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山と谷がある話  作者:
03.再度山へ行こう
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 あの三人組の関係性は謎だが、件の“角有り”関係の被害者と見ていいだろう。個人的には、魚人氏が言っていた『また戦争か』という発言が気になるが、今はその辺に置いておこう。

 ベンジャミン氏からお守りを貰ってから長らくクエストの関係者に出会さなかったからな。

 そういえば、さっきの奴等は誰も有角種ではなかったな。それに、“角有り”とは敵対関係にあるような素振りだったという事は、例のクエストの勢力でいうと、“角無し”陣営のNPCか。

 しかしまぁ、クエストの影響範囲随分と広くないか? ベンジャミン氏と別れてから既に山を六も越えているんだぞ。このままでは、光亡の洞窟の出口があるエリアに着いてしまうのではとマップを開いてみたが、全然そんな事なかったわ。

 マップをスクロールして広域地図にするとよく分かる。光亡の洞窟長すぎ。一応の目的地は例のピラミッドもどきだ。あそこも一応リスポーン登録をしているので、テレポート機能を使えば一瞬で行けるのだが、テレポートするためにはリスポーン地点まで戻らなければならない。それは、少々………いや、結構面倒だ。ならば、このまま目指す方が有意義だろう。どれだけ時間が掛かるかは知らないが。


 ベンジャミン氏然り、さっきの三人組然り、オレはもっと平和に遊びたいのだ。そんな勢力争いとか興味無いから、放っておいてくれないものか。

 でも、向こうからしてみれば、オレは縄張りに突然現れた不審者だからな。とりあえず職質しておこうっていう気分になるのかもしれない。

 願わくばこれからの道中は、“角”関係の奴等とは出会わないようにならないものか。


『お父様、敵性反応です。どうやら私達を補足済みらしく、真っ直ぐこちらに向かって来ます』


 またかよ。さっき会わないようにって願い事しただろうがよ。何ですぐ来るんだよ。よし、ここはやり過ごそう。一々相手するのも面倒だしな。


「アル、隠密モードでやり過ごすぞ」


『了解しました』


 アルの姿が希薄になるのを確認した後、オレは光亡き者の外套を羽織り、透明化を発動。そのまま、近くの木の陰に隠れた。

 果たして、こちらに向かって来るという奴はプレイヤーなのだろうか。それとも、一般野良モンスター?


 暫く息を潜めていると、オレ達が先程居た場所を光の粒が高速で横切って行った。今のは、羽虫………いや、妖精か? もしかして、先程の奴だろうか。しかし、巨人氏も魚人氏も居ないし、コイツ等だけでオレに何の用なんだ?

 妖精達は行き過ぎた事に気が付いたのかどうかは知らないが、こちらまで引き返して来る。そのまま何かを探すかのように周囲をブンブンと飛び回っているようだ。


『羽虫の思考は分かりませんが、どうやら私達を探しているようです。羽虫達は魔力の残滓を見る事が出来るので、奴等がお父様を見つけるのは時間の問題かと思われます。………見つかる前に殲滅しますか?』


 いや、殲滅は無しの方向で。とりあえずは平和的にいこう。妖精がオレ達に何の用だかは知らないが、見つかるのは時間の問題と言っていたし、ここは先に姿を見せた方がいいだろうな。

 オレは透明化を解除しながら、木の陰から出て妖精達の方へと近づく。

 アルは悪い事態に備えて隠密モードを継続中だ。


「やぁ、もしかして、オレを探しているのか?」


『!!…………■■!! ■■■!! ■■■!!』


 分からん。通訳求む。


『今目の前に居るのは妖精王と呼ばれる者である事。妖精王たる者が居る森に不死者(アンデッド)が居る事が許し難いという事。今直ぐにこの森から立ち去るか、妖精王なる者に滅ぼされるか選べ。………端的に纏めるとこんな感じです。』


「言われなくても、直ぐに出て行くつもりだったが。まぁ、見送りに来たってのなら歓迎するがね。じゃ、そういう事で」


 オレは、自称妖精王と名乗る羽虫に手を振りながら踵を返す。あるが通訳してくれたあの言動、何だか苛つくんだよなぁ。


『!! ■■!!』


 後ろから甲高い音、というかモスキート音が迫ってくる。思わず振り返るとオレの方へと迫って来る光の粒。の後ろに両手を広げたアル。

 オレはアルへと一つ頷き、アルは両手を勢いよく叩いた。その間に挟まるのは光の粒。といっても、既に潰れているのでその残骸か。

 アルは、汚いモノを触ったかのように両手を叩き、プラプラと振っている。


 よし、何事もなかったし、そろそろ行くか。



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