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さて、ひとまず04に接触して情報共有も終わった事だし、下へ降りようかな。
そういえば、さっきの警報の影響はどんなもんなんだろう。まだ厳戒態勢みたいな感じだと、色々とやり難いから解除出来ないものか。
「ところで、さっきの警報の解除って出来るのか? 誤解というか、誤報みたいなものだしな」
『防衛機構には既に伝達済です。すぐに解除されるかと存じます』
そう04が言うが早いが先程の
警報と同じような無機質な声が辺りに響き渡った。
『緊急通達。都市内に侵入した世界獣は排除されました。第二級警戒態勢は解除されました』
この海底都市に詰めていたプレイヤー達は、突如襲来した外敵対策に都市外へと繰り出し、外へと出なかった少数のプレイヤーは都市内部を護っていた。しかし、彼等が知らない中で状況は進み、警戒態勢は解除。
プレイヤー、特に“海の呼び声”のメンバー達はさぞかし慌てただろうな。この都市でのクエストは独占している筈なのに、自分達が知らない所でクエストが進んでいるのでは、とな。
まぁ、オレが知った事ではないが。
『これで宜しいでしょうか』
04がオレに了承を求めてくる。
オレの望み通りに警戒態勢を解除してくれたようだし、対応としては花丸だ。
「あぁ、ありがとう。ただ、これで旅人達が納得するかは別だろうから、誰かが何か探って来たらオレ達の事は適当に誤魔化しておいてくれないか?」
『了承致しました。統制官様の情報は一切出しません』
「じゃあ、それで頼む。オレたちはこれで戻るから」
『統制官様。お戻りになられる前に、一度私に触れて下さいませんか?』
触れる? 実体があるとしても、眩しすぎてどかに何があるのかさっぱり分からないんだが?
どうしたもんかと逡巡していると、光の塊の中から何かが伸びて来た。
これは、金属製の触手? もしかして、これが04の腕とか言うのだろうか。
意を決して、オレの眼の前で揺れている触手を掴む。
ソレを掴んだ瞬間、オレの脳裏にいつかの映像がフラッシュバックする。
何だコレは。コレはオレの記憶ではない。とすると、コレは04の記憶? 何故それをオレに見せる必要が? それに、この光景、これではまるで………。
『お父様?』
アルの呼び掛けにオレはハッと目を覚ました。何処か懐かしいような白昼夢をみていたような気がする。どんな内容だったかはまるで覚えていないが。
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称号、『■■■■■の同盟者』を獲得しました。TYPE_Rの気配を察知出来るようになりました。
■■■■■の解放まで、あと853625007500683。
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なんだか知らんが、称号が生えたぞ。それに、解放までの数字が1だけ減っている。この状況を鑑みるに、誰かが関連クエストを進行させたら減っていくようだ。
………長すぎない? まぁ、多分エンドコンテンツ案件なんだろうな。他のプレイヤーにこの数字が知らされているかは謎だが、ここまで数字の桁が大きいとやる気を無くすプレイヤーが少なからず出るだろうな。
『ありがとうございます、統制官様。これで、当機と統制官様のパスは正常に接続されました。今後、私が配置されている場所では、直接私と通信出来るようになりますので、ご確認下さい』
さっきの接触で04との直接通信が可能になったとの事。つまり、今後はこんな所まで登らなくて済むようになったという事だ。
「了解した。それじゃあな」
オレはアルに抱えられる。下までアルに運んでもらうという寸法だ。一々来た道を戻るのは面倒だからな。主に、プレイヤーの目を誤魔化さなけばならない、という点で。
オレを抱えたアルは足場から身を投げ出し、そのまま重力に従い降下。そのまま都市を覆う水に着水すると、スイスイと泳ぎ地面へと辿り着く。ここまで隠密モードを継続して来たので誰にも勘付かれてはいないだろう。多分。
さて、ややこしい問題も片付いたし、今度こそ“海の呼び声”の面子に会いに行くか。
RTAinJapanが楽しすぎて筆が進まない。