20:雷鳴、閃光
筆が乗ったので連続投稿
新しくできたこの世界初の「友達」と一緒に楽しく雑談している最中のこと。ゴロゴロ、と空が鳴ったかと思うと、次の瞬間には窓の外が激しく明滅する。……雷だ。
突然の閃光にびくっと驚いている様子の白髪の少女に改めて目を向ける。
――イリア=アークノルド。私と同じ異界人。凡そ同じ生きている人間とは思えない、まるで絵画のなかから飛び出してきたような美貌。
私自身が置かれた状況から類推するに、恐らく彼女は転生型の異界人ではない。……まあ、だからなんだと言う話ではあるが、彼女の起源は恐らくこの世界にある……幼い頃に突然、記憶が蘇った私と同じような感じで、この世界に生きていた人間に“転生”したのだろう。
すると、自然に疑問が湧いてくる。組合の話によるとイリアはここから見て北西にある花の洞窟で見つかったそうだ。「花の洞窟」は地表こそ、名前の由来となった迷宮の魔力を好む美しい花々の群生地として有用であるが、地中となれば話は変わる。中階層に蔓延る中位から高位の不死者。「花の洞窟」と言う名前に見合わず、最深層まで不死者系の魔物が闊歩する死の魔窟。これといった迷宮産出品もないし、存在する場所も人里離れた辺境。
そんな過疎迷宮にどんな理由があって、元の「イリア」は立ち入ったのか。……正直すごく気になる。
好奇心が湧いてくるが、これらの推測は憶測であり、確定ではない。……極端な話ではあるが、もしかしたら、世界を超える際に容姿が変わってしまう……そんな可能性があることを否定しきれないからだ。勇者シンヤは「転移」型の異界人らしいし、話によると聖神ミスラの加護を受けて大地に降り立ったらしい。……神という超常の存在がいることを考慮に入れると、転移時に容姿が変わってしまっても全く違和感はない。
……色々考えたけど、結局のところ“よく分からない”という他ない。無理に詮索するのも野暮だろう、自分から話してくれるまで好奇心は封印しておいた方が賢明だ。ファルはそう思い疑問を振り払う。
――ゴロゴロ、ピシャンと世界が明滅する……また、落雷だ。
ちょっと不安そうに、窓から空を見上げてイリアはいう。
「すごい雷ですね……」
「……雷、苦手なんですか?」
ええ、ほんの少しだけ。と微笑む姿は物語のお姫様みたいで、少し嫉妬するくらい絵になる。
「ん……?」
窓の外を覗くイリアを見ていると、遥か遠方、城壁の向こうに光線が斜めに射出されて雲に突き刺さる光景が目に入る。……あれは……魔術だろうか?方角は……マイアナ大森林の方、王都の神話災害の余波で、連鎖するように確認された二つの神話災害の発生場所のうちの一つ。
空を穿つ光線にイリアも気がついたのか、困惑するように「レーザー……?」と呟いている。
何が起こっているのかはわからないが、何か大変なことが起こっている……そんな気がする。……突然急変した天候。荒れる雷、空を貫く光の槍。……これら全ての異常が全てつながっているとしたら?
「あの光線……何でしょうね?」
「さあ、わからないですけど……多分、光系の魔術。私は、組合に報告しに行こうかなと、思います。……丁度、マイアナ大森林の方角、だから」
私の言葉に不思議そうな表情をするイリア。
「……数日前、神話災害かもしれない魔力反応が、マイアナ大森林で、確認されたんです。……もしかしたら、誰かが、神話存在と交戦しているのかも…、です」
説明してあげるとイリアは納得したふうな表情をしたかと思えば、次の瞬間には何かに気づいたかのように目を見開くと焦ったように言う。
「……マイアナ大森林!?……は、早く、行かないと!」
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