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山と谷がある話  作者:
01.山へ行こう
9/474

09


 マップを埋めつつ、登山道もない山肌を歩く事暫し、オレは徐ろにステータス画面を開いた。



******


プレイヤー名:トワ

種族:骸骨兵(スケルトン)Lv.1

LP(ライフポイント):40

SP(スタミナポイント):47

部位欠損状態


******


 どういう事だ?


 前回ステータス画面を覗いた時から、二回死んだふりを使っているため、SP(スタミナ)が40減ってるのはよいとして。このゲーム、大体何の行動をするにもSPを消費するらしい。消費しない行動は、立つ、座る、寝る等その場から動かない行動と、“平地を歩く”行動だけのようだ。そして、減ったSPを回復させるには、SP回復薬を飲むか先のSPを消費しない行動を取るか………しかない筈なのだ。

 勿論、山道のような傾斜道を歩く場合でもSPは消費する。しかし、オレは休憩を入れていないにも関わらず、SPが7も回復しているのだ。

 これは、一体どういう事なのだろうか。もしかして、山道も平地扱いにでもされてるのか? それってバグでは?………いや、オレの知らない間に種族スキルに持久力関係のスキルが生えているのかもしれない。もう一度ステータスを確認してみよう。



******


プレイヤー名:トワ

種族:骸骨兵(スケルトン)Lv.1

LP(ライフポイント):40

SP(スタミナポイント):48

種族能力(スキル)

打撃属性弱体Lv.1、火属性弱体Lv.1、斬撃耐性Lv.1、刺突耐性Lv.1、生命力半減、持久力強化、呼吸不要、寒暖無効、飲食不要、死亡時幽体状態可能

保持技能(スキル)

死んだふりLv1

称号

-

カルマ値:0


部位欠損状態


******



 ………あったわ。この持久力強化ってやつのお陰じゃね?

 多分このスキルの影響で、死んだふりの消費SPも軽減されているのだろう。そして、山道を登るとかのSPを消費する行動もSP消費が免除されているという事なのかもしらん。

 うーん、強スキルの予感。でも、このスキルってLv表記が無いんだよな。

 まぁ、普通に考えてレベルがあるスキルは、レベルが高くなる程に効果が強化されていくのだろう。つまり、レベルが存在しない持久力強化はオレ自身がどんなにレベルを上げても、これ自体の効果は今のままという訳だ。実際、何がどれだけ強化されているのか分からないが、登山中でもSPが回復するのなら、いざ死んだふりをするって時にSP不足で不発って事はあまり無いのだろう。多分。


 連々と考えている間に、エルデス山の尾根まで辿り着いた。木々も疎らになり強風が吹いている。スケルトンは体重が軽いから、下手をしたら吹き飛ばされそうだ。


「さて、随分と登った気がするが………。どんだけ登ったんだ?」


 体感時間だと、それなりの時間登っている感じだ。持久力強化でSPが移動で減らない事をいい事に、途中休憩を挟まず一息に来たので結構いい位置まで登れた気がする。

 オレはステータス画面からマップを呼び出す。オレが登った所は結構埋まった気がする。高低差もきっちりと追記されているし、行き止まりやら崖崩れ箇所も見て取れる。強いて言えば、敵との遭遇場所も書き込めればなぁと思いつつマップに触る。


「自分で追記事項書けんのかよ」


 メモ程度だが、情報を書き込めるようだ。しかし、何処で敵と遭ったとかもう覚えてないし、これから何かあった時に追記すればいいだろう。

 強風で飛ばされないように、身を屈めながら周囲を見る。

 ゲーム内時間を確認すると、結構いい時間になっていた。

 これから徐々に日が落ちる、この時間なら誰かが居る場所ならば灯りを点ける頃合いだ。しかし、尾根から下界を見る限りそれらしい灯りは見えない。いや、遠くの方にぼんやりと灯りが見えるような気がするが、アレがイッカクなのだろうか。

 そして、山の方は………ん?

 尾根伝いに行った先に薄い森林地帯がある。そこで何かぼんやりと見えるような?もしかして、オレ以外に誰か居るのか?

 これはあそこを目指してみる価値があるのではなかろうか。何が居るにしてもだ。誰かが野営しているのかもしれない。プレイヤーかNPCかは分からないが。それとも、山賊の拠点とか? いや、こんな山の中に作るか? それとも、ダンジョンでもあるとか?

 オレは尾根伝いに歩き、強風に吹き飛ばされて崖を転がり落ちた。


 フワっと身体が浮き、幽体状態になる。

 勿論、これは死んだふりではない。崖から転落し地面に叩きつけられた時に、地面さんと熱い抱擁を交わし昇天したのだ。

 例の灯りが点いていたと思われる場所は、当たり前だがここからは見えない。オレはマップを開き、ここだと思われる場所にチェックマークを付けログアウトした。


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[一言] 匍匐前進しながら進んで窮地は死んだふりで回避が強そう
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