よみがえりの魔女の●年越しの愛!
――なぜだろう。
あいつに名前を呼ばれる事は嫌じゃなかった。
「グレイニードル=ポピ=ブラウシュカ」
それが私の名前だが死してのち魔物(魔女)となって蘇ったこの私は本当の名を伏せ「ブラウ」とだけ名乗り、呼ばせてきた。
だがきのう助けたあいつには本当の名を呼ばせてしまっていた。
「お前にだけは我の真の名を教えてやろう。我の名は――――」
するとお前はキョトンとした後、嬉しそうに笑ったね。可憐な花のような笑顔で。
ああ、本当は。
一目で分かったんだ。お前が、私がずっと待っていたあいつだと。
輪廻をへて再びこの世のどこかで巡り会う事を密かに信じ、待ち続けたあいつだと。
守れなかった昔。
だがまた巡り会えた。●年の時をへて……
硝煙と炎の匂いの中失った昔を。
思い出す必要はないよ?
ただ今度こそお前を一生守る。
「お前の事はソレリと呼んでやろう(笑)」
ふざけたふりで昔の名で呼んでやる。
「?僕はナターシャです魔女さん」
「魔女さんと呼ぶな。我の事はグレイニードル=ポピ=ブラウシュカと呼べとさっき――」
「クスッ、長いですよ。
そうだ、いい事思い付きました。あだ名をつけてあげますね?」
この高名で偉大な魔女にあだ名?
そんな自由さはソレリのまんまだな、魂は変わってないんだ!
「ほう?どんな?」
「ブラウ、です♪」
「…。」
――――まさかの結局「ブラウ」かよ!!?
はぁ…ソレリ、お前を待ち続けたのはあの時「お前が好きだ」と言えなかったからだ。
その思いが私を魔物として蘇らせた。
好きな相手に「好きだ」と言えずに死ぬなんて最低なんだ……
だが魔物の身では「好きだ」なんて言えないんだ。
その代わり、必ず守るぞ――――