NTRクラッシャー(仮)
みなさん、この小説を作るのを手伝ってください!
これは、俺がNTRによって世界を変えるまでの物語——。
「またNTRかよ!!」
深夜、茶の間に俺の怒声が響く。
くそ……今度こそ、良い漫画に出会えたと思ったのに。まさかこんな形で裏切られるとはな。
——第一、NTRに至るまでの心情描写が雑すぎるんだよ!
もっと登場人物の……いや、やめよう。つい取り乱してしまった。
俺の名前は根取 涼太(80歳・既婚)。
かつては「Nice Teacher Ryoutan」、通称「NTR」と呼ばれた男だ。今はただのジジイだがな。
俺の嫌いなもの?そんなの聞かなくてもわかるだろ。
そう、「NTR」だ。
「N なんで」「T 勃つのか」「R 理解できん」
これがNTRの本質だろうが、ボケェ!!
お前らは俺のような教師に出会わなかったから、こんなものを見るようになったんだ。まったく、今時の教育環境は……いや、いかんいかん、また熱くなってしまったな。
とにかくNTRはろくなもんじゃない。
あれは人間の負の感情を増幅させるだけの害悪じゃ。若い頃からずっとそう思っていた。いや、むしろ年を取るほどに確信していった。
——とはいえ、そんなことは今はどうでもいい。
今日は教え子たちとの同窓会じゃ! 上げていくぞ〜!
居酒屋の扉を開けると、懐かしい笑い声が響いてきた。煙の漂う空間、ビールジョッキがぶつかる音、酔った若者たちの談笑。
「お、先生! お久しぶりですね! お元気でしたか?」
声をかけてきたのは、短髪の男——佐山。昔と変わらぬ快活な笑顔がそこにあった。
「お前は……佐山か! 懐かしいのう。そっちこそ元気してたか?」
「そりゃもちろんですよ。みんな先生の到着を待ってたんですよ! ね、NTR?」
「……その名前も久しぶりじゃのう。」
周囲から「お、先生!」「みんな、先生来てるぞ〜!」と声が上がる。場の熱気がさらに高まる。
この空気、懐かしいのう。
「ところで、あれ? 種田先生は?」
ふと、誰かが口にした。
「それが……種田先生、亡くなったらしいよ。」
「えっ、そうなん? 知らんかった!」
「先生、知ってました?」
「…………」
一瞬、場の空気が変わる。
「先生? 何か考え事ですか?」
「ん? あ、いや、なんでもないぞ。歳をとるとどうも耳がのう……」
ごまかすように笑うが、心の奥にうっすらとした違和感が残る。
「そういえば、よくお話をされていた妹さん、今もお元気ですか?」
「え、気になる!」
——その言葉に、主人公の手がグラスの縁をなぞる。
「ああ……あいつなら、今も元気じゃぞ。 今も、相変わらずじゃ。」
——だが、その声には、どこか引っかかるような響きがあった。
「ふぅ……久々の同窓会じゃったのう。」
懐かしい顔ぶれと酒を酌み交わし、心地よい余韻が残る。
「この後は……ばあさんのお迎えじゃの。」
——そう、俺の最愛の妻。
1ヶ月前に入院していたが、今日が退院日だったはず。家にはパーティの準備もしてある。たまには夫婦水入らずの時間を楽しもうかのう。
「久しぶりにエッチでもするかのう? なんちゃって、ハハハ!」
……まあ、ばあさんももう90。そんな気力はないじゃろう。
——ピンポーン。
病室の前に立ち、俺は穏やかな声で呼びかけた。
「ばあさん、迎えに来たぞ〜」
その瞬間。
「ん、あっ///」
扉越しに、聞き慣れぬ声がした。
(……なんじゃ、この声は?)
嫌な予感が胸をよぎる。
「ばあさん、入るぞ……」
扉を開けた。
「んあっ、看護師くん、もっと奥に……///」
「分かってますよ、準備通り……ですよね?♡」
——時が止まった。
目の前の光景が理解できない。
最愛の妻が、あのばあさんが、 若い男に乱れた声をあげている。
怒り。悲しみ。絶望。軽蔑。羞恥。
感情が暴れ狂い、何かが抜け落ちた。
「あ、ああ……」
気づけば、俺は家に帰っていた。
「90のババアでも寝取られるのかよおおおおおお!!!!!」
俺の中で、何かがプツンと切れる音がした。
静かに、しかし確かに、心の奥底から声が響く。
「許せない……」
そして俺は、一時的に止めていた計画を再び動かすことを決めた。
そう——
「NTRを社会ごと消し去る計画」——。
俺は静かに立ち上がり、机の引き出しを開けた。「始めるか……『ナシマ作戦』を。」
あれから、もう二ヶ月が経った。
(……俺、計画実行するの早すぎじゃね?)
いよいよ、明日。
「NTRを社会ごと消し去る計画」——その決行の日。
だが、その前にやっておくべきことがある。
「孫に会っておこう。」
最後ぐらい、派手にいこうかのう。
どうせなら爆音で疾走しながら——
「N, A, J, U & U, NAJYUSENPAAAI!!」
いい曲じゃ。
——キィィィィ!!
「東京方面は右じゃから……こっちか。」
高速に乗り、華麗なハンドルさばきでターンを決める。
——その瞬間だった。
(……ん? 何か、前に見えたような——)
「……うわあ!前から車が——!」
ドォォォォンッ!!!!
——静寂。
(……ん?)
俺は死んだのか?
だとしたら、この体は? この空間は?
……ちょっと待て。
「これは……『gaagle』じゃないか?」
まさか。
恐る恐る自分の手を見る。
昔の体だ。若い頃の俺に戻っている。
(もしかして、俺は——)
「電脳世界に転生した?」
どうやら、俺の考えはおおむね当たっていた。
・NTRへの強すぎる恨みで魂が不安定になっていたこと。
・ネットミームみたいな死に方をしたこと。
・普段からネットに触れ続けていたこと。
・そして……最後に握っていたスマホが、明らかにヤバい代物だったこと。
——これらの条件が揃い、俺の魂は電脳世界へと引きずり込まれた。
「どういうことだ……?」
だが、今さら考えるまでもない。
若き日の肉体を取り戻し、教師としての情熱も蘇った。
ならば——
「駆逐してやる……!」
拳を握る。
「NTRを——一作品残らず、この世界から駆逐してやる!!!