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4. 月見草の花

(月見草の花)


 僕は、体を拭いてパンツを履いて振り返ると、着物の前で、何もしないで立っている裸の月見を見た。

「体……、濡れているね……、体、拭いてあげるよ……、……」

 もう一度、月見と向き合い、胸からお腹と、……、足と優しくタオルで押さえながら、濡れいてる水気を吸い取る様に拭いた……

「おかしな物を履いているのね……」

「……、え、パンツのこと……?」

「見たことないわ……、でも、軽そうね……」

「……、そうだね……、着物に比べたら、軽くて動きやすいよ……、後ろを向いて、背中も拭いてあげるから……」

 月見の背中を拭いてから、白小袖着を着せ、長い髪を下ろした……

「……、夜ご飯……、食べよう……、……」

 僕は、シャツだけ着て、月見も赤い着物は置いて、白小袖だけで、台所に向かった……

 台所には、月見が点けた高灯台の灯りがともっていて明るかった……

「……、今日もご飯……、食べる……?」

「そうね……、あなたが食べるのなら……?」

「……、じゃー、一緒に食べよう……、今日は、大根と牛蒡と里芋の味噌汁だ……、それと7分つきのご飯と……」

 お釜のご飯は、ちょうど良く蒸れて、美味しそうだ。

 茶碗にご飯と、お椀に味噌汁とよそって、月見の前に置いた。

「……、食べてごらん……、……」

 僕は、先に箸を取って食べてみた。

「……、美味しい……、ご飯、ちょうどいい感じだ……、白米より、いいかもしれない……」

 味噌汁も、牛蒡の香りが大根と里芋を引き立てて、いい感じだ。

 月見も僕の食べているのを見て、箸を取ってご飯を口にゆっくり運んだ……

「……、どう……? 美味しい……?」

「やっぱり……、分からないわ……、……」

「……、そうだね……、初めて食べるのなら、美味しいか、どうかなんて、分からないよね……」

「でも……、不思議ね……、何か……、楽しい感じがするわ……、……」

 月見は、そう言いながら、お椀を手に取って、大根を口に運んだ……

 僕も大根を食べてみた……、大根は辛かった、これは夏大根だ……、でも、里芋は美味しかったが、いまいち汁が味噌の味だけで堅かった……、鰹か昆布の出しが無いせいだろう……

 でも、それを補う様に牛蒡の味が味噌汁を豊かにしている……

 今は、ご飯を食べられるだけで、ありがたい……

「……、そうだよ……、親しい人と一緒に食事をする事は、楽しいんだ……」

 一つ屋根の下、それも夜……、一緒にお風呂に入って、ご飯を食べる……、まるで結婚しているようじゃないか……

 いや、それとも好きな人と一緒に生活する同棲かな……

「その着物も……、変わっているわね……、……」

 月見は、やっぱり女の子か、食事よりファッションに興味がありそうだ。

「……、着てみるかい……、……? 君は、小柄だから着れると思うよ……」

「ほんと……、着てみたいわ……」

 僕は、その場でシャツを脱いで、月見に渡した。

 月見は、両手でシャツを広げて見ていた……

「……、着てごらんよ……、……」

「どうやって着るの……、……?」

「……、まず、着物を脱がないと着れないよ……、僕みたいに裸の上から着るんだ……」

 彼女は、それでも戸惑って、シャツを眺めていた……

「……、着せてあげるよ……、……」

 僕は月見の横に擦り寄り、座ったまま月見の着物を脱がした。

「……、この筒の中に腕を通すんだ……」

 シャツは、夏と言っても登山用で長袖、月見は片袖を通した……

 僕は、抱きかかえるように、月見の背中に腕を回して、シャツを着させ、もう一方の袖にも腕を通した。

 そして、シャツのボタンを上からかけた。

 小柄な月見には、シャツは大きかったが、胸の張り出しは、いっぱいだった。

「……、どんな感じ……、……」

「窮屈ね……、でも、軽いわ……、おもしろいわね……」

「……、鏡がないから、自分では見られないけど……、とっても似合っているよ……、綺麗だよ……、……」

「そう……、……」

 月見は、その場で立って、自分の姿を見回していた……

「あなたの……、履いているのも……、着たいわ……」

「……、え、え……、でも……、女の人は履かないけど……、……」

「そうなの……? でも、履いてみたいわ……」

「……、う、う……、いいけど……、……」

 僕は立って、パンツを脱いで、月見が履きやすいように、またしゃがんで、パンツを開いて両手で持った。

「……、この中に、足を入れるんだ……、一足づつだよ……」

 月見は跨いで、パンツに足を通した……

 両足が入ったところで、パンツを腰の所まで上げた。

「……、どうだい……、……?」

「いい感じよ……、着物よりも、動きやすいし、歩きやすいわ……、裸でいる時と変わらないくらいね……」

 僕は、代わりに月見の着ていた白小袖を羽織った……

「……、そうだね……、君はいつも裸でいるから、シャツもパンツも、体にまとわりつく様な煩わしい物かもしれないね……、……」

 僕は、小袖を着たまま、茶碗のご飯を口に運んだ……

 月見も、その場でしゃがんで、茶碗を取った……

 しばらくして、月見は、ボタンを外そうと、もがいていた……

「この着物……、やっぱりきついわ……、脱がして……?」

「……、そうかな……、そんな風には見えないけど……」

 僕はもう一度、月見に擦り寄りボタンを外して、シャツを脱がした……

「……、パンツも脱がないと……、……」

 月見はその場で立った……

 僕は、月見のパンツを下ろして脱がした……

「やっぱり、何も着ていない方が、いいわ……」

 月見のその言葉で、裸の月見を見た……

「……、そうだね……、……、裸の月見の方がいいよ……」

 僕は、むらむらした気持ちを抑えられずに、膝を立てて、月見の下半身を抱きかかえた……

 そして、柔らかな肌を味わうように、唇と舌でしゃぶりながら、上へ上へと上がっていった……

 それでも、月見は拒まずに何事もないように立っていた……

 僕の唇は膨らんだ胸の頂点に達して、その乳首を口に入れた……

「私を食べたいの……、……?」

「……、食べたい……、お腹いっぱいに……、……」

「ダメよ……、そんな酷いことしては……、……、あなたも何処かにいなくなる……、……」

「……、え……、酷いこと……? 昔、酷いことされたの……?」

「そう……、毎晩、毎晩、たくさんの男たちが、私を押さえつけて、男たちの体を押し付けてくるのよ……、毎晩、毎晩だから……、そのうち、一人、二人といなくなるの……、……、そして、誰も夜……、外には出なくなったわ……、……」

「……、でも、僕の食べたいという気持ちは、酷いことをすることじゃないから……、ご飯を食べるように……、君を愛おしく、好きだと言うことだよ……、好きだから……、口の中に入れたいと思うんだ……、君のお腹も、胸も、唇も……、……」

 僕も立ち上がって、立ったまま動かない月見の唇に唇を重ねて吸いついた……

「……、食べたい……、……、君を食べたい……」

 

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