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今、オレ達は活火山を登っている。何だか煙が立ってるなと思っていたら、アルに活動状態であると教えて貰い、それなら折角だし火口付近まで行ってみるかと思った次第だ。
なんたってこの身体ならば、有害な火山ガスだろうと、溶岩の熱だろうと全く問題にならないからな。アルはスケルトンではないが、汎ゆる毒物に耐性を持ち、恒星内でも動ける超生命体だ。
身体的な害はほぼ皆無だし、心配する事は何も無いな。
強いて言えば、火口付近は危険地帯に指定されている。環境もそうだが、そこに棲息している生物に危険な種が多いのだ。場所によっては、竜種が住処にしている事もあるだろう。ここには、居ないらしいが。
しかし、そんな危険生物も遥か格上のアルが存在感を撒き散らして居れば警戒して出てこない。アル様々だな、ホント。
そんな訳で、オレ達は意気揚々と赤茶けた山肌を登っていく。
ここまでは特に危険と思われる場所もなく、無事に登る事が出来ている。
ここより下の方でちょっとどんなモンスターが出てくるのか興味が湧いて、アルに威圧を切って貰った時に出てきた岩蜥蜴を見たきりだ。因みに、哀れにもおびき寄せられてしまった岩蜥蜴君はアルに解体されてアイテムボックスに入っています。
そんなこんなで火口付近まで登って来た。いやぁ、道中は大変でしたね。なんたって景色が変わらなくてな………。
ある程度上まで登ると山の周囲を霧のようなモノが出てきて、周囲の景観が見えなくなってしまった。
まぁ、山の天気は変わりやすいし仕方ないかなとオレは思っていたのだが、アルによると霧に魔力が含まれているとの事。つまり、これは自然発生した霧ではなく、何者かが何らかの目的のために作り出したという事だ。
アルの索敵によると、火口付近に何かデカい奴が居るとの事で、ついでだからソイツの面を拝んで行くかと思ったのだ。そのデカい奴が何かは知らないが、周囲の霧を発生させた奴は多分ソイツだろう。折角の景観を台無しにしやがってと抗議に行くつもりだ。アルが。
そのデカい奴は火口に居るようだ。そんな所に居ても死んでないという事は熱に強い種族なんだろうな。もしかして、竜種だろうか。
火口からは小規模ではあるが、所々溶岩が噴出し、合わせて有毒ガスが吹き出ているようだ。まぁ、オレ達には関係ないが。
そんな火口を覗き込む。
見えるのは、所々が橙色に燃える黒っぽい溶岩。そして、火口の岩肌に張り付いている無数の赤い蜥蜴。
『精霊種の火蜥蜴ですね。火の力が強い所に自然発生する現象で、本来は火山に一匹でも居れば火の力が豊かな証拠………なのですが、この数はちょっと異常ですね』
なるほど? つまり、その異常の原因となるものがここにあるという事か。それが例のデカい奴かは定かではないが、多分ソイツが原因じゃないかな。知らんけど。
『お父様、火口溶岩内に大型の動く物体を検知しました。これから出て来るようですので警戒を』
件の奴が出てくるらしい。しかし、溶岩内に潜んでいたとかどういう生物だよ。
流動する溶岩が盛り上がり、赤々とした柱が複数本迫り出してくる。徐々にその全貌が明らかになり、柱かと思ったモノが何かの手である事に気が付いた。いや、デカすぎ。
迫り出してきた両手が岩肌を掴み、火口の溶岩が大きく盛り上がった。その中から姿を現したのは、赤々と燃える何らかの頭部。大きすぎてよく分からないが、そこらに居る蜥蜴みたいな形状してるな。
頭部を覆っていた溶岩が流れ落ち、その全貌が明らかになった。燃える………骨? ソイツはそれ以上身体を出すつもりは無いのか。頭部と腕が出てきただけで、動くのを止めたようだ。その蜥蜴の眼窩に赤い火が灯る。
『これは、骸骨竜ですね。溶岩内でも活動出来るようですし、恐らく火山竜が不死化したものと考えられます』
まさかの竜種かよ。
イカ3たーのしー。




