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山と谷がある話  作者:
02.海へ行こう
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 あれから色々あったが、何とか無事に海底都市まで辿り着いた。

 ちょくちょく“海の牙”と思われる魚人達が巡回しているのを、やり過ごしたりして精神的に疲れた気がする。蜘蛛怪人氏相手に、スニーキングミッションしていた方が余程マシだ。

 周囲が明るくなってきた事に気付き、マップを確認して海底都市が近い事を確認した時は正直ほっとした。

 海底都市付近は“海の呼び声”の縄張りなのか、“海の牙”と思われるプレイヤーの姿は見なくなった。


『お父様、これは一体………?』


 アルが都市周辺に漂う泡頭のプレイヤーを見て疑問の声を上げる。うーん、改めて見ても凄いシュールな光景だな。


「あれはこの場に適応しようと並々ならぬ努力をしている旅人達だよ」


『………行為に理解は出来ませんが、何やら必死そうなのは分かりました。旅人様も大変なのですね』


 オレは呼吸不要かつ、レベルアップで水圧耐性が生えたので、あそこに混ざる必要は無いんだが、もし呼吸が必要だったならば、未だにあそこで彼等と一緒に漂っていたのかもしれない。

 既にアルには、隠密モードを解き小さくなってもらっている。あのままの姿では都市への入口に入れるサイズではないのと、都市内で隠密モードになっている意味が無いからだ。ただ、アルが特殊な兵器だとバレると面倒臭い事になるのは確実なので、アルの身の上設定(カバーストーリー)を考えないとな。


「これからあの都市に入る訳だが、あそこには多くの旅人が居る。中にはオレの知人も居るかもしれないし、彼等に会ったらアルを紹介せねばならん。その時に、馬鹿正直に“兵器です”と言う訳にはいかないので、アルの設定を考えなければならない。で、何か良い案とか希望はないか?」


『なるほど。偽装工作の一貫ですね! となると、分かりやすくお父様の娘でどうでしょうか?』


「うーん………娘か………」


 アルはオレを普段から“お父様”と呼ぶし、話し方だとかが幼気な印象を与えるし、小柄な体型だし、見た目はオレと同族(スケルトン)だし、それが良さげか?

 ふと思うのだが、スケルトンって子供が居るのか? 確かに子供のスケルトンは居るだろう。しかし、スケルトン(アンデッド)に子供って出来るのだろうか。


 色々と考えた末、アルの設定は“旅先で拾った孤児(スケルトン)”という事にした。これなら、義理の娘という事でアルの“お父様”呼びも納得して貰えるだろうひ、スケルトンの子供出来ない問題も解決した。そういう事にした。


『義理の娘ですか。………しかし、仕方ありません。無理の無い設定は必要ですからね。今後は“義理”が取れるように努力するだけです!』


 アルは元気だが、そんな日は来ないと思うぞ。ゲームの仕様(システム)的に。




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