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1 誰にも愛されなかったアイリス

短編版に4000字ほど加筆をしているので1話から読んでいただけると嬉しいです。

「お前を愛することはない」


 これ知ってるやつだ。こういう始まり方するお話をネット小説で読んだことがある。


「俺には愛する人が居て、女主人としての仕事は全て彼女に任せてある。貧乏貴族のお前を金で買ったのはお飾りの妻になってもらうためだ」


 私が嫁入りしたのは中級貴族、それも中の下ぐらいの家格だ。ここにきて初めて知ったけれど、夫となったオリバー・パーキンスには平民の愛人がいる。その愛人は貴族が通う学園に特待生として入学し、優秀な成績で卒業したらしい。

 それだけ優秀なら王城の女官になることも出来ただろうに、なぜ、こんな微妙な家の微妙な男の愛人に収まったのだろうか。誘いに乗ったのがこの男だけだったのだろうか。


「お前の部屋は屋敷の端に用意してある。食事も運ぶように指示してあるから余計なことはせずじっとしていろ」

「衣食住が保証されているだけでも有難いと思ってよね」


 愛人はエイダという名前らしい。エイダは充実した生活を送っているのだろう、お肌はツルツルで身体は出るところが出ていて美しいプロポーションを持っていた。みすぼらしい姿をしている私よりも貴族のようだと思った。


「エイダの子が生まれたら俺とお前の間に出来た子として届を出すからな。あぁ、勘違いするなよ、子育てもエイダを中心にしていくからお前はそのまま部屋に閉じこもっていろ」


 なるほど。エイダが妊娠したのか。

 この国は血統至上主義だ。貴族の血が何よりも尊いもので、平民の血が混ざる事は絶対に許さないという考え方は好きになれなかったけど、この風習のおかげで命拾いしたところがあるから王家に歯向かおうとか、貴族の意識を変えようとか、そんな大それた事は考えていない。


 ちなみに、平民との間に生まれた子を貴族と偽ることは重罪だ。


 けれど、このオリバーはエイダ以外の女性と結婚をする気は無くて、エイダとの間に出来た子どもを婚外子という扱いにしたくなかった。そこで目を付けられたのがこの私、アイリス・グレイシー。

 下級貴族の中でも下の下に位置するグレイシー家の長女、その身体は栄養が足りていないせいで子どものように小さめだ。令嬢なのにこんがりと日に焼けた褐色肌がトレードマーク。周囲には変人扱いされている。


 持参金は不要、更に多額の金を渡すのと引き換えにするという条件に両親は大喜びで結婚を承諾した。しかも厄介者を追い出せると嬉しそうにしていた。オリバーの両親は結婚を見届けると『やっと安心できた』と言わんばかりに息子に爵位を譲って田舎に引っ込んでいった。息子のことを信用しすぎじゃない?


「自分の立場は分かったな? 大人しくしていれば食事は出してやる」

「この待遇に感謝してほしいものだわ」


 オリバーとエイダは言いたい事だけ言うと応接室から出ていった。その後はメイドに案内されて自室に向かったのだけれど、場所は本当に屋敷の端っこで、日当たりが悪くて狭い部屋だった。……下働きの部屋かな?


 それからの生活は実家にいた頃とあまり変わらなかった。食事は使用人と同じような内容、ドレスは買ってもらえるわけがないので実家から持ってきた粗末な服を着ていた。衣食住は保証するという話だったのに服は用意してもらえなかったのだ。理不尽だ。……でも、このような待遇は慣れていたから特に騒いだりはしなかった。


 エイダは私の反応がなかった事に腹が立ったのだろう、結婚して1ヶ月が経過する頃にはメイドに命じて私を困らせる方向にシフトチェンジしたらしい。メイドに『部屋の掃除をするから出て行ってください。夕方には終わります』と部屋を追い出されてしまった。


 実家との仲が良好だったら夕方まで遊びに行くという選択肢があった。けれども私は実家のグレイシー家でも酷い扱いをされていた。妹のチェルシーは可愛がられていたのに、姉の私には超塩対応。これが義理の母だったらまだ理解できる。でも私を虐げていたのは実母に実父。何でこんなに嫌われているのかと思っていたら、私の顔が祖母に似ている事が理由だった。

 祖母はちょっと厳しい人だった。ご存命の間は祖母の目があるから『なんか差別されてるな~』って程度だったのに、祖母が亡くなった瞬間に差別から虐待にレベルアップしたのだ。


 家が辛気臭くなるから夕食まで帰ってくるなと言われて、学園が終わった後は外で時間を潰していた。カフェに行くようなお金はないから屋外だ。そのせいで、服で隠せない部分のお肌はこんがりと日焼けをしてしまっている。


 学園に入学した12歳から卒業するまでの5年間、そんな生活が続いた。私が本当の子どもだったら耐えられなかっただろう。けれど、私は物心ついた頃から前世の記憶を持っていた。精神年齢が高めだったから耐えられたようなものだ。


「おう! 嬢ちゃん! 久しぶりじゃねぇか!」

「串焼き屋のおじさん! お久しぶりです!」


 騎士団の演習場近くには庶民向けのお店があって、串焼き屋のおじさんとは顔馴染みだった。最後に会ったのは学園を卒業する前だから、会うのは1ヶ月ぶりだ。


「そろそろ例の差し入れするか? 良い肉が手に入ったんだ!」

「おじさん、残念だけど結婚したんです。学園を卒業したから自由になるお金が無くなっちゃって……」

「け、結婚!? お前さん、成人してたのか! そういやここに通い始めて5年は経ってるもんなぁ」


 実は私、学園に在籍している時はたまに小金を稼いでいたのだ。


「ここにはまたスケッチをするために通う事になると思います」


 今の私にとって命の次に大切なスケッチブックを見せてみると、おじさんは『たまにはウチにも顔を見せてくれよ』と串焼きを1本サービスしてくれた。久しぶりに味わう温かいお肉に感動して涙が零れそうだった。


 前世ではプロの漫画家だったので人物のスケッチは朝飯前。大柄な男性と小柄な女性をテーマにすることが多かったせいか体格差エロを描かせたら私の右に出るものは居ないって言われるくらいには名前が売れていた。……まぁ、遠い昔の話だ。


 自宅に居場所が無かった私は騎士団の演習場で騎士達をスケッチしながら時間を潰していたのだ。

 

「そろそろスケッチブックが終わってしまう……」


 学園に在籍していた頃は美術クラブに入部していたので画材が使い放題だった。芸術を愛する卒業生が寄付してくれるおかげで不自由なく創作活動を楽しむ事ができたのだ。さすがに漫画は描けないからクラブメンバーの実力に合わせたレベルで風景画とか静物画を描いていた。下手に注目されて家族から嫌味を言われるのが嫌だったから実力は隠していたのだ。


 美術クラブOBの中には若手を育成するタイプの人も数名いて、生徒が描いた絵を買い取ってくれる事があった。究極の青田買いだ。それが自信につながる子も居れば、私のように突然の現金収入にむせび泣く子も居た。まぁ、泣いてたのは私しか居なかったけれど。


 その中でも美術商を営んでいる上級貴族のスクラート・カルバス様は何故か私の絵に興味を惹かれるようで、学生時代に描いた絵はほとんどこの方が買い取ってくれた。作品を家に持って帰っても捨てられるだけだし、もしかしたら誰かの家に飾られている可能性もあるし、現金収入もあるし……私にとっては神様のような人だった。


 生まれて初めて、銀貨5枚という現金を手に入れた日、私は騎士団の演習場近くにある串焼き屋で買い食いをした。アツアツでジューシーなお肉は絶妙な塩加減で焼かれていてとんでもなく美味しかった。実家では私への嫌がらせで粗食なメニューばかりだったから、焼きたてのお肉は本当に美味しかった。


 そして気が付いた。

 『残りの大金はどうしよう?』


 家に持って帰れば確実に取り上げられる。スケッチブックを買い足しておきたいけど、チェルシーが頻繁に私の部屋を荒らしにくるから在庫を持つことはできない。狭苦しい部屋の中には大事なものを隠すための場所がない。

 手持ちのスケッチブックは美術クラブに入部したときにカルバス様からの寄付で1冊ずつ配られたものだ。チェルシーは汚れたものは触ろうとしないので、表紙と裏表紙を絵の具でめちゃくちゃに汚してある。現代アートだと思って好き勝手に塗ってみた。


 残りの大金は女神様を祀る教会に寄付しようかと考えたけど、このハードモードな人生を用意されたことに若干の反発心があったせいで寄付という案は一瞬で消え去った。


 そして思いついた。

 『騎士団に差し入れしてみようかな?』


 若い騎士達は食べてもすぐに腹が減るという燃費の悪さのせいか「腹減ったな」「夕飯なにかな?」と呟いている事がある。串焼き屋の美味しいお肉を差し入れしたら喜ぶんじゃないだろうか。そう思った私は串焼き屋のおじさんに相談をしに行った。


『学園の美術クラブで絵を買い取ってもらったけど、家に持って帰れば取り上げられるかもしれません。このお金で騎士団に串焼きの差し入れをしてもらえませんか? 私はこんなに美味しいお肉を生まれて初めて食べました。皆さんもきっと喜んでくれると思うんです』


 串焼き屋のおじさんは泣いた。

 

『分かった! 嬢ちゃんからの差し入れだと間違いなく伝えるからな!』

『あ、いえ、恥ずかしいので匿名でお願いします。これからもスケッチをさせて欲しいから、私からだって知られたら居づらくなっちゃう……』


 私の願いを聞き入れてくれたおじさんは、臨時収入があるたびに匿名の差し入れをしてくれた。串焼きを頬張る騎士さん達の笑顔を見た時の喜びは、この先ずっと忘れる事のない大切な思い出だ。


 おじさんに別れを告げて1ヶ月ぶりに騎士団の演習場に行ってみると騎士さん達がザワザワしていた。5年近く通っていたから姿を消したことを心配してくれたのかな? ……そんなわけないか。

 騎士団の皆さん、お久しぶりです! 放置子から放置妻にグレードアップして帰ってきましたよ!



――1週間後


 今日は正午より少し前に部屋を追い出されたので、厨房に寄って昼食用のパンを強奪(「オリバー様が食事は用意するって約束したのよ!」と叫んだ)してから騎士団の演習場に向かった。


「チートとか、ざまぁとか、期待したよね~」


 憧れの異世界転生を自覚したとき、しばらくはウキウキだった。例えば『虐げられた令嬢はスパダリ気質の騎士団長に溺愛される』とか『虐げられていた令嬢ですがこのたび覚醒して王家に仕えることになりました。私を虐めていた家族なんて知りません。ごめんと言われてももう遅い』みたいな未来を考えたりした。


 学園では身分が上のものから声をかけるという暗黙のルールがあったので、身分がぶっちぎりで最下位だった私は同級生に話しかけることも出来ずに陰キャまっしぐら。スキルは『遠見』っていう遠くのモノがハッキリ見える能力だけ。これでチートとか溺愛とか無理があるよね。


「前世の物を商品化する事も考えたけど、ある程度のお金と権力がないと駄目だよね」


 平民でも前世の知識で無双っていうパターンの小説はあるけど、あれは子どもの話を信じてくれる家族がいて、尚且つ家族に愛されていることが前提だもん。家族からの愛がない、伝手もない、お金もないという無いない尽くしの私には無理だった。


「あるのはこの腕だけ、ってね……」


 騎士団の演習場に到着したので定位置に座ってスケッチブックを取り出した。私がいるのは見学用のスペースだ。騎士団の練習は一般公開されていて誰でも見学ができるようになっている。中にはご令嬢もいるけれど、私と違ってお付きの侍女が日傘を差しているので日焼けをすることはない。更にその後ろでは護衛が目を光らせている。


「護衛とお嬢様……良い」


 私の前世はプロの漫画家だったけど、漫画はこの世界に存在しない。自分のために描きたくても画材が無い。描けたとしても保管する場所が無い。


 護衛とお嬢様の身分違いラブロマンス。売れるよ。絶対売れると思うよ。お嬢様のことを大切にしたいのに想いが強すぎて手加減できない護衛、涙を浮かべて快感に耐えるお嬢様……売れないわけがないよ……

 

「漫画、描きたいなぁ」


 無駄な余白を残さないよう気を付けて大事に使ってきたがスケッチブックの残ページが心許なくなってきた。

 

「絵を売ってみるか……?」


 見学に来ているご令嬢は誰かのファンだったり婚約者だったりするのではないだろうか? そういうご令嬢に騎士の絵を売ってみたら小銭が稼げるかも……


「駄目だ、絵の具がない」


 活動は週に1、2回だったけど画材が好きなだけ使えたから美術クラブのときは楽しかったな……


「パーキンス家で絵を描こうものなら確実にメイドに邪魔される」


 スケッチブックを閉じてお気に入りの騎士様を探した。彼は目立つからすぐに居場所が分かる。


「団長、全員揃いました!」

「これより打ち合いを始める!」


 そう、お気に入りの騎士様というのは騎士団長の事だ。名前で呼び合っているから騎士さん達の名前はなんとなく把握しているんだけど、皆さんは騎士団長を『団長』と呼ぶから本名は分からない。


 身長は195cmぐらい。大きな身体に爽やかな短髪、スキルの『遠見』を使って確認したけど瞳は綺麗な紫色だった。私の身長が150cmぐらいだから、私と団長さんの体格差が好みすぎて妄想の中では何度も抱かれている。今は17歳だけど前世も足したら――歳だ。妄想ぐらい好きにさせてほしい。


 団長さんの精悍なお顔をジッと見つめていたら視界が暗くなった。誰かが私の後ろに立って影が出来たのだろう。


「ねぇ、いま少し良いかしら?」

「え? は、はい。何か御用でしょうか?」


 振り返ると日傘を差したご令嬢が立っていた。高貴な身分なのだと思う。令嬢の後ろに侍女が二人、護衛が三人も控えている。


「騎士団で噂の子リス令嬢とお話してみたくて、思い切って声をかけに来ちゃったわ」

「あのう、私はコリスではなくアイリスと申します」


 コリス……子リス? 手入れのされていない伸びっぱなしの茶色い髪をポニーテールにしているからリスの尻尾に見えた? あとは身長が低くて子どもみたいだから『子』リス? それと、言いそびれたけど令嬢ではなく書類上は人妻だ。


「ふふ、アイリスね。私はジュリアよ。ジュリア・ヴァレスティン」

「ジュリア様……」


 ヴァレスティン家は上級貴族の中でも一番偉い家門だったと思う。下級貴族の下の下の位置にいる私でも良く知っている。


「アイリスってほとんど毎日ここに来ていたでしょう? スケッチブックに何を描いているか気になっていたの。あなたの姿が見えなくなった時、もっと早く聞けば良かったって後悔したのよ」


 身分が上の人をジロジロ見ると失礼になるから見学スペースでは周りを見ないようにしていたのだけど、ジュリア様も常連だったらしい。気が付かなかった。


「見ても良いかしら?」

「どうぞ」


 後ろの侍女と護衛が怖い。なんで平民ごときがお嬢様に……って思われてそう。私、外見はこうだけど血筋だけ見たらちゃんと貴族なんですよ。


「まぁ! すごいわ! 見てちょうだい!」


 二人の侍女はスケッチブックを見て目をまんまるにして驚いていた。護衛の三人も上から覗き込んで同じように驚いている。この世界は絵画といったら風景画、静物画、肖像画ぐらいだ。躍動感のあるスケッチや大口を開けて笑っているような自然体を写し取ったスケッチは初めて見たのだと思う。ジュリア様は『すごいわ』『素敵だわ』と言いながら時間をかけて全てのページを見てくれた。


「あなたのように小さな令嬢がこれほどまでに素晴らしい絵を描くなんて……この才能を埋もれさせたら世界の損失だわ」

「あ、あの、私は中級貴族オリバー・パーキンスと結婚をしているので令嬢ではありません」

「えっ! 結婚しているの? てっきり年下だと思っていたわ」


 ジュリア様も侍女さんも護衛達も驚いていた。こんがり日焼けした貴族女性なんて私も見たことないからね……そして、ジュリア様は私が既婚者であることにショックを受けたようだ。少しの間、無言の時間が流れた。


「アイリス、あなたにパトロンはいるの? 絵の依頼は受け付けているのかしら?」

「お金が無いのでスケッチブック以外の画材が用意出来ないのと、家の者に嫌われているので自宅で絵を描く事が出来ません。このような理由から依頼を受ける事は出来ないです。申し訳ありません」

「複雑な事情があるのね……それならこのスケッチブックの絵を買い取ることは出来るかしら?」

「はい! 喜んで!」


 やったー! 現金収入だ! これで新しいスケッチブックが買える!


「それならカイゼル様と、お兄様の絵を……でも両面に描かれているから選ぶのが難しいわね」


 カイゼルさんは大剣持ちの騎士様だ。ジュリア様の婚約者なのかな?


「よろしければスケッチブックごと買い取って頂けませんか? 自宅に置いていたらメイドに捨てられるかもしれないのです」


 ジュリア様がスッと目を細めた。え、何か失礼なこと言ったかな。スケッチブック丸ごとはさすがに図々しかったか。


「今日は手持ちが足りないから明日の午後にアイリスの家で商談をしましょう。待ち合わせはここで良いかしら? 私の馬車で一緒に行きましょうね」

「わ、分かりました」

「シルビア、明日までに金貨200枚を用意しておいて」

「かしこまりました」


 ……おん?


 金貨200枚? 銅貨200枚じゃなくて? 金貨1枚が日本円で10万ぐらいだから……2,000万!? 正気か!? スケッチブック1冊に2,000万!?


「ちょ、ちょ、金額がおかしいです、銀貨5枚で買ってもらえればそれで充分です!」


 ちゃっかり銀貨5枚(日本円で5万ぐらい)という値段をつけたけれど、ジュリア様は『このスケッチブックには金貨200枚の価値があります』とだけ言うと颯爽とこの場を後にした。


 ジュリア様達の後姿を見送って10分くらい放心していたけれど、団長さんの『打ち合いやめ!』という声で現実に引き戻された。


 金貨が200枚もあったら小さい家が買える! ジュリア様にパトロンになってもらって別居に持ち込もう! そこで好きなだけ絵を描いて売りまくれば女一人でも生きていける! ついでに学園の美術クラブにも恩返しの寄付ができる!


「やったぁ! あ、そうだ! ジュリア様がカイゼル様の絵を欲しがってたから残りのページはカイゼル様で埋めておこう!」


 定位置に戻ってせっせとカイゼル様の絵を描いた。大剣を担いでいる姿、別の団員さんと鍔迫り合いをしているところ、団長さんと立ち話しているところ、最後のページにはジュリア様がカイゼル様に寄り添っている絵を描いた。久しぶりに体格差のある男女の絵を描けて気分が上がった私はいつもより早い時間に騎士団の演習場を後にした。


 ――これから自分の身に降りかかる災難を予測することも出来ずに、ウキウキと軽い足取りで帰路を急いだのだった。

5話で完結予定です。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
普通の貴族の家庭で女主人がメイドよりも下なのがもうおかしいのよ。 子どもの頃からそういう扱いやったから価値観がおかしくなってるんだろうね……
え?体格差エロ?え?心音ばき上がりしたんご 神じゃん神転生系なろうやん 神話紡ぎ出されちゃうのこれ
た、体格差エロ……!! せいへ……ゲフンゲフン!! 好みにヒットしすぎて思わず感想を書いてしまいました。 この先の展開が楽しみすぎてたまりません。 読ませていただきありがとうございます!!!
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