表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山と谷がある話  作者:
03.再度山へ行こう
99/460

99

 

 いやぁ、ルルーナル氏は強敵でしたね。


『そうでしょうか? 竜種の中で言えば地脈と一体化している分、強力でしょうが、全体で言えば下の上といった所ですが』


 うーん、その全体って言うのはこの世界全体でって事だろうか。まぁ、そりゃあ世界屈指の生物兵器と比べたら、ルルーナル氏は文字通りのお山の大将だった訳で。しかし、貧弱極まりないオレからしてみれば、竜種は充分強敵なんだよなぁ。


 そして、件のルルーナル氏はバラバラにされて溶岩に沈んでいる。


 事の顛末はこうだ。何だか不穏な台詞と共にオレに襲い掛かるルルーナル氏。しかし、不思議な力で逆方向に弾き飛ばされ、宙に浮いたまま空間固定。そのまま空間ごと捩じ切られてしまい、バラバラに。各骨のパーツどころか、原型を留めていないっぽいんだが、アレで大丈夫なのか?


死霊術師(ネクロマンサー)に造られたアンデッドは核が無事である限り、どれだけ身体を傷付けても死なないので大丈夫です』


 でも、原型を留めずに粉砕したら核も傷付いてるんじゃないだろうか。というか、核って何処にあるんだろうか。


『奴の核は溶岩内にありますね。えーと、えい。あ、これです』


 アルが指し占めす先、宙に浮いた宝玉が見える。炎のように赤く揺らめき、暖かな光を放っている気がする。

 どうやら、アルがオレに見せるためだけに、溶岩内深部に安置されていたルルーナル氏の核を引っこ抜いて来たらしい。しかし、アレがルルーナル氏の核か。つまり、コレを人質………ならぬ玉質に取れば、ルルーナル氏も言う事を聞かせられるかもしれない。


『と言っても、あの竜種は半ば地脈と一体化しているので、核を潰しても特に問題ないと思われます』


 アル曰く、ルルーナル氏は召喚術者との契約が既に切れている事や、術者との契約の代わりに地脈と契約した事で、地脈に取り込まれつつあるらしい。本来竜種の死体の方に結びついている筈の魂が地脈に引っ張られており、故に精霊化しかかっているようだ。それが、火口周りに火蜥蜴(サラマンダー)が異常発生している一因との事だ。

 つまり、ルルーナル氏にとって、この核は大して価値が無いのか?


『そうですね。むしろ、破壊した方がコレのためになるかもしれません』


 そういえば、ルルーナル氏は召喚術者に言われた『“星の獣”の敵を殺せ』という命令が核に焼き付いているとか言っていたな。つまり、至上命令が書き込まれている核を破壊する事によって、真の意味でルルーナル氏を解放出来るかもしれないという事か。


「よし、壊そう」


『了解しました』


 アルが宙に浮く宝玉に手を伸ばし、爪の先で少し突いた。ピシリという音と共に宝玉に大きな亀裂が入り、亀裂からさらさらと風化していく。


『核の中に書き込まれていた命令ごと破壊しました。そのついでに命令符丁(コード)を読み取りました。それによって、この竜種を召喚した術者の大体の位置を把握出来ましたが、どう致しますか?』


 えーと、つまり、“星の獣”の味方、つまりオレ達にとっての敵の居場所を掴んだという事か。………えー、面倒。


「今の処は放置で」


『了解しました。一応、関連データは04へ送っておきます』


 あぁ、そういう事も出来るのね、君達。


 さて、アルと話している間に、ルルーナル氏の核は塵と消えたかな、氏は大丈夫だろうか。いや、半殺し状態だったから、もしかしたらトドメを刺してしまったのかもしれないけど。


『………ハ………ハハ』


 うん? 溶岩やらが噴出する音に混ざって何か聞こえる。誰かの笑い声っぽい? 

 当然ながら、オレもアルも笑ってはいない。つまり、この笑い声はここには居ない誰か、つまりルルーナル氏の笑い声なのだろう。しかし、何で笑ってるんだ?

 火口を覗くと、ゴボリと大きな音を立てながらルルーナル氏の頭骨が溶岩の中から迫り上がって来た。

 アルがあれほど念入りに破壊した頭骨が元通りに………いや、先程よりも赤みを増している? 地脈エネルギーを吸収して蘇ったんだろうか。火口へ落とさない方が良かったか?


『カ、カカ………。ふぅ、うむ。礼を言うぞ。儂も我を取り戻す事が出来た。全て、貴方がたのお陰だ』


「あー、何がなんだか分からないから、説明して貰っても?」


『勿論良いとも。………あれはそう、儂が、あの忌々しい死霊術師(ネクロマンサー)の手によって、この世に呼び出された頃の事だ………』


 え? もしかして、この話長くなりそう?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ