも言える。
「死になさい!」
サラが後ろに転移し俺に襲いかかる。俺はすぐに避けようとするが、避けた方向に転移される。
「こんなんズルだろ」
そう、ズルだ。こんなの回避のしようがない…だが、対処法も存在する。それは…
「魔眼展開」
「は?」
ナイフは俺をすり抜けた。それを持つサラも同じように。
魔眼展開に魔眼展開…どうなるのか。結果は、熟練度の高い方の魔眼展開が優先される。相殺されるわけではない。同時に同じような技を使っても熟練度の高い魔眼展開の方が先に発動するということだ。そして今回の場合、サラより俺の方が強い…
「じゃあ、ちゃんと死ねよ」
魔眼展開で負けたやつの結末は8割型敗北する。俺はなかったナイフをさらに突き刺す。サラは血反吐を吐いてその場に倒れ込む。魔眼展開は解除される。それを確認後、俺もすぐさま解除した。
「まさか…魔眼展開をしてくるなんて…」
「しないと思っていたのか?俺をお前の尺度で図るな。この程度の長さの魔眼展開なら1日に数十回は展開できる。」
「…はは…計算ミスだったかな?」
「俺を敵に回した時点で負けを悟りノランを見捨てるべきだったな」
「それは…そう…かも…ね」
そらを最後にサラが口を開くことはなかった




